บททั้งหมดของ あなたの「愛してる」なんてもういらない: บทที่ 291 - บทที่ 300

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291話

病院の受付の女性から、これ以上の詳しい話は聞けないと判断した私と苓さんは、病院内で調べる事を諦め、車に戻って来ていた。 「信じられない……。こんな事が……こんな非道な事が罷り通るなんて……!」 ハンドルに顔を伏せていた苓さんが、低く唸るような声で叫び、強くハンドルを殴り付けた。 「相手──速水家は、計画的に行動を起こしているんですね……。思い付きの行動じゃない……ずっと機会を狙っていたんだわ……」 「茉莉花さん……」 「どうして……?最初は……涼子は私を憎んでいると思っていた……涼子は御影さんが好きだから、だから私を遠ざけようとしたと思っていたのに……」 涼子だけの問題じゃない。 涼子の母親は、かつてお父様に恋慕の情を抱いていた。 けれど、涼子の母親も婿養子を取ってそれはもう解決したんだと思っていたのに──。 「……まだ、あるの?うちと速水家には、もしかしたらまだ他にもあるの……?」 人を使って、人を殺めるなんて。 それだけ因縁が──恨みが深いのでは、と考えてしまう。 「お父様と……涼子の母親から始まったんじゃなくて……もしかしたら、藤堂と速水家にはもっと前から何か……因縁みたいな物があるんでしょうか?」 「そんな事が……?……いや、だけど茉莉花さんの藤堂家は古くから続いている家……。速水家も藤堂家よりは歴史は浅いけど……昔からこの地で古くから続く家ですね……。もしかしたら、俺たちが見逃している事情があるかもしれません」 私の言葉に、苓さんも考え、頷いてくれる。 家の事を調べるには、やっぱりもう一度書斎をひっくり返す勢いで調べ直すしかない。 「──苓さん。私、家に戻ります。家で、藤堂家と速水家の関係について、何か手がかりがないか、探します」 「それなら、俺も茉莉花さんのお手伝いをしますよ。……茉莉花さんの傍に居ます」 「ありがとうございます、苓さん」 苓さんは私を真っ直ぐ見つめ、優しく言葉を紡いでくれた。 家には今、お父様は居ない。 お祖父様は家に戻られているけど──。 お祖父様はもう二度と声を発する事は無い。 あの家で今、1人になったら。 心細くて心細くて堪らなくなっていたかもしれない──。 だけど、苓さんが私の傍に居てくれる。 そう考えるだけで、とても心強くて。 「──車を出しますね」 「お願いします、
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292話

私と苓さんが藤堂の本邸に着いたのは、それから30分ほど経ってから。 家の近くには、複数の車が停まっていて。 私達が乗った車が近付くと、車から一斉に人が降りて来て。 中には報道用のカメラを構えた人達が居るのが見える。 「──嘘でしょ、マスコミ……!?」 「どうしますか、茉莉花さん」 「このまま門の前まで進んでください、苓さん」 「分かりました」 まさか、マスコミが家にまで来ているなんて。 お祖父様が亡くなった事が、既に多くのメディアに知られているという事だ。 苓さんと一緒に戻ると言う事は、家の使用人に伝えてはいないけど。 苓さんの車はもう既に使用人は把握しているはず。 問題なく門を開けてくれれば──。 私がそう考えていると、門が開くのが見えた。 「──良かった、使用人が私達だと気付いてくれたみたいです……!」 「それじゃあ、このまま邸内に進んじゃいますね、茉莉花さん」 「ええ、お願いします苓さん」 ほっとしたのも束の間。 マスコミ達は、私や苓さんが車から降りて来ないと分かった途端、カメラを回し始めるのが車の中から分かった。 それに、写真を撮っているのだろう。 沢山のフラッシュが私と苓さんを捉え、写真を撮られているのが分かる。 「──すみません、もしかしたら苓さんの写真を撮られ、好き勝手に記事を書かれちゃうかも……!」 「俺は構いませんよ。茉莉花さんとお付き合いしているのは本当です。茉莉花さんを送っていたって、何の不思議も無いですから」 堂々とした態度でそう述べる苓さん。 苓さんは写真を撮られていても普段と変わらない優しい笑みを私に向けてくれて。 そんな苓さんの柔らかな笑みを見た私も、焦っていた気持ちが落ち着いて行くのを感じた。 「そう、そうですよね……。確かに、私達をいくら写真で撮られても……何も困らない……」 「ええ。変な記事を書かれたら……こちらでどうにかします。茉莉花さんと、お父様は今はお祖父様の事に集中してください」 「ありがとうございます、苓さん」 私の言葉に力強く笑ってくれた苓さん。 沢山のマスコミを素通りして、苓さんの車は普段停め慣れている駐車場に車を停めた。 流石にマスコミも、門を超えて中に侵入しようとする事はなかった。 だけど、望遠カメラを持ってきている人も中にはいる。 門の奥から
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293話

