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471 チャプター

第13話(5)

 携帯電話は持っていくが、念のため、外出することを長嶺組に報告しておく。組員からは、すぐに護衛の人間を向かわせると言われたが、中嶋が同行することを告げると、渋々引き下がってくれた。 総和会の中で出世した中嶋への信頼感の表れか、何かしらの思惑があるのか――と考えるのは、穿ちすぎかもしれない。 身支度を整えた和彦がエントランスに降りたとき、約束した時間には五分ほど早かったが、マンション前まで出ると、すでにタクシーが一台停まっていた。中から中嶋が手を振っている。「――それで、どこまで行くんだ」 タクシーが走り始めてから、首に巻いたマフラーの端を弄びながら和彦は尋ねる。「知り合いの店です」 漠然と察するものがあり、和彦はじろりと中嶋を見る。一方の中嶋は、ニヤリと笑ってこう言った。「先生、そんな顔したら、せっかくの色男ぶりが台無しですよ」「……なるほど。飲みに行くのは二人だが、他にもう一人、すでに店で待っているんだな」「そういうことです」「いろいろと言いたいことはあるが、まあ、いい。誰がいるかわからない場所に連れて行かれるより、よほど安心かもしれない」 多分、と和彦は心の中でひっそりと付け足す。中嶋は、和彦が怒り出さなかったことに安堵したのか、ほっと息を吐き出してシートにもたれかかった。「正直、どんな顔をして、〈あの人〉と顔を合わせればいいのかわからないんですよ。前のように、気楽につき合いたい気もするが、そうじゃないような気もする――」「それで、ぼくを利用しようと思ったんだな」「そう言わないでください。先生と楽しく飲みたい気持ちもあるんですよ」 本音かどうか怪しいものだが、美味いアルコールを飲ませてくれることだけは、確かなようだった。** グラスに口をつけながら和彦は、横目で隣を見る。中嶋は、普通の青年のような顔をして笑っていた。 正体がわかっていながら、こうして見る姿は、とうていヤクザには見えない。ノーネクタイのため、スーツ姿とはいっても寛いで見えるが、それでも雰囲気は若いビジネスマンのものだ。
last update最終更新日 : 2026-01-15
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