Semua Bab 異常のダイバーシティ: Bab 11 - Bab 20

24 Bab

11. 天井≪LARGE≒LevaNoiA≫

 開始と共に、素早く距離を取られた。  これがアマのいつものパターン。遠距離になればなるほど、銃を有効手段として使わなければいけなくなる。  ここで銃を使うと痛い目を見るのがコイツ。"人外カウンター"で倍になって返され、それを避ける事に神経を注ぐ事になってしまう。  だからといって、近付く事もほぼ不可能に近い。なぜなら、アイツは好き放題に銃を撃てる上に、剣による接近戦も得意としている。  つまり、ほぼ隙が無い。  前回どう勝ったかというと、今まで俺の銃一丁という印象を利用した事が大きい。一発目を反射させてる合間にもう一発撃ちこむという超苦行で、アマのが先に付くか、俺のが先に付くかの運勝負。  その大会は1先だったからこそ使えた技で、この大会のような3先になった場合、そんな運要素はほぼありえない。  最近はアマ対策で、可能性のありそうな近距離戦を練習する人が爆増した。コイツはそれほどの影響をプレイヤーたちに与えてしまった。  さらには、アマの真似をするプレイヤーも少しずつ出てきていると聞く。まだ下位互換ではあるらしいが、今後さらに練度が上がってくるだろう。  現状、コイツに安定して勝っている人間は、日本代表の人たちだけじゃないだろうか。後、含めていいのか分からないけど、三船コーチ。まぁ、三船コーチに関しては誰も勝てないし⋯⋯ 「さぁ、撃ってみなよ。君の新しい銃とやらを」  考えてる間にも、アマの連射が俺の頬を裂いた。このまま避け続けるのも、体力的に限界が来る。  ARは現実世界の拡張でしかない。それ故スポーツと同じく、体力や技術的な面が物を言う場面も多い。  なので、俺が三船コーチと考えてきた作戦はこうだ。俺が疲れ切ったように見せかけたところで、隠してきたこの≪トライロングフック≫をすぐ使う事。  こいつを使えば、設置した3か所に対し、選んで高速で飛んでいける優れもの。これはコーチから借りた最高級サポートアイテム。  扱いがあまりに癖が強くて難しく、入手も非常に困難なため、使ってる人は手に数えるほどしかいない。  これのために特訓をこそこそとやってきた。普通に使ってしまえばバレて対策されるが、不意の一撃は強力。まさか持ってるとも思ってないだろう。 「さぁ早く撃てよッ! さっきから使っている"あの銃"をッ!!」  想定以上にアマの攻撃
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-13
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12. 薄暗≪Secret/GrandFINAL≫

『初日優勝おめでとうございますウニャ! これは僕からのささやかなプレゼントですウニャ! このまま明日も油断せず、総合優勝を目指して欲しいウニャ~!』  いきなりウサネッコから貰ったもの、それは"アフターバンパクシティ内の超豪華ホテル宿泊券"だった。 「え、いや、こういうのって優勝賞品とかじゃ!?」 「固い事は気にするなウニャ~! では、この後の女子プロを応援してあげてウニャ!」  ウサネッコはひょこひょこと、次の準備へと行ってしまった。  まだ初日が終わっただけなのに、こんないいもの貰っていいのか⋯⋯?  ⋯⋯バレないよう黙って貰っておくか  ん? これ、3人まで一緒に泊まれるようになってるぞ⋯⋯? スアは当然として、後もう一人誰か⋯⋯え、モアしか思い浮かばないんだが⋯⋯。  んな事は後だ、次に頑張るのはアマとモアのタッグ。ずっと裏から応援してくれていた二人を、今度は俺が応援しないとだ。  考えていると、右肩にポンと誰かの手が乗った。 「おす、お疲れさん」 「あ、ミハさん。お疲れ様です」  俺より二つ年上の三垣ミハさんは、大阪でも有名なAR e-Sports男子プロの一人。 「今日は大活躍やったな。俺はアマにストレート負けでベスト8で終わっちまったわぁ。そんなアマが"BO5"で逆転負けとか、初めてやないか? ケン含め、あの傲慢な態度ウザい思っとったし、いい薬になったやろ」 「はは⋯⋯まさか気絶するとは思いませんでした」 「せやなぁ。人外カウンターに命賭けすぎやろ、あのカウンターバカ」  あのアマの集中力は狂気じみていた。あれほどのは今後もそうそう見れそうに無い、そう感じるほどに。  アイツは"巨大なアレ"を返し、俺の全てを否定したかったのだろう。一旦、今日の勝者は俺となったが、この"海銃"が無かったらアマだったに違いない。  次第に女子プロ大会が始まり、それと交互で来場者と女子プロが戦うイベントも始まった。  スア・モア組は健闘の結果、ベスト4で終わり、今二人は奥で悔しそうな顔をしている。 「う~、ごめんねぇモアちゃん~」 「いえ、あたしが最後もう少し早く走れていれば⋯⋯すみません」 「んや~、私の判断ミスだぁ」 「⋯⋯でも、明日もありますから! 明日で総合優勝目指せばいいんです!」  そんな二人の傍に、俺はゆっくりと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-19
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13. 新策≪NewDiversity≫

