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15. 極室≪PentHouse/Suite≫

Auteur: Mr.Z
last update Dernière mise à jour: 2025-08-26 16:29:08
 三人で一旦俺の部屋へと集まり、状況を確認する事にした。

 さっきの警備員が、実は"ProtNeLT"というアレだった事も伝えると、スアの顔は青ざめていった。

「ねぇどうしよ⋯⋯ここにいても、また来るかもしれないよ⋯⋯」

「⋯⋯このホテルから出た方がいいか」

「待ってください! その"ProtoNeLT"というのはなんですか?」

「あ、あぁ、モアは知らないんだったよな。昨日、新大阪大学にオープンキャンパスに行ってきたんだよ。そこに"赤と青の謎のドア?"があって、中には"訳分からない人型のAI"が大量に並んでたんだ。それが"ProtoNeLT"って名前が付いてた。確かあれは略された名前で、本当の名前は"Prototype/Next time Living the Things"だったような⋯⋯」

「な、なんですかそれ⋯⋯?」

「俺たちもよく分かってない。ただ、あの場所で見ただけで⋯⋯」

 話してる途中、スアが後ろから抱き着いてきた。

「な、なにして!?」

「ごめん、ちょっと許して⋯⋯。ザイの首筋の匂い嗅ぐとね、落ち着くの⋯⋯」

「そのクセまだ治って無かったのかよ!?」

「うん。我慢してただけ⋯⋯」

 スアが俺の首元で大きく深呼吸し、その度になんとも言えない感覚が走る。

 モアはというと、口をポカンと開けたまま、唖然とこっちを見ている⋯⋯。

 これはこいつの昔からのクセで、こうすると何事も上手くいくような落ち着きを得られるそうだ、意味分からなすぎる。

 高校生になってから治ったと思ってたのに、全然治ってねぇし⋯⋯!

 でも嫌いってわけでもないから、別にいいんだけど⋯⋯

 ⋯⋯もしかして、エンナ先輩に頭嗅がれたせいで戻ったんじゃ

 あ、そういや先輩の方は何も起きてないよな⋯⋯?

 俺はスアに嗅がれながらも、L.S.ですぐさまXTwitterを確認した。

 すると、なんとここだけでなく、各所で"常軌を逸した事件"が多発しているという情報が流れ込んできた。

 いきなり殴られたというところもあれば、ナイフで刺されそうになったところも、爆炎が起こったなんてのもある。

 さっきまでいた竜星天守閣内でも、同様の事で混乱しているようだった。

 さらにヤバいのが、大阪以外には連絡が取れなくなっているらしく、その上、大阪から出ようとしたところ
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