【半世紀以上もの間、大財閥を支えて来た偉大な人物が本日、帰らぬ人となりました。最期の瞬間は、自宅に帰る車の中で──】 ついていたテレビのチャンネルを変える。 だけど、変えたチャンネルでも──。 【──あっ!今、今戻って来られました!あちらの車の中にいらっしゃるのは、藤堂家の一人娘で、本社の本部長職に就く、藤堂 茉莉花さんです!運転席に居るのは──あっ!もしかして小鳥遊財閥の小鳥遊 苓さんではないでしょうか!?お2人がお付き合いをしている、という噂は本当だったようです!】 興奮したように告げるアナウンサーの説明の後、さっき帰宅したばかりの私と苓さんが乗る車の映像がテレビに流される。 その映像には、しっかりと私と苓さんの姿が映っていて。 ニュース映像には、私と苓さんの写真や年齢や経歴などが詳しく表示されていた。 「なんて勝手な報道を……!」 「許可もなく勝手に家にまで押しかけてくるとは……。流石にやり過ぎですね、こちらで少し動いてみます」 家に入ってきた私達の目に入ったのは、リビングにあるテレビだった。 私達が帰ってくる前まで、きっと家に帰る事が出来なくなってしまった使用人の皆がリビングで報道を確認していたのだろう。 テレビは付けっぱなしになっていて、お祖父様が亡くなってしまった事も。 そして、その原因が交通事故な事も。 全てが報道されていた。 「まだ、警察にしか話していないのに……」 「情報を売っている人が中に居るみたいですね。谷島は何をしているんだ……」 苓さんが珍しく声を荒らげ、苛立ちを表すように髪の毛をぐしゃりと乱す。 「茉莉花お嬢様……」 私と苓さんの後ろから、申し訳なさそうに声をかけてくる佐伯さんの声が聞こえる。 私は慌てて振り向いた。 「ああ、ごめんなさい佐伯さん。使用人の皆は、ゲストルームに案内してくれた?」 「はい、皆疲れていたようですぐに休みました」 「──そう、それなら良かったわ。明日には皆無事に自宅に帰ってもらうように手配するわね。佐伯さんも遅くまでありがとう。もう休んでもらって大丈夫よ」 「かしこまりました。何かございましたらお申し付けください」 頭を下げ、去って行く佐伯さんを見送る。 佐伯さんは我が家で寝泊まりをしているから、自分の部屋に戻ったのだろう。 お祖父様は、恐らくご自分の部屋に
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294話

