◇ 御影さんが、客間に通された。 その知らせを受けた私は、急いで着替えを済ませ、苓さんを迎えに行った。 苓さんの泊まっている部屋をノックし、声をかける。 「苓さん」 「はい、茉莉花さん」 私がノックをすると、すぐに苓さんが扉を開けてくれる。 私は苓さんに御影さんが客間に通された事と、お父様と一緒に彼の話を聞きに行く事を伝える。 「苓さん、御影さんは涼子の事を話に来たのかもしれません。一緒にお話を聞きに行きませんか?」 そして、私は苓さんも一緒に話を聞こう──。 そう、誘う。 「ええ、もちろん。行きましょうか」 苓さんはあっさり頷いてくれて。 私に手を差し出してくれる。 苓さんの手に私が自分の手を重ねると、きゅっと力強く握ってくれた。 苓さんと手を繋いで階段を降り、1階の客間に向かう。 「ここですね、入りましょう」 こくり、と頷く苓さん。 私は苓さんと手を繋いだまま、客間をノックしてから扉を開いた。 「失礼します」 「──茉莉花!」 私が扉を開けて中に入った途端、御影さんの声が聞こえ、座っていたソファから立ち上がるのが見える。 だけど、私と手を繋ぎ部屋に入って来た苓さんを見るなり御影さんは不満そうに顔を顰めた。 「……また、小鳥遊が居るのか」 「──?当然です。苓さんは私の婚約者ですし」 私の言葉に、御影さんの表情が益々険しくなる。 どうして御影さんがそんな顔をするのか。 私と苓さんが恋人同士だって事も。近々正式に婚約を交わす事も、御影さんはもう知っているはずなのに──。 私が首を傾げていると、廊下から足音が聞こえてきて、お父様が姿を現した。 「茉莉花も、苓くんもどうして部屋の入口に?」 「お父様」 「──藤堂社長!」 お父様の姿に、御影さんがぱっと表情を明るくする。 お父様は御影さんにソファに戻るように促し、私たちと一緒に自分もソファに腰を下ろした。 「それで……。御影くんは今日どんな用があって訪問を?」 お父様の低く、厳しい声が部屋に響く。 御影さんはお父様の質問に背筋を真っ直ぐ伸ばし、真剣な表情で口を開いた。 「まずは……お悔やみ申し上げます。突然の事に気が動転し、不躾とは分かっていながらこうして来てしまいました事をお許しください」 「……その気持ちは、有難く受け取ろう」 「そして
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