「あ、帰って来た! 何の用だったの?」 「明日の打ち合わせ的な」 「な~んだ。それじゃ、豪華ホテルへGO~!」 「楽しみですね⋯⋯!」  嬉しそうにスアとモアが先を歩いて行く。  ふと、スアがこっちを向いてきた。 「なに後ろで一人ニヤニヤしてるの?」 「ん、なんでもねぇよ」 「もしかして、まだ何かあったりするぅ~?」 「なんもねぇって」 「宿泊券以外なんかあるでしょ! 早く出してぇ~!」 「だからなんもねぇって!」  そうこうしている内に、宿泊券に記載された豪華ホテルへと辿り着いた。  これが凄い事に、用意されていたのは"最上階の部屋"だった。 「こんなにいい部屋、本当に泊まっていいの⋯⋯!? ザイ、一体何やったの!?」 「⋯⋯俺にも、何が何やら」 「スア先輩! こっちに貸切の露天風呂ありますよ!」 「わぁ!? モアちゃん一緒に入る?」 「はい! 入りましょう!」  そこからは各々の部屋へと分かれ、二人は早速露天風呂へ。俺は一人ベッドに横たわった。  さて、もうすぐAI総理のスペシャル対談が始まる。L.S.から配信でも見れるから、待機しておこう。  竜星天守閣内で待ってる人も多い。なんたって、生でAI総理を見られるのは今回初だ。それを体験できるのは今後無いかもしれないと囁かれている。  まぁでも、俺はそこまで興味も無い上、疲れたからホテルに帰る選択を取った訳だけど⋯⋯  これがメインイベントではあるが、俺たちAR e-Sportsプロをメインに来た人もいるだろうし、人によって目的は違うしな。  そして、この対談配信は前半が無料になっていて、後半からは有料に切り替わる。サミットの入場券を購入した人、招待されている人は全て見られるようになっているため、俺のように帰宅しながら見る人もいると思う。  ただ一つ他と違うのは、家から配信だけを見る事も可能だが、それは"大阪府民のみ"に限られているところ。このサミットは、全体的に何かと"府民が優遇されているもの"となっているらしい。  そんな中、未だ対談相手は発表されておらず、かなり意外な人物が出てくると予想されている。  誰が来るのか気になるとこだけど⋯⋯それよりも、俺は"さっきのあの人とのバトルシーン"で脳内が埋め尽くされていた。 ♢「またやろうな、ザイ。今まで一番仕上
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-21
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14. 対峙≪Confrontation≫

