二年ぶりに会う彼女は、以前よりもずっと大人の女性らしく洗練され、落ち着きを増していた。それ以降、貴博がその話題に触れることはなく、真琴を困惑させるような無粋な真似は一切しなかった。これほどの権力を握りながらも、彼は決して相手を追い詰めるようなことはしない。少なくとも真琴に対してだけは、一切のプレッシャーを感じさせないよう気遣っていた。食後、貴博は真琴を川沿いの散歩に誘い、夜景を楽しんだ。彼自身も、政界に身を投じてから、ここまで心からリラックスできたのは初めてのことだった。隣を歩くのが、他ならぬ真琴だったからだ。肩を並べてゆっくりと歩きながら、貴博がさりげなく話題を振り、二人の間にはずっと穏やかな空気が流れていた。彼と一緒にいると、真琴も自然と肩の力が抜けるのを感じた。二年前も、貴博の前では少しの息苦しさも感じなかったことを思い出す。夜も更け、午後十時を回ったところで、貴博は彼女を車でホテルまで送り届けた。車がホテルのエントランスに滑り込む。真琴がドアを開けて降りると、彼もわざわざ車から降りて、静かに見送りに立った。バッグを肩にかけ、真琴は丁寧にお辞儀をした。「事務局長、今日は素晴らしいおもてなしとお食事を、本当にありがとうございました」その礼儀正しい態度に、貴博は柔らかく微笑んだ。「時間ができたら、いつでも連絡して。私はしばらく、そこまで忙しくないから」実際には目の回るような忙しさだったが、相手が真琴であれば、時間はいくらでも作るつもりだった。二年前、彼女への想いを胸の内に秘めたままだった彼だが、今回はもう隠すつもりは一切ない。二度と同じ過ちを繰り返すつもりはなかった。彼の言葉に、真琴は小さく頷いた。「ええ、また連絡します」再度挨拶を交わし、彼女はホテルの中へと消えていった。エントランスに立ち尽くす貴博は、すぐには立ち去ろうとせず、真琴の姿が見えなくなるまでその場で見守っていた。完全に姿が見えなくなっても、彼の足は動かない。思わず口元が緩んだ。真琴が帰ってきた。これ以上素晴らしいことなど、この世に存在しない。一方、少し離れた駐車場の暗がり。両手をハンドルに乗せた信行の表情は、これ以上ないほどの絶望に染まっていた。遠くを見つめるその虚ろな視線は、長い間動
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