それを聞き、美佐子はわずかに眉をひそめた。本当は娘に蓮司を起こさせず、このまま休ませてやりたかった。だが、考えてみれば今はまだ夕方の六時だ。休む時間としては、早すぎるとも言える。美佐子は、目を閉じたまま眠っている蓮司へ視線を向けた。あの様子では、声をかけても起きないかもしれない。そう思い直し、口を開いた。「分かったわ。新井のおじ様の様子を見たら、すぐ迎えに来るわね、栞」透子は頷いた。祥平と美佐子は、執事に案内されて病室を出て行った。執事は扉を完全には閉めず、外に護衛の者だけを残して待機させた。病室の中。透子はうつむき、蓮司を見つめた。それから枕元へ歩み寄り、小さな声で彼の名前を二度呼んだ。だが、蓮司は何の反応も示さなかった。顔色は青白く、まるでこの世から離れてしまったかのようだった。眠っているはずなのに、眉間には深い皺が刻まれていた。透子は無意識に手を伸ばしかけたが、ふと空中で動きを止めた。今、自分が何をしようとしたのかに気づき、透子はわずかに唇を引き結び、そのまま手を引っ込めた。お粥を作って持ってきただけでも、もう十分に義理は果たしている。これ以上のことをする必要はない。透子は病室を出て、新井のお爺さんの様子を見に行こうとした。しかし、透子が背を向けたその瞬間。病床の上で、眠っていたはずの蓮司のまぶたがかすかに動いた。やがて、ゆっくりと細く目が開く。ぼやけた視界の中で、蓮司はあの後ろ姿を見た気がした。朝も夜も焦がれ続けた、決して忘れることのできない後ろ姿だった。「と……」蓮司は唇を震わせ、透子の名前を呼ぼうとした。だが、蓮司はあまりにも衰弱していた。喉は鋸で挽かれているように痛み、声を出すことさえひどく難しい。漏れたのは、かすれた息のような音だけだった。病室があまりにも静かだったからか、それとも透子の耳がよかったからか。その小さな音を、透子は聞き取った。すぐに振り返る。幻聴かと思った。だが、ベッドの上の蓮司が本当に目を開けているのを見て、透子は二歩ほど前へ進み、再び病床のそばへ戻った。蓮司の視界の中で、透子の顔が少しずつはっきりしていく。それはあまりにも鮮やかで、あまりにも生々しく、すぐ目の前にあった。蓮司は一瞬、自分が夢を見ているのではないかと思った。けれど、それは夢
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