 ⋯⋯よし、誰もいない 急いで露天風呂の方に走った俺は、何事も無くスアの近くへと辿り着く事ができた。「その声⋯⋯ほんとに来たの!?」「当然だろ。この階は何とも無さそうだから、今のうちに着替えて部屋に戻るぞ」「分かった。モアちゃん、行こ!」「はい⋯⋯!」 その間、俺は辺りを警戒しながら、風呂の出入口付近の壁にもたれかかって息を整えた。 疲れと緊迫感とが混ざり合い、全身からさらに汗が噴き出る。 まさか間近で殺人事件に遭遇するなんて⋯⋯よりによってなんでこんな時に⋯⋯とにかく冷静に、冷静にだ。きっと三船コーチだったら、絶対そうする。 ⋯⋯そうだ、三船コーチに連絡してみるか? こんな時にどうするのか、あの人の方法を聞きたい。 そう思い、すぐさま通話を飛ばしてみた。 すると⋯⋯「⋯⋯なんで、こんな出ない事無いのに⋯⋯!」 一向に出る気配が無く、メッセージの返信も全くない。 これまで一度もそんな事無かったのに⋯⋯もしかして、"東京の方"でも何かあった⋯⋯!? その気持ちに畳みかけるようにして、俺が走ってきた奥角の方から不穏な足音がした。 ⋯⋯こっちに⋯⋯来てる⋯⋯? 徐々に近付いてくる足音に、鼓動がさらに激しくなっていく。 なんで⋯⋯こっちに⋯⋯ ついに足音が壁一枚隔てた先まで来た時だった。 スアとモアが女子更衣室から現れ、二人の足音が響いてしまった。 俺が静かにするよう合図するも遅く、真横で響いていた足音は静かになってしまった。 バレ⋯⋯たか⋯⋯?『そこで何をしていますか? 部屋から出ないようにとお伝えしましたよね?』 防弾着のような厚めのチョッキに、全身黒の服装、左手には赤く光る警棒。 唐突に入って来たのは、どうやらここの警備員で、ここまで安全の見回りに来てくれたらしい。「さっきまでお風呂に入っていまして、突然アナウンスが⋯⋯」『それは災難でしたね。私が付いて行きますので、安全なうちに部屋へ戻りましょう』 スアに対して笑顔で対応する警備員。 ⋯⋯ふぅ、なんだよ。てっきり、殺人犯が来たかと思って焦ったじゃねぇか⋯⋯ モアが俺の傍へと寄ってくる。「(入って来た時はびっくりしましたね)」「(いやまじ焦りすぎて冷や汗かいたわ⋯⋯)」 そして部屋へ戻ろうと、出入口から廊下へと出た時にある事が起こった。『ところで、一
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-25
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15. 極室≪PentHouse/Suite≫

 三人で一旦俺の部屋へと集まり、状況を確認する事にした。  さっきの警備員が、実は"ProtNeLT"というアレだった事も伝えると、スアの顔は青ざめていった。 「ねぇどうしよ⋯⋯ここにいても、また来るかもしれないよ⋯⋯」 「⋯⋯このホテルから出た方がいいか」 「待ってください! その"ProtoNeLT"というのはなんですか?」 「あ、あぁ、モアは知らないんだったよな。昨日、新大阪大学にオープンキャンパスに行ってきたんだよ。そこに"赤と青の謎のドア?"があって、中には"訳分からない人型のAI"が大量に並んでたんだ。それが"ProtoNeLT"って名前が付いてた。確かあれは略された名前で、本当の名前は"Prototype/Next time Living the Things"だったような⋯⋯」 「な、なんですかそれ⋯⋯?」 「俺たちもよく分かってない。ただ、あの場所で見ただけで⋯⋯」  話してる途中、スアが後ろから抱き着いてきた。 「な、なにして!?」 「ごめん、ちょっと許して⋯⋯。ザイの首筋の匂い嗅ぐとね、落ち着くの⋯⋯」 「そのクセまだ治って無かったのかよ!?」 「うん。我慢してただけ⋯⋯」  スアが俺の首元で大きく深呼吸し、その度になんとも言えない感覚が走る。  モアはというと、口をポカンと開けたまま、唖然とこっちを見ている⋯⋯。  これはこいつの昔からのクセで、こうすると何事も上手くいくような落ち着きを得られるそうだ、意味分からなすぎる。  高校生になってから治ったと思ってたのに、全然治ってねぇし⋯⋯!  でも嫌いってわけでもないから、別にいいんだけど⋯⋯  ⋯⋯もしかして、エンナ先輩に頭嗅がれたせいで戻ったんじゃ  あ、そういや先輩の方は何も起きてないよな⋯⋯?  俺はスアに嗅がれながらも、L.S.ですぐさまXTwitterを確認した。  すると、なんとここだけでなく、各所で"常軌を逸した事件"が多発しているという情報が流れ込んできた。  いきなり殴られたというところもあれば、ナイフで刺されそうになったところも、爆炎が起こったなんてのもある。  さっきまでいた竜星天守閣内でも、同様の事で混乱しているようだった。  さらにヤバいのが、大阪以外には連絡が取れなくなっているらしく、その上、大阪から出ようとしたところ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-26
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16. 隙間≪Abyss/Space≫

