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少女がやらないゲーム実況 のすべてのチャプター: チャプター 1 - チャプター 10

30 チャプター

0.赦し乞い

�の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います �の赦しを乞います※�は記号。環境依存文字のため文字化けしています
last update最終更新日 : 2025-08-14
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1.たけりゅぬのポートフォリオ

盗作の件を話す前に、たけりゅぬのことを知ってもらおうと思う。面倒なら次の「2.盗作について」まで読み飛ばしてもらってもいい。ただここにはこの事件の大事な鍵がいくつか隠されていることだけは言っておこう。 たけりゅぬがWEBの投稿サイトに小説を書きはじめて7年になる。初期のころは迷走につぐ迷走、黒歴史を積み重ねたが、この頃はようやく初心者の域を脱し、落ち着いて執筆できるようになってきた。その結果、40万字越えの長編が2本、20万字越えの中編が4本(完結:1/エタ:3)、短編が1本、エッセー1本。全文字数100万字を超えた。そのなかでメインで書いているのが「辻沢シリーズ」または「辻沢オープンワールドシリーズ」という。辻沢という架空の町を、女子高生や女子大生がオープンワールドゲームのように探索するのをコンセプトにした、ホラー寄りのファンタジーシリーズだ。辻沢は、古くから隠れ遊里として栄えたが昭和に一旦さびれ、近年ようやくN市のベッドタウンとして再興しつつある町だ。山椒が特産品でいたるところにその印を見ることが出来る。また、戦国に町を興した双子のヴァンパイアが祀られ、屋号を持つ旧家が多く存在し、女児の乳犬歯を折る「辻沢の割礼」や葬式を必ず夜にする「影隠し」など因習残る町でもある。裏世界ではヴァンパイアの「妓鬼」が町を牛耳り、人狼の「鬼子」が密かに息づいていて、人の魂を吸い取り体を乗っ取る魔物の『ヒダル』妓鬼に殺されて濁世を彷徨うゾンビの「屍人」地元発祥のコングロマリット、ヤオマンHDが屍人から造ったホムンクルスの「蛭人間」といった人外が暗闇に蠢く町でもある。改めていうまでもないが、辻沢はたけりゅぬが創造した、この世には存在しない町だ。シリーズ作品としては、第一作『ザ・ラストゲーム・オブ・辻女ヴァンパイアーズ』(中編18万字、GoodNovel掲載中)第二作『ボクらは庭師になりたかった』~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)(長編40万字、GoodNovel連載中)第三作『辻沢のアルゴノーツ』~鬼子のエニシは地獄染め(長編50万字)は全作完結済み、代表作の『辻沢のアルゴノーツ』は某サイトでキャリアハイの21万PVを更新中で今も100PV/日を頂いている。そしてスピンアウトの『死せる天使の裏声』~アンチに搭乗機を
last update最終更新日 : 2025-08-14
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2.盗作について

