想像していた通り、新作発表記念パーティーまでの日々は、怒涛の忙しさとなった。 彼の秘書に戻った私は、涼真さんが忙しくなれば、私も必然と忙しい毎日を送る。 工場への視察、生地生産試験のチェック、不都合が起きれば、現場へ飛んでトラブルの解決を行う。 そして、それと同時にパーティーに招待されている他社重役や、提携した氷室社長の会社と取引のある会社の役員などまで全て勉強し、覚えなくてはならない。 忙しい毎日を送る中で、唯一の癒しは自宅にいる陸と凛と遊ぶ事だった。 ◇ ある日の休日、その日は久しぶりに本当に何もない日で。 丸々1日オフだった。 久しぶりにたっぷりと睡眠を取って、平日より少し遅めにリビングに降りる。 すると、そこには既に持田さんと間宮さんが居て、朝食を食べていた。 「加納さん、おはようございます」 持田さんが降りてきた私に気付き、挨拶をしてくれる。 持田さんに続いて間宮さんも声をかけてくれて、私も2人に挨拶を返した。 今日はお手伝いさんがお休みだ。 そんな日は、それぞれ適当に朝食を摂る。 私はお手伝いさんが作り置きしてくれていたおかずを冷蔵庫から取り出して炊きたてのご飯をお茶碗によそい、リビングのテーブルに向かった。 大きなダイニングテーブルは、私たちが座ってもまだ席が余っていて。 私が席に着いた所で、持田さんがちらりと階段の方を見やった後、口を開いた。 「滝川社長はまだお目覚めじゃないんですね」 「はい、そうみたいです。昨夜は取引先と会食があって……涼真さんも久しぶりにお酒を結構飲まれていたので」 「なるほど、それではまだまだ起きられそうにありませんね」 くすくすと笑う持田さんに間宮さん。 「そうだ、加納さん」 「──はい?何ですか、持田さん」 持田さんがふ、と笑みを消して真面目な表情で私を呼ぶ。 どうしたんだろう──。 そう思い、私も食事を進める手を止めると、持田さんが間宮さんをちらりと見て、2人が頷き合う。 そして、私に視線を戻した。 「その、滝川社長から聞き及んでいるとは思いますが……。私と間宮は、正式にお付き合いを始めまして……」 少し照れくさそうに笑う持田さんに、照れたように後頭部をかく間宮さん。 確かに、滝川さんからお2人の事情は聞いている。 私は、ぱっと瞳を輝かせて大きく頷いた。
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