 よりによって50階ってのが⋯⋯  まずはエレベーターまで行くしかないな。  俺が水色のハイスマートグラスを構えると、また海銃へと変化した。  何やら構えるとこの姿になるらしく、コイツをリアルでも活用するしかなさそうな感じがする。  ⋯⋯頼む。今だけでもいい、俺たちを守ってくれ  それからは慎重に、なるべく足音を立てないよう、歩く事にした。  この辺にもまだいるかもしれない。俺とスアが見たあの人型AIは、夥しい量だったからな⋯⋯  だが意外とエレベーター前へはすぐ辿り着き、非接触パネルから下降ボタンをタッチする事に成功した。そしたら⋯⋯ 「⋯⋯なんでだ? これ、動いてないぞ⋯⋯?」  いくら押そうと、微動だにしない様子が見て取れた。 「え、そんな⋯⋯そんなわけ」  スアも俺と同様に下降ボタンを押しまくっているが⋯⋯  ⋯⋯最悪だ、ここ以外で考えるしかない 「先輩! あっちのエスカレーターなら動いてるみたいです!」  そう言うと、モアは俺たちをそっちへ誘導した。 「ここなら階段よりは早いはずですよね⋯⋯!」 「だな。こっから行こう」  俺たち3人はエスカレーターを突っ走り、素早く降りて行った。  これによって、どうにか40階までは一気に来る事が出来た。  しかし、40階からは"新設予定の学校?"が入っているらしく、それが35階辺りまで続いているようだった。 「これってさ、高校⋯⋯っぽいよね⋯⋯? ザイ、知ってた⋯⋯?」 「いや、全然知らねぇ⋯⋯」  L.S.から館内マップを見ても、"工事中により立ち入り禁止"とだけある。  そういや、さっきのエスカレーターは非常時用だったけど、ここに繋がってるのか。  ここからさらに降りるには⋯⋯ 「えっと、左に曲がって、広間みたいな場所にエスカレーターがあるみたいだよ。もっと奥にエレベーターっぽいのがあるけど⋯⋯たぶん動かないよね」  展開したL.S.で何かを確認しながらスアが言った。  今日の大会で酷使していた、超小型ドローンのバッテリーが復活したらしく、それを使って先を見ているそうだ。 「さすがです、スア先輩⋯⋯!」 「なんとか間に合ってよかったよ~。モアちゃんのドローンはまだ充電が必要そ?」 「そうですね⋯⋯
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-27
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17. 出口≪Exit/Escape≫

 ネット上でウワサだけは聞いていた。  AIだけで作られた近未来な高校があると。  まさかこんなとこに、しかもうちの学園のだったなんて⋯⋯  ⋯⋯そこに"アイツら"がいるのもさらに意味不明だ。  そういえば、あまり考えてなかったけど、全てAIによって賄われているアフターバンパクシティで、警備員がいるって事はそれほどヤバいって認識でいいんだよな。  ⋯⋯この状況からして、それしかないか  一呼吸し、無理やり息を整える。 「あと残り10階降りれば、地上の方のホテル出口から出られる。西出口にタクシーが来てるから、そこを目指そう」 「うん⋯⋯ごめんね、取り乱して」 「すみません⋯⋯」 「しゃぁねぇって、あんなの見たら⋯⋯俺もまだ気が狂いそうだし⋯⋯」  ⋯⋯とにかく、あと10階だ  25階から下は、アフターバンパクシティの地下ホテルの方へと切り替わるため、そっちには行く必要は無い。つまり、1~24階は地下、25~50階が地上という構造になっている。  それにしても、警備員以外には誰とも会わないな⋯⋯  律儀に部屋に籠っているのだろうか。まぁそりゃそうか、殺人鬼が付近にいるかもしれないのだから。  でも、気付く奴は気付いてる。この異常事態の中、警察が来ることすら既に怪しい。なぜなら、大阪から出ようとした人たちを、止めている警察もいるという点がどうも引っかかる。  もしかすると、日岡知事の指示のよって動いている部隊と、従わない部隊で内乱が発生しているんじゃないか?  リアルタイムに流れてくるSNS情報を見るに、そう仮定していいはず。  と考えを巡らせながら、工事中の"大阪都波裏学園/夢洲校"から脱出するエスカレーターへと乗った。  ちなみに、この高校はホテルハブのような役割もしていた。  これまで降りる途中、何ヶ所か簡易的なハブポイントはあったが、この高校が一番大きなハブといっていい。  さっき俺たちは最上階の4つ出口のうちの1つから出たが、それらは独立しており、他の出口とは繋がっていない。だから、"撃ったアイツ"とまた遭遇、なんて事はそうそう無いわけだ。  34階へと降り、また客室廊下が始まった瞬間だった。 「な⋯⋯ッ! 停電!?」  突如フロア全体が真っ暗になり、何も見えなくなってしまった。 「ザイ! モアちゃん! いるよね
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-28
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18. 復光≪AnomalyLight≫

