「──え?」 私がぽかんとしていると、涼真さんが床に落ちたネクタイを拾ってくれて、私に手渡してくれた。 「はい、心。結んで?」 ひょい、と膝を曲げて屈んでくれた涼真さんの顔が、私の目の前に来る。 わ、私が涼真さんの首にネクタイを回さないといけないの? 私がちらり、と涼真さんを見ると。 涼真さんは期待を込めた、キラキラとした目で私をじっと見ている。 「うう……分かり、ました」 私は観念して、少しだけつま先立ちになると涼真さんの首にネクタイを回した。 ワイシャツの襟を正し、涼真さんの胸元でネクタイを結ぶ。 早くネクタイを結んでしまって、涼真さんから離れよう。 そう考えて必死になっていたから、涼真さんの手が私の腰に回っていた事も気付かずに、私は目の前の ネクタイを結ぶ事に必死になっていた。 「──出来た!出来ました、涼真さ」 「ありがとう、心」 私がぱっと顔を上げると、思っていたよりも近くに涼真さんの顔があって──。 がっしりと私の腰を抱かれていて──。 「りょ、涼真さ……んぅ……っ」 ちゅ、と軽く涼真さんにキスをされたと思ったら。 ぐっと私の体を持ち上げた涼真さんに、リビングのテーブルの上に乗せられてしまった。 「ちょっ、ちょっと待ってくださ、」 「ごめん、もうちょっとだけ、心──」 涼真さんはそう言うなり、ぐっと体重をかけてきて。 どさり、と私は背中からテーブルに倒れてしまって。 その上に覆い被さった涼真さんに、気が済むまでキスをされてしまった。 「……お待ちしてました。お着替えに、随分時間がかかったんですね?」 間宮さんの待つ車に私たちがようやくやって来たのは、あれからたっぷり30分くらい経ってから。 私と涼真さんの姿を見た間宮さんは、揶揄うようにそう声をかけてきた。 ドアを開けて私を先に車に乗せてくれた涼真さんは、続いて乗り込んだ。 「着替えに手間取ってしまってな。車を出してくれ」 「かしこまりました」 楽しげに笑い、涼真さんは隣に座っている私の手を握り、指を絡めたりして遊びつつ、間宮さんに話しかけた。 「それで、花里の件は何か分かったか?」 「いえ、今のところ何も出てきませんね……。海外で新しく得た人脈には、どれも不審な部分はありませんでした」 「……なるほど」 「見逃している部分もあるか
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