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73.恋に気づいた日⑥

Author: Aica
last update Last Updated: 2025-09-26 22:56:41

「ビックリしたでしょ。こいつのこんな姿」

「あっ。はい。まだここまでの姿は見たことなかったんで」

「あっ、君も座ったら?」

「あっ、はい。失礼します」

そして自分も空いてるソファーへと座る。

「社長。いつもこんな感じなんですか?」

「まぁかなり飲み過ぎた時はね。でも、ここまでなる時は大抵オレがいるとわかってる時にしかならないけどね。一人だと絶対警戒してるから自分で抑えるんだけどさ。オレがいるとこうやっていつも最後に回収するってわかってるから、安心して飲んじゃうこと多いんだよね」

「なるほど……」

「あっ、じゃあ今日は本村さんも一緒だったんですね」

「うん。そうだよ」

「よかった……」

あの九条さんって秘書の人と二人だけかと思ってたから、つい安心して心の声が漏れる。

「ん?」

「あっ、いえ! なんでもないです!」

「何? もしかして九条と二人だけかと思った?」

「え!!??」

何この人エスパーなの!?

「大丈夫。よっぽどのことがない限りは絶対オレがついてるから。秘書と二人だけとかこいつ何されるかわかったもんじゃないでしょ(笑)」

「え!? そんな皆が認識してる感じなんですか!?」

「そう。特に九条なんていつも鼻息荒くしてるからね。オレがこうやって守ってやらないと危ないのなんのって(笑)」

「フフッ。本村さん社長のボディーガードみたいですね(笑)」

「ホントまさにそんな感じだよ(笑)」

そっか。ちゃんと側にいる本村さんもそういうことわかってるんだ。

なら、あたしのいない時でも安心だな……。

「まぁ、オレがいない時は、君がボディーガードになってくれてるみたいだけど?(笑)」

「あっ、いえいえ! そんな! 大それたものでは!」

「大それたって(笑)  でもまぁプライベートでは君が近くにいてくれて、オレ的には安心してるんだよ」

「えっ!? あたしといてですか!?」

「そう。慧ってさ、自分一人で抱えるとこあるからさ。正直オレがいない時とかオレが知らないところでも自分一人でなんとかして頑張っちゃおうとするところあるから」

「あぁ。確かに。それ、わかります」

「でもさ。こいつのこれって体質じゃん。なのに仕事では酒飲まない訳にはいかないし。正直それ自分で守るっていっても限界があるからさ」

「ですよね」

「それを自分で守れる程度ならいいんだけどさ。まぁこいつ見てわかるようにこのイケメ
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