藤堂、本邸の書斎。 以前、私がこの書斎に来て探した時は特に目ぼしい物は見つからなかった。 だけど、それは近代に絞って探していたからかもしれない。 それなら──。 「苓さん、昭和より以前……大正や明治の頃の資料は、こちらの古い棚にあるんです。明治より以前の資料は、古すぎて文字が読めなくて……」 「藤堂家は、確か明治以前から続いている家でしたね」 苓さんの言葉に、私は頷いた。 「ええ。元は武士の家系だったそうですが……詳しくは家系図を遡らないと分からないですね……」 「なるほど……。昔過ぎるのは文字が読めない……明治あたりであれば何とかなるかもしれませんね。その辺りを調べてみましょう、茉莉花さん」 「ええ、そうしましょうか。こちらにあるのが明治初期から順に中期、後期です」 「ありがとうございます。俺は明治を調べますね」 「分かりました。私は大正の時代を調べてみます」 「茉莉花さん、速水の文字があったら」 「ええ、声をかけますね」 私と苓さんはお互いそれだけを決めると、それぞれ 速水家に対する情報を探し始める。 大正とは言え、やはり読み進めるのには少し難しい部分もある。 だけど「速水」と言う単語にだけ絞って調べていけば大丈夫なはず。 ◇ どれくらいの間、書斎に籠って調べていたんだろう。 お父様が帰宅したのに気付かないくらい、私と苓さんは資料確認に集中していたみたいだった。 「茉莉花に、苓くん」 「──お父様!」 「藤堂社長?」 開けた扉をコンコン、とノックしたお父様が私と苓さんに声をかける。 私と苓さんは、慌てて資料から顔を上げると、すぐに資料を片付けてお父様に駆け寄った。 「お戻りに気付かず、申し訳ございませんお父様!」 「帰宅する際、大丈夫でしたか藤堂社長」 私と苓さんに顔を向け、頷いたお父様。 お父様の表情は、疲労感が色濃く浮かんでいて。 「まだ、門前には報道の物達が大勢いたよ。テレビ局に抗議しておいたから暫くしたら彼らも帰るだろう」 「本当ですか。使用人の皆も帰る事が出来なくなっていて……ありがとうございます、お父様」 「いや、当然の事をしたまでだ。苓くんの家からも抗議を入れてくれていたようだな。礼を言うよ。ありがとう」 「とんでもないです。私に出来る事は少ないですが……」 「いや、その気持ち
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295話

お父様の言葉に、はっとして私は苓さんと調べていた内容をお父様に話して説明した。 私の話を聞いたお父様は、考えるように顎に手をやり答える。 「そうか……藤堂と速水家を調べ直しているのか。……お祖父様の送迎を手配した者の行方が分からず、業者も分からずだと、確かに人為的なものを疑うな。怨恨による犯行の可能性が大きくなった」 「ええ、そうなんです。だから私達も速水家との関係を調べていて。以前犯人と思われる人が空港で捕まった時、もしかしたら涼子が空港に居た可能性もあるので、明日の朝に苓さんと空港に行ってみようとも思っていて……」 私の言葉を聞いたお父様は、スマホを取り出すと首を横に振った。 「いや、そちらは警察に任せよう。お祖父様を手にかけられたんだ。藤堂の血筋である私達を狙っているのであれば、私達が直接動くと狙われる危険があるだろう?警察に頼める部分は警察に任せよう。私と茉莉花……それに、苓くんも車に乗るのは必要最低限にしよう」 「──そんな」 そんな事になったら。 これから満足に生活だって、仕事だってしにくくなってしまう。 「一先ず、今は谷島刑事が動いてくれている。数日の間は、家の中で出来る事をしておこう」 お父様がそう仰るのであれば、頷く他ない。 それほど、私達の身に危険が迫っている可能性があると言う事だから。 「さあ、茉莉花も苓くんも今日は一先ず寝なさい。もう夜遅い。明日から、お祖父様の遺品整理など……やる事は多いからな……」 悲しそうに呟き、俯くお父様。 私と苓さんは了承の言葉を返して書斎をあとにした。 ◇ 深夜──。 眠りに落ちていた私は、悪夢を見て目を覚ました。 「──っ」 体には、びっしょりと汗をかいていて、呼吸も荒い。 悪夢を見た、と言うのははっきりと分かる。 だけど、どんな夢だったのか。 目を覚ました瞬間、見ていた夢の内容を覚えていなくて、恐怖だけが今の私に残っていた。 「──嫌だ、気持ち悪い……」 体中、嫌な汗をじっとりとかいていて。 私は喉の乾きと、汗をシャワーで流したいと思い、ベッドから足を下ろした。 真夜中の今、家の中は殆どの人が寝静まっているのだろう。 静寂に包まれていて、私が動く音が嫌に響いている。 シャワーを浴びるために着替えを持って部屋を出る。 廊下は真っ暗で、月明かりが窓から差
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296話