「やっぱこうなるじゃねぇか、気まずいだろうが⋯⋯」  助手席に座ったケンが呟いた。 「だからって、放って行く訳にもいかないだろ」 「⋯⋯っせぇ。俺は"偽プロ"と違って一人でもやれる」  不貞腐れたように、暗闇へ染まった夢洲都市を見つめるケン。さらに奥には、煌びやかではなくなったカジノが微かに見える。 「あのー、さっきは助けて頂いて、ありがとうございました⋯⋯」  その気まずさを裂くように、モアが一言置く。 「⋯⋯おう」  そういえば、さっきケンは"銃らしきもの?"を持ってたっけ。ちょっと聞いておくか。 「なぁ、ケン。さっき銃を使ってなかったか?」 「はぁ? お前知らねぇのか?」 「⋯⋯何がだ?」 「ついさっきの最新アップデートで、プロ専用のハイスマートグラスが、"簡易小型銃"になるようになったのを」  ⋯⋯そんなのあったっけ?  後ろに座る女子二人も全く知らない様子だった。  この情報はどこを調べても出回っていない、一部しか知らないらしい。 「まぁ、いきなりだったから、見てねぇヤツがほとんどか。今度からは常にチェックしとけ、死にたくねぇならな」 「あ、あぁ⋯⋯」  高低差での有利を活かすために、ハイスマートグラスをよくカスタマイズしているこいつにとっては、このくらい朝飯前だったのかもしれない。  そのアップデート内容とやら、今のうちに確認しておくか。 「ってか、スアちゃんごめんな。後で話したいって言っときながら、いきなりキャンセルしちまって」 「あ、ううん⋯⋯全然いいよ。⋯⋯⋯ケン君、私たちは天王寺駅に向かってるけど、このまま一緒でもいい?」 「⋯⋯俺は途中で降りるわ。スアちゃんの邪魔したくねぇし」 「別にそんな⋯⋯ねぇ、みんな? せっかく助けてもくれたし」  俺は、そっぽ向いたままのケンの方を向いた。 「今だけ睨み合うのはやめようぜ。嫌かもしれないが、協力する時じゃないか」 「⋯⋯ちっ、安全になったらすぐ抜けるからな。んな事より、天王寺駅まで行って何すんだ?」 「知り合いの先輩が迎えに⋯⋯」  その時、一つのメッセージが入った。大会延期のお知らせだった。いくら全体の主催がAI総理とはいえ、運営側が中止を申し出たようだ。  当然だ、明日の大会なんてもの
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-01
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19. 師斎≪ENNA/House≫

