休養?謹慎処分じゃなくて?友人として、亜綺は諭すように言った。「美宜、やっぱり司野お兄さんとは別れた方がいいんじゃない?」亜綺から見れば、司野はまだ素羽に未練があるように見え、離婚する気配はまるでなかった。このままでは、美宜は一生愛人という立場のままで終わってしまうのではないか――そう言いたかったのだ。美宜は途端に声を荒らげた。「どうして別れなきゃいけないの?司野さんが好きなのは私よ。素羽はただ妻っていう肩書きがあるだけ。司野さんの心の中では取るに足らない存在なの。離婚なんて時間の問題よ」亜綺はその剣幕に驚き、思わず顔をしかめた。なぜ自分が怒鳴られなければならないのか。ひとしきり感情をぶつけたあとで、美宜は自分が激昂しすぎたことに気づいた。亜綺の性格を思えば、きっと気を悪くしているに違いない。美宜はすぐに話題を切り替えた。「そういえば、清人さん、司野さんに殴られたんだって」案の定、亜綺の意識はあっさりとそちらに引き寄せられた。「いつのこと?どうしてそんなこと知ってるの?」美宜は、都合のいい部分だけを切り取って話した。「素羽が清人さんの人脈を使って司野さんと離婚しようとして、それが司野さんにバレたの。清人さんは巻き込まれただけよ」亜綺は言葉を失った。先日、司野が事務所に押しかけて清人を殴った出来事が脳裏をよぎる。まさか、あれも素羽が原因だったというのだろうか。美宜は畳みかける。「清人さん、今日、仕事に来てないでしょ?」「……そうだよ」「顔が傷だらけで、家で療養してるの」美宜は尾ひれをつけた。「素羽さんが離婚したがってるのは、きっと清人さんに目をつけてるからよ。家柄もいいし、次の相手として申し分ないものね」その瞬間、亜綺の顔色がさっと変わった。「素羽が……清人さんを誘惑しようとしてるって言うの?」「さあ、どうかしら。でも、清人さんを動かしてまで須藤家と敵対させるんだもの。素羽が何もしないわけないと思うわ」亜綺は感情的に言い返した。「清人さんが人妻を好きになるわけない!」その言葉が美宜に向けられたものなのか、それとも自分自身に言い聞かせているのか、亜綺にも分からなかった。美宜は静かに続けた。「清人さんは品行方正な人だけど、だからって素羽によこしまな考えがないとは限らないわ。あの人、猫をかぶって
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