 先日、私のXのフォロワーさんから「たけりゅぬさんの作品が盗作されてます」 という内容のDMを頂いた。投稿サイトKに辻沢シリーズを真似して書いているアカウントがあるというのだ。投稿サイトKには、キャリアの初期よりずっと作品を投稿してきが、今年の6月をもって完全撤退した。今は、投稿サイトKを主戦場としているフォロワーさんの作品を読みに行くくらいで、以前のように新作やランキングをこまめにチェックしなくなっている。試しに「ヴァンパイア」「鬼子」と検索ワードに入れるとその盗作疑惑の作品がヒットして最上位にリストされていた。以前なら私の辻沢シリーズくらいしかヒットしなかった。鬼子だけならまだしも、ヴァンパイアと二つに紐づいているとなると、私としてもやぶさかでなくなる。なぜなら辻沢シリーズは、私が学生時分に思い描いた、ヴァンパイアと人狼(鬼子)とフランケンシュタインの怪物とが普通にいる世界を書きたいという思いを実現しているからだ。当時の親友は私のアイディアを聞いて、「そんなの誰が読むの、怪物くんかよw」と嘲笑った。信頼していた親友に全否定されたことで私は自信を喪失して小説が書けなくなってしまったが、親友との縁も切れ、長い年月をかけて回復した私はようやくそれを書けるまでになったのだった。「ヴァンパイア」と「鬼子」という設定自体への私の思い入れのほどを知って貰えただろうか。 盗作アカウントは頭文字をとって「D」としよう。このアカウント名を見ただけで私を意識しているのが分かるが、その点は掘り下げないことにする。Dのプロフには「これまで二次創作をしていたが、念願の一次創作を始めることにした」とあった。二次創作者がすべてそうだとは思わないが、盗作の資質ありとDの作品を読んでみた。タイトルは明かさずにおく。内容はよくあるヴァンパイアが主人公のパニックものだ。この作品の中での鬼子はヴァンパイアの亜種。『鬼滅の刃』を挙げるまでもなく、ヴァンパイアを鬼に例えるのはよくあることだからグレーのようだが、属性はヴァンパイアの眷属で満月ごとに変身
last update最終更新日 : 2025-08-14
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3.奇妙な依頼

 いつものようにXアプリを開いて自作小説の更新情報をポストしようとしたら、メッセージに①と青字の通知が表示されていた。私宛にくるDMのほとんどはフォローのお礼なので、前回アクセスした時フォロー追加した人からだろうと思って開いた。(突然のDM失礼します はじめまして[コンニチハ] 私はたけりゅぬさんの辻沢シリーズのファンです[ハート])こんなふうに直接ファンですなど言われたことがなかったので嬉しかった。だが、マルチや投資の勧誘の可能性もあるから警戒してカウントを見てみると、Dとあった。盗作者と同じ垢名だ。同一人物か確認するためプロフにあったアドレスをたどると投稿サイトKのDのページが開いた。その途端あの時の不愉快な気分が蘇って来たので無視しようと思ったが、もしかしたら盗作を謝罪する気かもしれないと返事をした。(初めまして 私の作品を読んで頂きありがとうございます) と返すと待っていたかのようにすぐに返信が来た。(お返事ありがとうございます[アリガト] DMさせていただいたのは どうしてもたけりゅぬさんにお願いしたいことがあったからです[マジメ]) 謝罪でなくお願い? しかも絵文字付きで? 自作で「辻沢町」や「宮木野線」を正式に使用させてほしいということか。そうだとしても、まず無断で使用したことを謝るべきだと思うが、(お願いとはなんでしょう?)(実は私の友人が行方不明になりまして たけりゅぬさんに一緒に探してほしいのです[オネガイ]) 訳がわからなかった。まず、行方不明なんて今時あるのかと思った。誘拐? 神隠し? ワンチャンただの家出では? 一緒に探せって? 本当に行方不明なら警察に行けよ。警察がだめなら探偵とか雇えばいいじゃん。見ず知らずのWEB小説家に頼むことか? アホなの? としばらく考えていると、(この子なんですけど だめでしょうか[フアン]?) というメッセージと同時に画像を送って来た。そこにはピンクの髪をポニーテール
last update最終更新日 : 2025-08-15
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4.都市伝説「辻沢行き」