「茉莉花さん?」 「苓さん。すみません、起こしてしまいましたか?」 私は、慌てて振り向くと苓さんに駆け寄ろうとした。 だけど、私はさっきの悪夢で汗をかいていた事を思い出して苓さんの近くまでは行かず、立ち止まる。 私が苓さんから距離を取って立ち止まった事で、苓さんは不思議そうな顔をして、こちらに近付いてこようとした。 「ちょ、ちょっと待ってください苓さん。これ以上近付かないでください……!」 「──えっ」 私の言葉に、苓さんの顔がさっと青くなる。 傷付いたような表情を浮かべた苓さんに、私は慌てて理由を話した。 「ち、違うんです……!実は悪夢を見て……凄く汗を……。その……汗臭いかもしれないので、苓さんには近付かなくて欲しくて……」 「あ、ああ……そう言う……」 私の説明を聞いた苓さんは納得したように頷き、すぐに安堵の表情を浮かべた。 けど、苓さんは近付かないでと言った私の言葉を無視して足を動かし、私に近付いて来た。 「れ、苓さ──」 「俺は茉莉花さんが汗臭いなんて感じないですけど、茉莉花さんは嫌なんですよね?シャワーを浴びたら喉が渇くでしょう?飲み物を用意しておくので、さっぱりしてくるといいですよ」 キッチンで待ってます。 そう笑顔で告げ、苓さんはキッチンに向かって歩いて行く。 普段だったら、苓さんは私の近くに立ち止まって話してくれるけど。 私が汗臭いと気にしているからだろうか。 苓さんは足を止める事なく、そのままキッチンに歩いて行く。 苓さんの背中を数秒間見つめた後、私ははっとして慌ててお風呂場に向かった。 ◇ 軽く汗を流し、私がお風呂から出てキッチンに向かうと、苓さんがホットミルクを用意してくれていた。 「苓さん」 「茉莉花さん座って。体が冷えちゃいますから、温かい飲み物を飲んでください」 「ありがとうございます」 椅子を引かれ、座るように促される。 お礼を言って椅子に座ると、苓さんがマグカップに入れたホットミルクを手渡してくれた。 マグカップを両手で包むと、ほかほかと両手が温かくなる。 ふわり、と鼻を擽るミルクの甘い香りに、私はほっと安心した。 一口飲むと、ミルクの甘さと柔らかな香りが鼻腔をくすぐり、何だか安心した。 ふわふわとした心地に、私の瞼がとろんと落ちてくるのを感じた。 登山での事故から
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297話

苓さんが用意してくれたホットミルクを全部飲み終わり、体がぽかぽかしてくると眠気も再びぶり返してくる。 「茉莉花さん、部屋に戻りましょうか」 「分かり、ました……」 どうしよう。 凄く眠気が襲ってきている。 苓さんの低くて優しい声も。 私の手を引いてくれる苓さんの温かい手のひらの体温も。 全部が私に安心感を与えてくれて。 廊下を歩き、苓さんのゲストルームに到着すると、ドアを開けた苓さんがそのまま私を抱き上げてベッドに下ろしてくれた。 「茉莉花さんの体、眠くて温かくなってます。疲れたでしょう?寝ちゃいましょう」 「──ん」 苓さんの声が直接頭に響くように心地良い。 私は小さく声を漏らし、頷く。 すると苓さんもベッドに入ったのだろう。 ぎしり、とベッドが軋む音がして温かくて力強い腕に抱きしめられた。 隙間なくすっぽりと私の体が包まれて、酷く安心する。 私はそのまま目を閉じ、苓さんの胸元に擦り寄った。 ◇ 翌朝。 すっきりとした状態で私は目を覚ます。 すると、目の前に端正な苓さんの顔があってびっくりしたけど昨夜──深夜の事を思い出した。 苓さんは我儘を言う私に快く頷いてくれて。 そして、自分の客間に連れて来てくれたんだった。 深夜、悪夢のせいで目が覚めた時はあれだけ嫌な感じがしたのに。 あれから1人で自分の部屋に戻るのが嫌だったのに。 それなのに、今目覚めてみれば短時間だけどぐっすり熟睡できたみたいで、凄くすっきりしていた。 これも、苓さんが私を抱きしめてくれていたからだろうか──。 私は苓さんの腕の中、少し体勢を変えると未だに眠っていて目を覚ましそうにない苓さんの唇に軽く自分の唇を重ねた。 「ありがとうございます、苓さん」 苓さんを起こしてしまわないよう、そっと慎重に腕の中から抜け出る。 今日は、お父様と話し合いをしなくちゃいけない。 お祖父様のお葬式や、お通夜。 そして藤堂グループについてもお父様に色々と聞いておかなくちゃならない。 「お父様はもう起きていらっしゃるわよね……」 部屋の窓からは、朝日が射し込んでいる。 太陽が昇り、結構な時間が経っているだろう。 窓の近くに向かった私は、外を確認する。 苓さんが使っている部屋は
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298話

