真奈美は心労が嵩み、ベッドに横たわるとすぐに眠りに落ちてしまった。大輝は彼女が寝入った後、病室の外に出た。霞は先ほどの光景が目に焼き付いていて、大輝と顔を合わせるのが少し気まずかった。大輝は落ち着いた表情で言った。「さきに会社に戻ってな。ここは俺が見てるから」霞は頷いた。「分かりました」「待て」大輝は彼女を呼び止めた。「どうかされましたか?」「近いうちに、メモをまとめてくれ」霞は眉をひそめた。「メモ?どんなメモですか?」「真奈美と長年一緒にいたんだろ?それなりに彼女のことは分かっているはずだ」霞はすぐに大輝の意図を察した。「社長の普段の食事の好みや、会食の際の服装などは把握していますので」「そうか。では、知っていることをできるだけ詳しくまとめてくれ」「かしこまりました」......霞が去った後、大輝は自宅に電話をかけた。真奈美の妊娠を知った両親は驚き、すぐにでも病院に駆けつけようとした。しかし、大輝はそれを止めた。真奈美はつわりがひどく、静養が必要だと説明した。それを聞いて、若葉は胸を痛めた。「二人目を授かったのは喜ばしいことだけど、あんなに体が弱っているのに、妊娠、出産となると、本当に大変なんじゃない?」大輝は眉をひそめた。「俺が精一杯面倒を見るつもりだ」「全く!」若葉はため息をついた。「運が良かったわね。こんな時に子供ができて。大輝、今度こそ大切にするのよ。真奈美が今回あなたを許し、子供を産むと決めたのは、相当悩んだ末の結論でしょうから。きっと、まだあなたに情があるのね。もしこの子ができなかったら、絶対にあなたを許さなかったはずよ」「分かってる」大輝は沈んだ声で言った。「お母さん、俺は本当に変わるつもりだから」「そう。二人でよく話し合って決めたなら、親としては離婚しなくて済むならそれに越したことはないと思ってるけど」若葉は尋ねた。「ところで、主治医の先生にはいつ退院できると言われたの?」「赤ちゃんは順調だ。真奈美の体調に問題がなければ、すぐにでも退院できる」「そう。妊娠中だし、万葉館に引っ越してきたらどうかしら。そうすれば、私も何かと手伝えるけど」「それは真奈美に聞いてみないと」大輝は言った。「それに、彼女は仕事を続けたいと思っているかもしれない。体調が許す限り、
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