 Dのことがあって、私はすぐに辻沢を調べなおしてみることにした。最初に、辻沢と名付けた経緯を話すと、『辻女ヴァンパイアーズ』を書いている時にぱっとひらめいたというのが本当で、『辻ヴァ』の後書きで沖縄に戦中まであった辻遊郭から取ったと書いたのは嘘だ。実は私が辻遊郭の存在を知ったのは書き終えた後、遊女について調べていて『辻の華』(上原栄子著)を読んでからだった。つまり後付けだったのだ。とはいえ、知らずに付けた架空の元遊郭の町の名が実在した遊郭の名に似ていたということにはシンクロニシティ―を感じずにはいられなかったのだけれど。 7年前、町の名を決める時ネットで「辻沢」という町や村が存在するか検索した。辻堂、辻森、辻久留と辻の字が付く地名は沢山ヒットしたけれど辻沢という土地は奇跡的に存在しなかった。今思えば辻と沢とは地名として相容れない要素同士なのかもしれないが、他にないことに気を良くしてシリーズのロケーション名に決定したのだった。 だから今回辻沢を検索しなおしてみて、結果に「辻沢」が地名として扱われているらしい記事が見つかったのは意外だった。その時は、初めてエゴサして自分の名前が一覧で表示された時の、言い知れない期待感や不安感と同じものを感じた。ところが、記事を開いてみて分かったのは、期待感のほう、私の辻沢シリーズへの言及はなく、不安感のほう、まったく関係のない土地についてばかりなのだった。 それらの記事はどれもオカルト扱いで、まとめると都市伝説「辻沢行き」という話型が浮き上がってくる。私が把握できた範囲で言うと「辻沢行き」とは次のような内容だった。・辻沢という場所がある・どこにあるか分からないが行くことができる・行ければ願いが叶う  これを見ても都市伝説「辻沢行き」は辻沢シリーズとは関係がないことが分かる。なぜなら私は辻沢にそんな設定をした覚えはないからで、たまたま町名が合致したものなのだろう。「辻沢行き」は、有名掲示板のようなところで取り交わされる場合もあるのだが、それらは大概揶
last update最終更新日 : 2025-08-16
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5.記憶とはよ

 Dから再び連絡が来たのは、最初のDMの二日後だった。(たけりゅぬさんはオカルト界隈[ガクブル]で噂されている「辻沢行き」は知ってますか?) 私は、今まさにそれを追いかけてため同志を得た気持ちで前のめりに返事をしようとしたが、心のどこかから、ちょと待てたけりゅぬ、またタイミング良すぎじゃね? という声がしたので、(知りません)と返えした。 Dからの最初の連絡があったのも盗作作品を覗きに行ったタイミングだった。しかも足跡を残すようなことをしなかったにも関わらずだ。 Dの盗作作品が掲載された投稿サイトKは、アカウント登録者なら掲載された作品にコメントしたりいいねや5段階評価のスターをつけられる。同時にリアクションされたユーザーは登録情報から誰によるものか知ることが可能だ。私も長い間利用していたので、どうすれば相手に分からないように作品を読めるか熟知しているので、私が読みに行ったことをDに分からないようにしたはずだった。なのにDは、まるで私のブラウザを覗いていたかのように、次の日に連絡をしてきたのだった。(「辻沢行き」というのは…) Dは私に、画面を何度かスクロールしないと全部が読めないくらいの分量の「辻沢行き」情報を送って来た。おそらく用意した文章をコピペしたのだろうけれど、込められた熱量に圧倒されるには十分だった。(読んだら感想ください[オネガイ]) そこには「辻沢行き」で私がまだ知らない事も書かれてあった。・辻沢駅は昭和に廃線になった宮木野線にあった。・宮木野線はN市駅から出ていたらしい。・N市駅から宮木野線に乗らないと行けない。辻沢シリーズでも辻沢駅はターミナルステーションのN市駅から宮木野線で揺られて数駅行った先にある。ここからも、「辻沢行き」が辻沢シリーズを土台に作られたように感じるのは私の独りよがりではないと思う。ただ、宮木野線は昭和に廃線になった実際の路線だというし、「辻沢行き」のN市は実在する都市名、辻沢シリーズのN市はNothing市で、存在しない都市という意味だからまったく違うのだった。 Dも私の作品のファンを名乗るならば、その相関関係に一言あっても良さそうだが、いっさいそのことには触れず、あくまでも外部ソースからの情報のように書いて来た。私はそれが少なからず苛立たしかった。それでというわけでは
last update最終更新日 : 2025-08-17
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6.Dに遭う