かなり離れた場所に居るはずの御影さんと、何故かぱちり、と目が合ったような気がした。 「──っ」 私が窓から後ずさった時。 背後から苓さんの寝起き特有の掠れた声が聞こえた。 「……御影?御影専務が、いるんですか?」 「──苓さん?」 私が振り向こうとした時。 後ろから苓さんの腕が伸びてきて、私を背後から抱きしめた。 私のお腹の上で苓さんの大きな手がぎゅっと合わさり、まるで私を閉じ込めるように苓さんにすっぽりと抱きしめられる。 苓さんを見上げると、苓さんの視線は真っ直ぐ窓の外──門の辺りに向かっていて。 苓さんの眉が不快感を表すように寄せられた。 「苓さ──んっ」 掠めとるように苓さんにキスをされて、私は自然と目を閉じる。 ゆっくり、優しく唇を啄まれ、私が苓さんのキスにとろんと瞼を落とした時。 苓さんが唇を離した。 「おはようございます、茉莉花さん」 「お、おはようございます……」 間近にある、苓さんのキラキラした笑顔。 笑顔が眩しくて。 私は頬を赤らめながら苓さんに挨拶を返す。 「……それで、どうしてここに御影専務がいるんですかね?」 苓さんの声が、低くなる。 彼は再び窓の外に顔を向けていたけど、すぐに私を抱きしめたままくるりと方向転換をして窓から遠ざかった。 「私にもよく分からなくて……多分、家の者も戸惑っていると思うので、お父様に聞きに行こうと思っていたんです」 「そうだったんですね。なら、茉莉花さんは自分の部屋に戻って着替えた方がいいですね。俺も支度をします」 「分かりました。じゃあ、部屋に戻りますね」 そう言って、私は客間を後にしようとしたんだけど。 部屋の扉まで見送りに来てくれていた苓さんに振り返る。 きょとん、と不思議そうに首を傾げている苓さんに、昨夜のお礼を伝えなくちゃ。 「苓さん、昨夜はありがとうございます。苓さんと一緒だったから悪夢も見なかったです!また後で!」 「え、ええ。それは良かったです」 私は近付いて来ていた苓さんに背伸びをして軽く口付けてから、逃げるように部屋を後にした。 ◇ まさか、茉莉花さんからキスをされるなんて──。 俺は、茉莉花さんが出て行った部屋の扉を見つめつつ、自分の口元を手のひらで覆ってしゃがみ込む。 「ああ、くそっ。可愛い……」 可愛くて可愛くてどう
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299話

