〈side Takito〉紗加の家で夜を過ごした日から1週間後。過去に撮った写真をスタジオの床いっぱいに広げてモデル候補を探すけど、そう簡単には見つからない。 「どう? めぼしい子はいる?」「うーん、どうもみんな、手垢がついてるっていうか、モデルずれしてるっていうか」「そうね。昔の女優のように、気高くて気品あふれるモデルが撮りたいって話だもの。まあ、この子たちじゃ無理だわね。たんなるコスプレになっちゃう」とにかく難航した。 連日のように付きあいのあるプロダクションに打診して、これまでに何人か面接に来てもらったが、なかなかピンとくる子に出会えない。「やっぱもうちょっと大々的にオーディションするかな」「オーディションねえ……余計野心的なギラギラした子が集まりそう」「個人的にはギラギラした子も嫌いじゃないんだけど……イテっ!」「あなたの好みを聞いてるんじゃないの。真面目にやんなさい」紗加に鼻を思いっきりひねられた。 この女、Sっ気があるのか、こういう時には容赦なくおれを痛めつけて笑ってやがる。でもベッドでは、どっちかっていうとMっぽいんだけど……。執拗なおれの愛撫に反応して震える紗加の肢体や声や匂いでふいに頭がいっぱいになった。
Last Updated : 2025-06-13 Read more