 辻沢の場所が地図で特定できているのにDは、(辻沢に行きましょう) と誘ってこなかった。それどこか、(情報共有したいので一度オフ会しませんか? ご挨拶もしたいですし[モジモジ])と言ってきた。友達を探すために急いでいたのではなかったのか? なのに会いたいなんて何か裏があるのではと思ったが、速攻で受けることにした。もしも辻沢に行くとなったらいずれ会うことになるからで相手が女子大生だからというわけでないのは、はっきりと言っておきたい。(いいですよ どこでしますか?) 送信してしまってから、なんかやらしく見えたので取り消そうとしたけれど、Dはこの時も即返でキャンセルできなかった。(明日9時半[トケイ]にここに来て下さい)「ここ」にGoogolyマップのリンクが張られていた。リンクを開くと巨大テーマパークに隣接したI商業施設にマーキングが打ってあった。(ここ?)(私たちのガッコ―に一番近いスタバ[コーヒー]です) あんなところに大学があっただろうか? セッションを終わりにして風呂に入った。「使うな! コロすゾ」と書かれたヨーコ専用のフローラルシャンプーをちょっともらって頭を洗う。こちらも「使うな! コロすゾ2」と書かれたフローラルリンスを使ってみた。普段はリンスなんてしないけれど、乾かしてみたらパサパサだった髪が驚くほどつややかになっていた。これはいい。世のおっさんたちにお勧めだ。リンスをすると若返りますぞ、ご同輩。ジジーか!(笑) 洗い場でムダ毛処理(髭とかすね毛とか手の甲とか)をしてから上がる。リビングでヨーコと出くわす。頭の匂いをかがれたらコロされるので、そそくさと二階に上がる。ヨーコの声が追いかけて来た。「なに浮かれてんだ。オッサン」 それでようやく自分が浮かれていたことに気がづいた。知らぬうちに心が明るくなっていたのだった。女子大生恐るべし。明日着て行くものを揃えて早めに寝床に入った。電気を消しタオルケットを
last update最終更新日 : 2025-08-18
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7.辻沢の地図

 Dは背負っていた強大なバックパックをテーブルに載せて、中から資料を取り出した後、再び背負おうとした。「重くないですか?」 中身がぎっしり詰まっているように見えたのだ。ここは出入りが激しいためか物置用の籠がなかった。この混みようじゃ隣の席が空いてても置けない。それを気にしたのだろう。「テーブルの下にフックがあるよ」 Dは手で探って、「ホントだ。お詳しいですね。そっか、スタバでずっと執筆してたんでしたね」 今年に入ってからずっとスタバに居座って執筆をしていた。原因はわからないけれど家で小説が書けなくなったからだった。 Dはそう言いながらバックパックはフックに掛けず、また背負いなおした。「やっぱりこのままで」 お好きにどうぞ。 資料をそろえだしたDの手元を見ながら、「Dさんって呼び方でいいんですか?」 最初にDさんと呼んだ時、周りの人がこっちを見たくらい、かなり癖のあるペンネームだからだった。「そうですね。じゃあ、お互いに呼び方を変えましょう」「え? 私も?」「はい。たけりゅぬって言いずらいです」 たけりゅぬは去年変えたPNだが、人から呼ばれたのは今回が初めてだった。「たけりゅぬ。たけりゅぬ。ホントだ。確かに言いずらい」 ずっと文字情報としてしかやりとりしてこなかったので、まさか言いずらいなんて思いもしなかった。「でしょ。何にします?」 急に言われても、思い浮かばない。「タケルさんでどうです? 前のペンネームの」 私の前のPNは真毒丸(しんどくまる)タケルと言った。しんどくなるくらい仕事が来ますようにと名付けたが、しんどくなるばかりで一向に仕事が来なかったので変えたのだった。怖いPN、呪われてそうと言われたこともあった。それでもっとお気楽な感じにしようと、いろいろ面倒な真毒丸を切り捨ててタケルを「たけりゅぬ」にしたのが今のP
last update最終更新日 : 2025-08-19
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8.使えない電話

