「すっ、すみません茉莉花さん!」 苓さんは一瞬で状況を把握すると、真っ青だったり真っ赤になったりしながら私から勢い良く手を離した。 今まであれ程ぎゅうっと抱きしめられていて、隙間もなくぴったりと苓さんとくっついていたのが嘘のよう。 苓さんが物凄い速度で離れて行ってしまって、何だか寂しさを感じてしまった。 「俺、思いっきり抱きしめて眠っていましたよね!?体痛くないですか!?」 「ふふ、大丈夫ですよ。苓さんにぎゅっとしてもらえてると安心して……ぐっすり眠れました。苓さんもちゃんと寝れましたか?」 「──……っ、は、はい!俺は十分……!」 こくこく、と頷いた苓さんは、慌ててベッドから降りると乱れた髪の毛を手櫛で整え始める。 「苓さん、今日はここから出社しますよね?ワイシャツを用意させます。スーツの替えは……ごめんなさい、用意がなくて……」 「あっ、いや、昨日茉莉花さんのお父様に着替えの準備はしてくるようにって言ってもらえていたので、着替えは大丈夫です……!」 「本当ですか?それなら、良かった。シャワーを浴びますよね?お着替えを持って行きます」 「ありがとうございます」 「いえ。こちらこそ、昨日苓さんが来てくれて嬉しかったです。ありがとうございます。食堂で待っていますから、早く来てくださいね」 私はそう告げると、苓さんに近付いて背伸びをする。 軽く苓さんの唇にキスをすると、驚く苓さんを残して私は着替えのために別室に向かった。 ◇ 食堂で苓さん、お父様と一緒に食事を摂った後。 苓さんは会社に。 私とお父様はお祖父様の遺品整理の続きに取り掛かった。 だけど、まさか会社に向かう苓さんを見送った私の姿が、記者に撮られているなんて気付かず、私は遺品整理に集中してその写真が出回っている事になんて少しも気付かなかった。 「茉莉花、少しいいか?」 「──?はい、お父様」 お祖父様の書斎で、お父様と一緒に日記を確認していた時。 お父様が1冊の日記を手に私に声をかけてきた。 振り向いた先に居るお父様の表情は、陰っていて。 何か、見つけたのだろうか──。 そんな私にお父様はお祖父様の日記をあるページで開き、私に見せてくれる。 「なんですか、お父、さま……」 お父様が見せてくれた日記。 そのページに目を落とした私は、そこに書かれている文
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