その直後、電話は切れた。奈穂はわずかに眉をひそめた。この男、メンタルが弱すぎる。たったこれだけで耐えきれず、電話を切ってしまうとは。彼女はすぐに部下へメッセージを送った。【どう?調査の進捗は?】ほどなくして返信が届く。【発信元の場所は特定できましたが、分析の結果、この発信元は偽装されている可能性が高いです】続けて送られてきた位置情報を確認し、奈穂はさらに眉を寄せた。その発信元は、A国の繁華街に位置していた。北斗と高代が、こんな目立つ場所に潜伏しているはずがない。すぐに所在が割れてしまうだろう。どうやら北斗は、電話をかける前から周到に準備していたらしい。当然だ。ここまで必死に逃亡してきた以上、一本の電話で居場所を暴露するはずがない。それでも念のため、奈穂はA国にいる人間に指示し、その発信元の位置周辺を確認させた。結果は予想通りだった。そこに北斗も高代もいなかった。さらに先ほどの番号を追跡しようとしたが、回線はすでに停止されており、無効な番号になっていた。もともと海外番号であるうえ、完全に痕跡を消されてしまっている。だが奈穂は、特に落胆することはなかった。どのみち北斗と高代は、すでに追い詰められている。もはや長くは逃げられない。ましてや海外での逃亡生活など、決して楽なものではないだろう。……高代は蒸し上がったじゃがいもを一つ口に入れ、残りを皿に盛り付けた。それを北斗のところへ持っていくつもりだった。皿の上のじゃがいもを見つめていると、ふいに鼻の奥がつんとし、涙がこぼれた。ここ数十年、こんな苦しい生活を送ったことなどなかった。だがどうしようもない。北斗と共に逃げ回る日々の中で、手持ちの資金はほとんど底をついてしまった。今では毎日、日雇いの仕事を探して、わずかな収入を稼ぐしかない。それでも仕事が見つからない日もある。しかも常に周囲に気を配り、追手が来ていないか警戒し続けなければならなかった。今日だって、買えたのは数個のじゃがいもだけ。これが今日の食事のすべてだ。もし北斗が、食べ物がじゃがいもしかないと知ったら、また不機嫌になるに違いない。高代は涙を拭い、突然声を荒げて罵った。「武也め!私たちを見捨てないって言ったじゃない!それなのに今はどうしてるの?も
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