司野は本当に冷酷非道だ。身体の弱った老人相手でさえ、情け容赦というものがない。曲がりなりにも、数年間は「おばあちゃん」と呼んでいた相手だというのに――あの男の心は、石でできているのだろうか。素羽は喉の奥から込み上げてくる苦しさを飲み込み、無理やり口角を上げて笑ってみせた。「最近、すごく忙しかったの。次は、こんなに間を空けずに来るからね」芳枝は黙って、素羽の手を握り返した。言葉はなくとも、それで十分だった。司野はフルーツの盛り合わせをサイドテーブルに置いた。「おばあちゃん、果物でも食べて。ビタミンCを摂らないと」芳枝は小さく頷いた。「そうだね」司野は素羽に視線を向けた。「二人の邪魔はしないよ。俺は外で待ってるから」素羽は唇をきつく結び、溢れ出しそうになる感情を必死に押し殺した。踵を返した司野は、口元にうっすらと笑みを浮かべて言った。「おばあちゃん、ゆっくり休んでね。また来るから」病室に二人きりになると、芳枝はついに平穏を装いきれなくなり、慈愛に満ちた表情で素羽の手の甲をそっと撫でた。「素羽、辛い思いをさせたね」肉親から向けられる情けほど、感情を激しく揺さぶるものはない。素羽は鼻の奥がツンとし、目頭が熱くなり、喉が詰まるような感覚に襲われた。素羽は首を横に振った。「ううん、辛くなんてないよ。ちっとも、辛くない」芳枝は、あちこちに染みの浮いたその手で、素羽の手を強く握りしめた。「素羽の人生は、素羽自身で決めなさい。お父さんのことで、司野の家には頼るんじゃないよ。悪いことをしたなら償うべきだし、やっていないなら、警察だってむやみに捕まえたりはしない。法律を信じよう」祖母の掌はかさついていたが、確かな温もりがあった。素羽はありったけの力を込めて、握り返した。真っ白な髪、そして数日会わないうちにまた増えた皺や染みを見つめ、素羽は胸を締めつけられる思いがした。それでも、安心させるように微笑んで答える。「うん、わかった。おばあちゃんの言う通りにするね」でも、おばあちゃん。法律だって、決して公平なものじゃない。中には、法律の上に君臨できる人間だっているんだよ。素羽は祖母が眠りにつくまで病室に付き添い、後ろ髪を引かれる思いで部屋を後にした。病院の出入り口で。司野は入口に立
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