竜也の意地悪な笑みを見て、海人はすぐに悟った。こいつはすでに落とし穴を掘って待ち構えていると。しかも、飛び込まざるを得ない状況だ。海人は警戒心を露わにして問い返した。「条件ってなんだ?まさか悪徳大家みたいに、家賃を何百倍、何千倍にも釣り上げるつもりじゃないだろうな?」「まさか。俺たちは友達だろ」竜也は笑って、誠実そうな顔を見せた。「それに、たかが知れてる金額だ。そんな真似はしない」ほほう。さすがは黒川家の当主だ。何百万、何千万という金など端金にすぎないらしい。しかし、彼が言うと嫌味に聞こえないどころか、妙に説得力がある。海人は感心しつつも尋ねた。「じゃあ、望みを言ってみれば?」竜也が良からぬことを考えているのは間違いない。案の定、竜也はその期待を裏切らなかった。「お前、うちのばあちゃんを喜ばせるのが得意だろ?何とかして、あの人に仮病を使わせてくれないか」ここで言うばあちゃんとは智子のことだと分かり、海人は首を傾げた。「仮病?」竜也は頷く。「ああ、仮病だ」海人は彼の輝く瞳を見て、瞬時に意図を理解した。「なるほど、そういうことか。梨花を霞川御苑におびき寄せる気だな?」先日、智子は一人で家にいた時、階段から落ちそうになったのだ。心配した竜也は、彼女を霞川御苑に引き取って同居させていた。何かあっても、そばに誰かがいればすぐに病院へ運べるからだ。竜也は肯定も否定もせず、ただ淡々と彼を見やった。「で、部屋は借りるのか、借りないのか?」「……」海人は心の中で毒づいた。可哀想な梨花ちゃん。よりによって、こんな腹黒い男に目をつけられるなんて。騙し討ちのような手口に、純粋な女の子が抗えるわけがない。これが自分の妹なら絶対に反対するところだが、あいにく自分の妹は……顔を見るのも嫌になる桃子だ。シャワーを浴びて出てきた梨花は、バスタオルで適当に髪を拭いている時、ベッドに放り投げてあったスマホが鳴った。手に取ってみると、メッセージが届いた。【お風呂、上がった?】まさか監視カメラでも仕掛けてあるんじゃないの?タイミングが良すぎる。スマホを手にした竜也は主寝室に戻ったが、トーク画面を開いたままだ。「入力中」の表示が出ると、切れ長の目尻が下
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