บททั้งหมดของ 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー: บทที่ 221 - บทที่ 230

華side（終わった。これですべて終わったんだ。これで子どもたちの元へ戻れる……）母の事故の真相、護さんの復讐、私の監禁……全てが、終わった。やりきれない気持ちもあるが、解放されたことへの安堵と、子どもたちに早く逢いたい、抱きしめたいという強い気持ちと、もう三上と関わることがないという安心感など、色々な感情が混ざりあい、涙がとめどなく流れて止まらなかった。これまでの緊張と恐怖が、一気に流れ出ていくようだった。「瑛斗、瑛斗はどこ？」父に聞くと、私の目をゆっくりと見て、静かに微笑んでから口を開いた。「一条君なら今、警察で状況を話している。彼にも連絡して来てもらうようにするよ。私は少し席を外すから華はゆっくり休んでいなさい」父が部屋を出て一人になってから、私はゆっくりと助けられたときの事を思い出す。あの時、開くはずのない扉があいたことで、私は初めて助かったと実感し、全身の緊張の糸が切れてしまった。しかし、おぼろげな意識の中、私を包み込み何度も優しく声を掛けてくれていたのは、紛れもなく瑛斗の声だった。自分の腕に触れると、瑛斗の温もりが微かに残っているような気がして心が温かくなった。―

華side翌日、警察が事情聴取のために別荘を訪れた。子どもたちには聞かれたくなかったので幼稚園に行っている時間帯に来てもらい、客間に案内し誰にも近付かないように指示をした。私は、これから話す真実の重みに固く手を握りしめた。「三上ですが、調べに対して犯行を認めています。防犯カメラも全て押収し、言い逃れは出来ない状態なので逮捕は確実でしょう」「そう、ですか……。押収した映像は全て確認するのですか？」私が怯えたように聞くので、警察は手帳にメモをする手をとめて私を真っ直ぐに見た。その視線に再び緊張が走る。「何か三上に言われたのですか」私は意を決し、三上がマンションに引っ越してきてから盗撮を始めたこと、そして実際盗撮された写真や動画を一部見せられ、歯向かったらＳＮＳで拡散すると脅されたこと、見せられた写真には、着替えや服をまとっていない姿のものがあり、怖くて反抗できなかったことを伝えた。話しているうちに、あの時の状況を思い出し、全身に寒気が走り震えが止まらない。「分かりました。事件当日から逮捕までの映像はこちらで確認する必要がありますが、供述もしていますし過去のものを見返すことはないと思います」警察の配慮に、私は心の底から安堵した。いくら操作のためとはいえ、あの映像が再び誰かの目に触れることは耐え難かった。

華side私が改まった様子で聞いてくるので、父も真剣な顔をしてこちらを向いた。彼の表情は、何か重いものを背負っていることを物語っていた。「お父様。私を産んだお母さんのことなんですけど……事故死というのは本当ですか」声が震えている。父からどんな反応があるか、どんな言葉が返ってくるか想像がつかない。ただ、三上の告白が、真実かどうか父の口から確認したかった。「華、それは三上君に聞かされたのか？」父は、否定も肯定もせず、質問に質問で返してきた。その反応こそが真実を物語っていた。その瞬間、私は触れてはいけないものに触れてしまったという恐怖と同時に真実に近づいたという渇望を感じた。――――しかし、私はもう子どもではない。真実を受け入れる覚悟は、既に出来ていた。「はい。三上の部屋で過ごしている時に聞かされました。母の本当の死因は事故死で、山道の一本道で後部座席に突っ込んできて、事故ではなく命を狙った犯行だったと三上は言っていました。そして狙われていたのは、私の実母。事故があった日、当時、専属医をしていた三上の父親も同乗していて不運にも巻き込まれる形で犠牲になった。そして、父親を失った代償として三上が医師になったら専属医として雇用する契約を結んだと聞いています」

華side「それと、三上が気になることを言っていたの。花村、悪いけれど席を外してもらえるかしら」私の言葉に、花村は一礼すると静かに部屋を出ていった。その顔は、長年真実を隠してきたことからの解放と、そのことが今回の事件の引き金になったことによる自責の念でひどくやつれたようにも見えた。辺りの音が消え去り静かになったことを確認してから、私は息を整えて本題へと入った。「話と言うのは、お父様と櫻子さんとのことです。」父は少し顔を上げると狼狽した瞳で私をじっと見つめた。「私が出て行ってから櫻子さんは、『これで前妻の血が流れる者がいなくなった』と裏で喜んでいたらしいです。母の事故から一年も経たないうちにお父様と櫻子さんは結婚し、翌年、玲が産まれている。三上は、私の実母の事故は神宮寺家の内部の人間の指示だったのではないかと疑っていました」『内部の人間』と言葉を濁したのは、父ではない、実行を指示した主犯が内部の人間ではないと思う切実な願いからだった。母が突然、事故でこの世からいなくなったというのに、一年以内に再婚をしたのは確かに不可解だ。再婚の真相を知りたかった。ただ、真実を受け止めるのが怖いという気持ちがないわけでもない。私はスカートの裾をギュッと握りしめ、父の返答を待った。鼓動が耳

華side「―――翠を失ってからの私は、心の支えを失ったようなひどい喪失感に襲われていて、睡眠薬が手放せなかったんだ。お酒の量も増え、翠と何度もデートした思い出のある、友人のバーで酔いつぶれてそのまま寝ることもあった」父は深く息を吐き出し、自らの弱さと過ちをさらけ出した。長年、神宮寺家の主としての強さだけを見てきた私にとって、その告白は重く響いた。母を失ったことで、父は気心許せる場所をなくし、ただの弱い一人の男になっていたのだ。「神宮寺家を継ぐ者として、四十九日の法要が終わると、縁談の話が絶えなかった。仕事関係の女性から声を掛けられたこともあったが、全て断った。心の中には翠しかいなかったんだ。」実母への思いを告げると、父は顔を上げて少しだけ笑顔を見せた。雲の隙間から一瞬顔を覗かせた太陽のような光りを放っている。「翠が亡くなって初めてバーに行ったとき、マスターである友人は、翠がよく頼んでいたブランデー・クラスタを何も言わず出してくれたんだ。カクテルには、それぞれ意味があってね、ブランデー・クラスタは、『時間よ、止まれ』だった。『あなたとずっといれたら幸せなんだろうな』なんて無邪気に言う可愛らしい女性だったよ。」今まで語られることのなかった母の父に恋する乙女な一面を聞いて心が温かくなった。父と母がお互いを想い結婚したことが嬉しかった。「友人のバーに行って、翠が隣に座っていた時の事を思い出していた。この時だけは、翠を失った悲しさよりも当時の温かい思い出に浸れ