おくるみの中で澄佳が目を覚ました。透き通るような白い肌、切れ長の黒い目元、細長い顔立ちに、うっすらと浮かぶえくぼ。まるで京介の写し身のようだった。どんな父親でも、娘には目がないものだ。とりわけ、この娘が、ぱっちりとした鳳眼でじっと父親を見つめているのだから。生後一ヶ月を迎える頃には、もう人の顔も識別できるようになるという。澄佳も、好奇心いっぱいに、じっと京介を見つめていた。その瞳に見入られた京介の胸に、こみ上げてくる想いがあった。舞の腕の中からそっと赤ん坊を受け取ると、まるで壊れ物を抱くように慎重に胸に抱えた。なんて軽い。なんて柔らかい。彼は思わず顔を寄せ、澄佳の頬にそっと触れた。赤ん坊特有の、あたたかくて甘いミルクの香りがふわりと鼻をくすぐり、それだけで胸がいっぱいになる。これが、幸せの匂いなのか。京介の目が熱くなり、思わず目尻に涙が滲んだ。そばで見ていた中川が、そっと目元を拭った。彼女はただの会社員、朝から晩まで働く身ではあるが、それでも、こうして共に過ごしてきた年月がある。だからこそ、今日のこの幸せな光景が、永遠に続けばいいと心から願った。「朝は冷えますから、赤ちゃんを抱いて上へ行きましょう」と、小さな声で促した。京介は澄佳にキスをし、舞へと向き直った。「二階を見に行こう。澄佳のために部屋を用意してあるんだ」舞は「三日だけなのに」と言いかけたが、結局は口にしなかった。二階の南向きの部屋には、ピンクを基調とした広さ八十平米のベビールームが用意されていた。優しい色合いに包まれたその空間には、赤ちゃん用のベッドと、レースの天蓋がかかった円形のプリンセスベッドが置かれている。まるでおとぎ話の一幕のような、ロマンチックで柔らかな空気が漂っていた。京介はそっと澄佳をベビーベッドへ寝かせた。おくるみを解くと、澄佳はミルク牛柄のロンパースを着ていた。真っ直ぐに伸びた長い脚、丸くて小さな足は、まるでエノキのように愛らしい。京介はその柔らかな髪に指を滑らせ、「髪の色……栗色っぽいな」とつぶやいた。舞は薄手のコートを脱ぎ、赤ちゃん用品を整理しながら「けっこう濃いね」と静かに返した。父親としての本能か、京介はまたしても娘に手を伸ばした。小さな足をそっと掴んで、軽く甘噛みする。ふっくらと
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