湯浅の腰がゆっくりと動きを変えた。奥を擦るたびに、藤並の身体は微かに震えた。逃げたいのに、逃げられない。もう、どこにも逃げ道はなかった。「っ……」かすれた吐息が、喉の奥から漏れた。身体の奥が、じんわりと熱くなっていく。湯浅の手が、藤並の髪を撫でている。それだけで、背中が痺れたように震えた。「律さん……」唇が勝手に名前を呼んだ。止めようとしても、声が出てしまった。湯浅は、何も言わなかった。ただ、動きを変えずに、藤並の中をゆっくりと突いている。優しく、でも逃げられない深さで。「社長のときは、何も感じなかったのに」心の中で、藤並はそうつぶやいた。あのときは、身体を差し出すことは、ただの取引だった。何も感じなかった。感じないようにしていた。感じたら壊れるから、心を閉じていた。でも、今は違う。湯浅の動きに合わせて、身体が勝手に反応してしまう。脚がまた湯浅の腰に絡んでしまっている。自分で解こうともしなかった。「もう、商品ではいられない」その事実が、胸の奥を締めつけた。「身体が、生き返ってしまった」それが、一番怖かった。美沙子に抱かれているときのように、無になっていれば楽だったのに。湯浅の手が、藤並の髪を撫でながら、腰の動きを早める。そのたびに、奥を擦られて、身体が跳ねた。「っ、律さん……」喉の奥が震える。息が詰まりそうだった。「いいよ。出していい」湯浅の声が耳元に落ちた。その声に、胸の奥が熱くなった。「やだ……やだ、のに……」泣きそうな声が喉の奥で揺れた。けれど、もう止められなかった。
Last Updated : 2025-08-17 Read more