そして、A国時間、午後2時半、飛行機が着陸すると、桜は空港の到着ロビーに出た。そして、新太は気を利かして、桜を迎えに行くよう特別にドライバーを手配してくれていた。桜は、慣れない海外で言葉も通じないから、タクシーを捕まえるのも大変だろうなっと新太は心配していたのだ。そして、新太が専用車を手配してくれたことで、桜は彼への印象がさらに良くなった。そこで、桜を迎えに来たのは、安人の専属ドライバーの黒田洋司(くろだようじ)だった。彼は移民で、母国語がとても流暢だった。桜は彼に尋ねた。「碓氷さんは、私が来ることを知らないんですよね?」「桜様、ご心配なく。古川さんから、社長には絶対に内緒にするようにと、きつく言われています。ちょうどこの時間は、社長に移動の予定がないので、私が外に出ていることには気が付かれていないはずです」それを聞いて、桜はほっとした。「ありがとうございます。お名前は?」洋司はバックミラー越しに桜を見て、にこやかに笑った。「私は黒田と申します。社長からは苗字のまま呼ばれています」桜は頷いて、「じゃあ、私も黒田さんって呼ばせてもらいますね」と言った。「どうぞ、お好きなようにお呼びください」すこし言葉を交わした後、桜はスマホを取り出してラインを開いた。飛行機の中では電波がなかったので、安人に返信できなかった。それで、彼が怪しんでいないといいけどと桜は少し不安だった。でも、搭乗前にわざと安人にメッセージを送っていた。寧々が遊びに来て、しかも家族と喧嘩して落ち込んでいるから、そばにいてあげなきゃって誤魔化して言ったのだった。それで、安人からも、寧々のそばにいてあげてと返信があった。その後はきっと桜の邪魔をしないように気を使ったんだろう。彼から連絡が来ることはなかった。10数時間の時差を考えて、桜は国内の時間を計算してみた。すると、今は深夜1時過ぎだと気が付いて、さすがにこの時間に安人にメッセージは送れない。そう思うと、桜はスマホをバッグに戻した。そして、彼女は顔を上げて運転席に声をかけた。「黒田さん、あとどのくらいで着きますか?」「あと20分くらいですね」「わかりました」桜は窓の外に流れる景色を見ながら、そっと胸に手を当てた。あと20分で、安人に会える!……20分後、洋司は
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