「そうね、碓氷先生にどんな考えがあろうが、入江さんが綾の元に生きて帰って来られるなら、それに越したことはないから!」......輝は車を空港の駐車場に停め、自ら綾を中まで送った。その時、誠也はまだ到着していなかった。だけど、綾はすでに誠也から送られてきたフライト情報を受け取っていた。「誠也がプライベートジェットを手配してくれたみたい」綾は輝を見て言った。「もう自分で行くから、先に帰って」輝は機嫌が悪く、片手をポケットに突っ込み、うつむき加減に言った。「彼が来たら帰る」「心配してくれてるのは分かってる。でも大丈夫。母を迎えに行ったらすぐ戻るから」「もし彼が入江さんを人質に君を脅迫したらどうするんだ?」輝は冷たく言い放った。「彼の可愛い息子はまだ君が母親代わりに戻ってくるのを待っているんだぞ!」「今はそれどころじゃないの。とりあえず、どうすれば母を連れ戻せるか、それだけに集中したいから」綾は強い眼差しで言った。「岡崎さん、あなたはここに残って。手伝ってほしいことがあるの」輝は顔を上げて彼女を見た。綾は彼を見て言った。「私からの連絡を待っててね」......その後、10分ほどで、誠也が到着した。誠也と一緒に来たのは、清彦だった。清彦は綾を見ると、恭しく挨拶をした。「綾さん」綾は軽く頷き、輝の方を向いた。「もう帰って。運転に気をつけてね」輝は頷き、そして誠也を見た。「誠也、これはあなたが綾に作った借りだ。入江さんを見つけたら、綾と一緒に入江さんを無事に連れ戻してくれ。さもないと、私は絶対にあなたを許さないから!」誠也は輝をちらりと見て、相変わらず彼を眼中にいれていなかった。綾は輝の肩を軽く叩いた。「もう、行って」輝は心配そうに彼女を見下ろした。「必ず安全に気をつけて。毎日、無事を知らせてくれ」「分かってるよ」綾は微笑んだ。「文子さんよりうるさいわね」輝は唇を噛み締め、何度も後ろを振り返りながら立ち去った。誠也は輝の後ろ姿を見つめる綾を見て、穏やかに言った。「行こう」綾は振り返り、誠也に目もくれずに、スーツケースを引いてセキュリティーチェックへと向かった。......搭乗後、綾は窓側の席を見つけて座った。誠也はすぐに彼女の隣に座った。彼女も彼に聞きたいことがあっ
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