蓑笠男たちを撃退した後、鞠野フスキのバモスくんでホテルに向った。「あの蓑笠の連中、何者だったの?」 冬凪は吹きさらしの風に負けないように大声で、「わからない。あたしもあんなの初めて見た」 そして、さらに大声になって、「鞠野先生は知ってますか?」 と尋ねたけれど、後部座席からでは鞠野フスキの答えはよく聞きとれなかった。「何て?」「知らないって」 しばらくして鞠野フスキが何か叫んだ。「何て?」「辻女に寄ろうって」 理由は何言ってるのか分からなかった。多分グシャグシャの髪型にボロボロの制服姿のあたしたちの格好が目立ちすぎだからだろう。そういえば街中に入ってから道行く人の視線が気になりだしていた。辻女の玄関に横づけにしたバモスくんを降りて校内へ入ると、鞠野フスキは校長室前の女子教員用更衣室で待っているように言った。言われた通りに待っていると、ノックの音がして扉の向こうから女性の声で、「入りますよ」 と言ってきた。「どうぞ」 冬凪が返すと、扉を開けて入った来たのは、上は青いタンクトップで下はホットパンツ姿のいかにもバスケ関係者という恰好をした中年の女性だった。その女性はあたしたちの格好を見て一瞬だけ驚いた表情を見せたけれど、すぐに興味津々といった表情に変わって、「鞠野教頭から頼まれてこれを持ってきました」 と辻女の夏服を渡してくれた。「「ありがとうございます」」 それを受け取るとき女性の顔をよく見ると、やっぱりそうだ。少し若いけど川田校長だった。「川田校長先生!」「はい? 私はここの教員でバスケ部顧問をしています川田です。でも校長ではありません」 そうか20年前は校長になってないのか。「教頭先生に聞きましたが、あなたたちは潜入捜査員だそうで」 としげしげと冬凪とあたしの顔を見比べて、「スケ番デカみたいな子が本当にいるなんて。お若いのに大変ね」 と言った後、「じゃあ、頑張ってくださいね。あ、制服は次来たときに返してくれればいいか
Last Updated : 2025-08-11 Read more