「休暇って?星、仁志のこと、せめて形だけでも引き留めるべきだったんじゃない?それに、仁志って本当に良い人材よ?考えてみて。二十四時間いつでも呼べて、ボディーガードにもアシスタントにも運転手にもなる人を雇うとしたら――仁志レベルなら、月百万円の人件費では済まないわ。それに、暇なときは子どもの面倒まで見てくれる。怜くんも翔太くんも、仁志のこと大好きじゃない。もし子ども専属のシッターを雇うとしたら、今の相場だと二十万以上よ?子どもと相性が合うかどうかは、さらに別の問題だし。それに、仁志は翔太くんや怜くんに、乗馬とか射撃も教えられる。この手の先生を別で探したら、一回のレッスンで何万も飛ぶのよ?たまに元夫をやり込めてくれるのも、最高じゃない?」彩香は、仁志の利点を次々と挙げていった。「月二百万払ったとしても、全然お得よ」今は星を狙う人間が多すぎる。清子はまた誰かに救い出され、確実に再び騒ぎを起こす。さらに輝と朝陽。加えて、邪な思惑を抱える雲井家。星は数秒の沈黙のあと、言った。「仁志の状態がすごく悪かったから、少し休ませてあげたかったの。引き留めること自体はできるけど......私たちの器じゃ、仁志みたいな人は収まらない気がするわ。彩香、仁志が普通の人だなんて、本当に思ってる?」彩香は言葉を失った。しばらくして、ふうっと小さくため息をつく。「......本音を言えば、ただ私が彼にいてほしいだけなのよ」彩香もわかっていた。仁志のような人間が、普通であるはずがないことを。彼ほどの能力があれば、年収二千万など容易いだろう。彼を拾えたこと自体が奇跡だった。星は言った。「とにかく、仁志には少し休んでもらいましょう。気持ちが落ち着いたら、そのときあらためて聞いてみるわ」彩香は頷いた。「......そうするしかないわね」……国際大会が、ほどなくして始まった。今年の開催地はちょうどZ国だった。国外に行かずに済むのは、星にとっては好都合だった。いまS市では、影斗と雅臣が見張ってくれているため、朝陽も軽々しく動けない。だが、国外に出れば――どうなるか予測がつかない。雅臣はろくでなしだが、この点においては多少は役に立つ。仕方ない。星は
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