 ― 天王寺駅 赤と青に様変わりした駅全体と、あべのハルカスが視線を奪う。  もうどこに行ってもこんな状態になっていってる。 「喜志可くんッ!!」 「おわッ!?」  背後から抱き着いてきたのはエンナ先輩だった。 「うん、本物だね。よしよし」 「いや、赤ちゃんじゃないんですから」  言っても止まらず、抱き寄せて頭を撫で続けてくる。  なんか、なんか背中に柔らかい二つの感触が押し付けられて⋯⋯ 「いつまでされてんの」  しっかりとスアに怒られ、引っ張られてしまった。 「スアちゃん! どこも怪我してない!?」 「はい。さっき話した通り、ザイが守ってくれて、モアちゃんもいてくれたので」 「よく頑張ったね、喜志可くんも」 「いえ⋯⋯」  先輩の優しさに安堵していると、モアがこちらへと歩いてきた。 「あ、この子がモアさん?」 「⋯⋯水生(みなお)モアです。よろしく⋯⋯お願いします」 「うんうん、よろしくね! あら、もう一人は?」  ⋯⋯あれ、ケンがいないぞ。あいつどこ行ったんだ?  少し探し回っていると、天王寺駅の中へと入りそうなところを見つけた。 「おい! どこ行ってんだよッ!」 「見たらわかんだろ」 「なんでだよ、こっち来いよ」 「⋯⋯どう見ても、輪に入れそうな空気じゃねぇし」 「んな事ないって。あの人の家は"師斎トップホールディングス社長の豪邸"だ、もう二度と入れないかもしれないぞ?」  その後、ケンがゆっくりと帰ってきた。  「⋯⋯すんません、邪魔になりそうだったら出てくんで」 「そんなの気にしなくていいよ! その代わり、皆とは仲良く、ね?」 「⋯⋯うす」  そして、俺たちは"メタリックブルーのリムジン"へと乗り込んだ。  めちゃくちゃに広い車内、さっきのタクシーがなんだったんだと思うくらいに。  部活の時に乗せて貰った事があるけど、その時よりグレードアップした新車になってる。さすが師斎家はヤバすぎる。 「乗り心地は悪くない?」 「はい、最高です」 「そっかそっか。部活の時以来だよね、こうやって乗るのは。車は新しくなっちゃったけどね」  一番後方にエンナ先輩、スア、モアの女子3人。向かい合う形で、俺とケンが座った。  ここ、目のやり場に困るんだが⋯⋯。近い距離で対面に座った事によって、より強調さ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-02
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20. 戦略≪Honey/Strategy≫

「さっき車にいた時、パンツ見てたでしょ」  風呂から上がって牛乳を飲んでいるところ、エンナ先輩が隣にやってて、突然言われたのがこれ。 「⋯⋯まさか、んな事するわけないっすよ」 「私が気付いてないと思った?」  人生終わった。  この顔、何もかもバレてる。  落ち着いたところで、言うのを待っていたんだ。 「⋯⋯申し訳ありませんでした。今すぐ出て行きます」 「ふふ、な~にそれ。相変わらずだねぇ、喜志可くんは。あれは"重要な戦略"だよ? 対面でさ、若干見えてムラムラするくらいが、男の人には一番効果的でしょ。自社を気に入ってもらうには、時にはこういった事も大事だからね。それを喜志可くんにも試させてもらったってわけ」 「そんなの俺にしないでくださいよ⋯⋯"ハニートラップ"じゃないですか」 「え~? リラックス効果もあるみたいなんだけど、嫌だった?」 「それは⋯⋯」  実際、癒されたのかムラついたのか、混ざっていてよく分からなかった。  ⋯⋯そんなの口が裂けても言えない 「実は女の人もね、他の人が丈短いとさ、見えないかな~ってちょっと見ちゃうから、これは立派な研究結果の一つなんだよ。だから、喜志可くんは悪くないよ! ただし、盗撮とかはダメだからね?」  パンツちら見えがどれだけ素晴らしいのか、謎の力説を続ける先輩は、突然ミニドレスの裾をたくし上げ、中のパンツを見せつけてきた。 「ほら、見て。正解はただの見せパンでした~。パンツにしか見えなくて可愛いでしょ、薄ピンクのフリルが特にね」  喋りながら、なぜか先輩の顔がどんどん沸騰していく。  ⋯⋯あれって⋯⋯もしかして見せパンではないんじゃ⋯⋯ 「すぐに記憶って消せる? ねぇ、今すぐ消せる?」  真っ赤な顔で間近に迫ってくるエンナ先輩に、俺は「消しましたから!」と思わず叫んでしまった。  すると、一人がやってきて⋯⋯ 「あ、ザイと会長、そんなところで何やってるんですか?」 「な、なななな、なんでもないけど~?」 「会長がそんな焦るの、初めて見ましたけど?」 「い、いいから! 二人は早く食べてきなさ~いッ!!」  一体何の時間だったんだ⋯⋯。  エンナ先輩のあんな様子、俺も初めて見た。  先輩も焦ったりするんだな。どちらかといえば、いつも弄ばれる方だったんだけど⋯⋯。  ただ得
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-03
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