重人との会話を終えた後、水琴は再びスマートフォンの画面に目を落とした。最近、琉里が帰国して以来、メディアは連日のように彼女と灼也のニュースを書き立てていた。二人の関係についての憶測だけでなく、彼らの一挙手一投足がパパラッチによって追いかけられている。【高遠家三男、音羽令嬢とダイヤモンドを購入!ついにプロポーズか!?】そんな見出しがネット上に溢れ返っていた。水琴は震える指先で、そのうちの一つの記事をタップした。記事には短い動画が添付されていた。灼也と琉里が高級ジュエリーショップに入っていく姿だ。そして約十分後、店から出てきた琉里の手には、小さなギフトボックスが握られていた。記者が後日、店のスタッフに裏付けを取ったところ、二人が特注のダイヤモンドを購入して店を出たことは事実だという。水琴は無言のまま画面を閉じた。見たくなかった。でも、映像に映る灼也の口元に、微かな笑みが浮かんでいたのを、たしかに見てしまった。灼也と出会う前、水琴が抱いていた彼の印象は『冷酷で、決して笑わない男』だった。自分と付き合うようになってから、彼は少しずつ柔らかな笑顔を見せてくれるようになったのだ。かつては自分だけのものだと思っていたその笑顔が、今は琉里に向けられている——水琴は胸の奥を抉られるような息苦しさを覚え、テーブルの上のグラスを掴むと、中の水を一気に飲み干した。灼也は本当に、あの人と……高遠本邸。帰宅した灼也は、執事に促されるまま景正の書斎へと向かった。中に入ると、景正は机に向かい筆を走らせていた。灼也の姿に気づくと筆を置き、文鎮をどかす。「どうだ、見事だろう?」景正は書き上げたばかりの書を指差した。灼也はそれとなく視線を向けたが、今日の祖父はどこか様子がおかしいと感じていた。「お祖父様、僕に何かご用でしょうか?」今日は本邸に戻る予定ではなかったのだが、景正から半ば強引に呼び出されたのだ。景正はゆっくりと椅子に腰を下ろし、柔和な笑みを浮かべた。「最近、琉里ちゃんとの仕事の調子はどうだ?今日の午後、遠峰財閥の責任者が品質視察に来るそうだな。お前も彼女と同行しなさい」「はい。その件は琉里からも聞いています」景正は手元のスマートフォンを操作し、あるニュース記事の画面を開いた。「この記事だが……どういうことだ?」灼也
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