その時、走行中の銀色のベントレーの中。「稲葉さん、お爺さんの命を救ってくれて本当にありがとうございます。これは中尾家の青龍カードです。どうぞお受け取りください」真秀子は金縁の黒いカードを取り出して差し出した。「このカードを持っていれば、稲葉さんは我が中尾家の貴賓として、今後中尾家の全ての施設で最高のサービスをお受けいただけます」「真秀子さん、僕が必要としているのはこういったものではありません」賢司は首を振った。「稲葉さん、ご安心ください、これはあくまで私個人からの感謝の気持ちです。藤村会長が言っていた龍心草は、明日お宅に届けさせます」真秀子は笑顔で言った。「真秀子さん、さすがお決断が
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