「そうね。浩二にも、もっと頑張るように言っておくわ。もし蛍が浩二を選んでくれたた、がっかりしないでちょうだい」と撫子は言った。「もう、何言ってるのよ」玲奈は撫子と話が弾んだ。……その後、玲奈と暁は隅の方へと移動した。「要の好きにさせてあげて」「千葉様、本当によろしいのですか?」「ええ、決めたわ」玲奈の目には強い意志が宿っていた。もし天音と最後まで添い遂げた後、要が再婚したくなったら、また手術で元に戻すこともできる。でも、もし要が再婚する気がないのなら、どうしたって何の意味もないでしょ?「就任式が終わって、数日時間ができたときにお願いするわ」玲奈は気持ちを落ち着かせながら言った。暁は黙っていた。……遠藤山荘の門前も、なにやら騒がしくなっていた。大地は蛍の手を引いて、門の陰に隠れて様子をうかがっていた。少し離れた車のそばで、龍一が夏美の手を握っていた。「夏美……天音に数百万使ったなら、君には数千万振り込むよ」龍一は優しく言った。夏美は龍一の手を振り払い、彼を睨みつけた。「お金の問題じゃないでしょ?加藤さんには旦那さんがいるのに。彼女の旦那さんはすぐそばに座っていたじゃない。あなたがお節介を焼く必要があったの?」「隊長が何も言わなかったじゃない……天音の会社は始まったばかりで資金繰りも大変なんだ。子供も二人いるし、それに、天音は直樹にも色々と良くしてあげている。俺の命も何度も救ってくれた。だから、助けられるときに助けてあげたいんだよ」夏美は龍一の胸を強く指で突きながら詰め寄った。龍一は夏美の気迫に押され、じりじりと後ずさった。「まだ言うの?言い訳ばっかりじゃない。結局、あなたは加藤さんのことが忘れられないだけなんでしょ!」夏美は目を赤くして龍一を睨みつけた。龍一が黙りこんだことで、それを認めたとでもいうように見え、ますます腹が立った。夏美は自分自身にも腹を立てていた。「私が馬鹿だった。こんなの自業自得よ」夏美は車に手を打ちつけ、痛みに声を上げた。龍一は夏美の手を取り、優しくさすってやった。龍一の優しい様子を見て、気持ちが揺らいでしまった。彼の温かい手のひらが指先に触れると、胸がキュンとなる。でもそれが余計に夏美を弱気にさせた。「あなたは悪くない。悪いのは私よ。あなた
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