「実は今現在、凜子さんはコンビニを辞めてうちの病院で働いています」 奏芽さんが私の心中を察したみたいに、例の一件をすっ飛ばしてバイト先を変えたことを先に告げる。 「今はみんなのサポート的な雑事が中心ですが、うちの母が手隙の時に凜子さんに医療事務のノウハウも教えてくれています」 そこで横に座る私の顔をじっと見つめていらしてから、奏芽さんがスッ、と背筋を正した。 私も釣られて再度背筋を伸ばして座り直したの。 「今からこんなことを言うと、先のことすぎて軽率に聞こえてしまうかも知れないんですが――」 そこでカップに添えられたままの私の手をそっと握っていらしてから、「俺は……将来を見据えてお嬢さんと一緒に居たいと思っています」とハッキリおっしゃった。 私も奏芽さんとずっと一緒にいたいと……。これから先の人生、2人で泣いたり笑ったりしながら過ごせたらどんなに幸せだろう、と……。 そんなふうに思っていた。 でも、まさか奏芽さんがお母さんにそれをこの場で、こんな形で明言してくださるとは思っても居なかった。 だって、これじゃあまるで――。 「今日は凜子さんとの結婚を前提としたお付き合いと、一緒に暮らす許可を頂きたくて参りました」 私は奏芽さんのその言葉に小さく息を飲む。 嘘……。奏芽さん、今……結婚って……。 いつだったか奏芽さんに、私はいいお嫁さんになると思うって言われてソワソワしたのを思い出す。 その時、「この先は折りを見て俺から、な?」って話を濁されて……。 奏芽さんの未来予想図には、自分の居場所があるのかな?ってふと不安になったの。 もしか
Terakhir Diperbarui : 2025-10-08 Baca selengkapnya