 夏休み明けの平日ということもあって、巨大テーマパークはそれほど混んでいなかった。とはいえ、並ばずにアトラクションに乗れるなどということは夢のまた夢だった。「夢の国だけに」「はい? なんでしょう」 先を歩くDが振り向いて怪訝そうに私を見た。何でもないと分かるとまた前を向いて探しものを始めた。入園してからずっと、お互いに話すことがなくて沈黙を続けていて、片方が言った独り言に過剰反応するやつを繰り返している。付き合い始めのカップルが、長い列に並んで話始めたはいいが早いうちに話題が尽きてしまった後と一緒だ。でも、私とDとはまだ一つもアトラクションの列に並んでいなかった。空いていたというのではない。本当にアトラクション無視で調査中なのだった。「見つかった?」「たしかこの辺りにもあったかと」 Dが探しているのは電話だった。公衆電話ではない。ガラケーでもなかった。アトラクションや建物に時々設置されている電話の形をした遊具だ。受話器を取ると、名前を言ってはいけないあのネズミが甲高い声で、〈ハロー! 元気? ボクはとっても元気さ! 君の名前を教えて〉 と一方的に話し出すあれだ。 最初に見つけた場所は、ヨーコが3歳の時に来て、一日中そこだけで過ごしたカトゥーンワールドだった。そこにあるアトラクションの外壁に電話機が取り付けられていたのだ。カトゥーン調にデフォルメされたスカイブルーの受話器を手に取ったDは、「これです。使えない電話」 と言って私の耳に当てて来た。〈キミの好きなことを言ってごらん〉「なんだろう。そうだなあ……」〈それはとってもとっても素敵なことだね。ボクが好きなのは名前を言ってはいけないあのメスネズミさ〉 何も言ってないのに素敵なことって。確かにこれは使えないと納得した。そもそも彼女は「こと」ではなかろうし。 私が
last update最終更新日 : 2025-08-20
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9.魂の軽さ

 海賊王のアトラクションの列に並んでいる間、昨日の動画のことを聞いた。「レイカさんはどこで配信してるの?」 私もゲーム実況は好きだから、めぼしい配信プラットフォームは知っている。 それで昨晩それらを漁ってみたが、動画以前にレイカという名のピンク髪した配信者は見つからなかった。「レイカはどこかの企業と専属契約かわしてて、その企業の会員制プラットフォームでしか活動してないんです」 どこで検索かけてもヒットしなかったわけだ。「あの動画が観られるってことは、ミヤミユはそこの会員ってこと?」「いえ、違います。ホントは守秘義務とかあっていけないらしいですけど、いつもはレイカが直接切り抜きをラインしてくれるんです」 なるほど。門外不出を漏洩させたってことか。著作物の無断使用と言い、なんだろう、このモラルの低さは。「昨日の動画、もう一度見られる?」 セッションが終わってから見ようとしたらリンクが切れていたのだった。「見れますよ」 昨日はあの動画を青墓の杜だと思い込んでしまったが、辻沢の地図の真贋がはっきりしなくなった今、疑う余地が出て来たのだった。 Dは持っていたスマフォを操作して私の目の前に差し出した。画面いっぱいに昨日の最初の場面が映し出されていた。私がスマフォを受取ろうとするとDは持つ手を少し引いて、スマフォの後ろから指を回し再生ボタンを押した。どうやらこのまま見ろということらしい。 ピンク髪の少女が棒を振り回し、短いセリフを吐いて、画面の外に消える。動画の再生時間は約1分。蛭人間との戦闘中らしいが、敵の姿は見えない。暗いからではない。蛭人間が映らない存在だからだ。これは辻沢シリーズの蛭人間と同じ仕様だ。蛭人間はヴァンパイア由来のホムンクルスなので、鏡に映らないという属性を受け継いでいる。それは現代の鏡であるCMOSやCCDでも同じで、だから蛭人間は動画に映らないのだ。 改めて見ると、暗闇で少
last update最終更新日 : 2025-08-21
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