「お父様、おはようございます」 こんこん、とお父様の部屋をノックしつつ私は外から声をかけた。 すると、扉の向こうから足音が聞こえ、ガチャリと音を立てて扉が開けられる。 「茉莉花か?おはよう。早いんだな」 「ええ……昨夜は少し夢見が悪くて……」 「──大丈夫か?無理はして──いや、大丈夫なはずがないな……。無理をして体調だけは崩さないでくれ」 そう言うお父様の表情も、普段のような覇気がない。 今だって私の体調を気にしてくださっているけど、お父様こそ倒れてしまいそうなほど、疲労が隠しきれていない。 私はお父様にそっと手を伸ばし、胸元の服をくしゃり、と掴んだ。 「お父様こそ。ご無理はしないでください。辛い時は、一緒に乗り越えましょう……」 「ああ、そうだな……そうしよう……」 お父様は、私の頭を優しく撫でてから切り替えるように言葉を発した。 「それにしても、私の部屋に来るのは珍しいな。何かあったのか?」 お父様の言葉に、私ははっとする。 そうだ。 お父様の部屋に来たのは目的があったから。 門の所にいる御影さん。 彼をどうするのか、お父様に判断を仰がないとならない。 「お父様、実は──」 私が事情を説明すると、柔らかく笑んでいたお父様の表情が段々と強ばり、視線が鋭くなっていく。 「──何だと?御影くんが……?」 「ええ、そうなんです。もしかしたら朝早い時間から、来訪していたのかもしれません」 「そうか……。使用人の皆も困っているだろう。一先ず話を聞こう」 「私もご一緒してもよろしいですか?」 「茉莉花も……?」 「ええ。彼はもしかしたら……速水 涼子の事について話に来たかもしれませんから」 だから、私も。そして、できれば苓さんも同席しても良いか。 その事をお父様に伝えると、お父様は頷いてくれた。 「使用人に客間に通させる。準備が出来たら1階の客間に苓くんと一緒に降りて来なさい」 「分かりました、お父様」 お父様は朝食の前に話を聞いて、御影さんをすぐに帰らせるつもりなのだろう。 でも、確かにその方がいい。 御影ホールディングスと、藤堂グループは特に事業提携をしている訳じゃない。 御影と藤堂の祖父が少し交流があっただけ。 しかも、それは業界内には周知されていない。 どうして今このタイミングで御影ホールディ
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300話

【あちらにいらっしゃるのは、御影ホールディングスの現役員、御影 直寛専務です!朝早くから、御影専務は藤堂本家に姿を現しました!いったいどんな理由があって、御影専務はこちらにいらしたのでしょう?】 【財閥内では、御影家と藤堂家に交流などはなかった、と話を聞いております……!ですが、一部の噂では、以前藤堂家の娘、藤堂 茉莉花さんと御影 直寛さんがとあるパーティーに一緒に参加した、との情報も──】 【御影 直寛さんは26歳。藤堂 茉莉花さんは25歳です。年齢も釣り合う事から、もしかしたら秘密裏に両家は縁を結ぶつもりでは、との見方も出ています……!】 【藤堂家のかつての当主、茉莉花さんの祖父が亡くなってしまった事を知った御影 直寛さんは、孫娘である茉莉花さんを慰めにやって来たのでは、と噂もあり──】 報道陣が興奮したように好き勝手な事を言っている。 その言葉は聞こえていたが、御影は訂正も否定もせずにただただじっと門の前で茉莉花が出てくるのを待っていた。 「……小鳥遊、あいつ、あの男……茉莉花と一緒の部屋で眠っていたのか……?」 御影の胸に、ふつふつと怒りが込み上がる。 「茉莉花は、俺の女だ……。茉莉花こそ、俺に相応しい。あんな紛い物の涼子なんかより、清廉で心根の真っ直ぐな茉莉花こそ、俺に相応しい……」 それなのに──、と御影は拳を握る。 「あの男……俺に見せつけるようにしやがって……!しかも、俺を睨むとは生意気な……!」 御影がぶつぶつと黒い感情を吐き出していると、門が開く音が聞こえ、誰かが玄関から出てくるのが分かった。 「──茉莉花か!?」 御影は表情を緩ませ、顔を上げる。 だが、想像していた人物ではなく、藤堂の使用人が玄関から出て来た事に、御影は眉を顰めた。 「御影さんですね。当主がお会いになるそうです。どうぞお入りください」 「……分かった。案内、頼む」 茉莉花ではなく、使用人がで迎えに来た事に御影は些か不服そうに眉を寄せた。 だが、当主が会うと言ったのだ。 (……現当主も、俺と茉莉花の婚約を結び直す事を提案してくるかもしれないな。いや、きっとそうだろう。こんな騒ぎになっている今、茉莉花を支えられるのは家柄も、現地位も申し分ない俺しかいない) 御影はそう考え、溜飲が下がる。 (茉莉花が俺を迎えに来たら、報道陣の餌食だ。だか
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