『パース・テック』の祝賀会は、昼間のロードショー同様、なんとも締まりのない幕切れとなった。志帆は終始、張り付いた笑顔の下で屈辱に耐え続けた。ようやくお開きになり、一息ついたところで、太一がまだ顔を見せていないことに気づく。彼女はすがるような思いで電話をかけた。数コールの後、ようやく繋がった太一の声は歯切れが悪かった。「あー……ワリィ、志帆ちゃん。急用ができちまってさ、そっち行けそうにないや」その言葉に、志帆の胸に冷たい風が吹き抜けた。私が今、どれほど心細い思いをしているか分かっているはずなのに。誰か一人でもいい、味方が欲しかったのに、誰も来てくれないなんて。志帆は二秒ほど沈黙し、渇いた喉で答えた。「……そう、分かったわ。お仕事頑張ってね」「あ、いや、その……」太一が何か言いかけたが、志帆は聞く気になれず、一方的に通話を切った。深く深呼吸をして、崩れそうな表情筋を無理やり正す。スマホをしまおうとしたその時、投資家たちのグループチャットに新着通知が届いた。誰かがアップロードした画像と動画――それは『ココロ』の祝賀会の様子だった。画面の中で、詩織は輝いていた。多くの人々に囲まれ、誰もが彼女を称賛し、言葉を交わしたがっている。詩織は財界の重鎮たちと優雅にグラスを掲げ、自信に満ちた笑顔を咲かせていた。その光景の中に、志帆の見知った顔がいくつもあった。私がどれだけ努力しても認めてくれなかった柊也の父、賀来海雲。彼は詩織を娘のように目を細めて見守っている。私がコネを作ろうと必死だった権威、高村静行。彼は詩織の肩をポンと叩き、親指を立ててその健闘を讃えていた。そして――私が六年かけても手に入らなかった男、京介。彼は詩織のかたわらに寄り添い、彼女に勧められた酒をさりげなく引き受けている。その眼差しは、慈愛と温もりに満ちていた。他にも、名だたる大企業の社長たちが、隠そうともしない好意と敬意を詩織に向けている。……噓でしょ?動画の端に、譲とその母親の姿が映り込んだ。譲の視線は詩織を追い続けており、そこには明確な好意が滲んでいる。そして極めつけは――ついさっき「急用で行けない」と言ったはずの太一までもが、その会場にいるではないか!何もかも……何もかもが、そこにある。詩織は間違いなく、今宵の主役に
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