すっかり色づいた胸の突起を指の腹で擦り上げながら、鷹津はもう片方の手で頬に触れてくる。指で唇を割り開かれたので、和彦はその指に噛み付いてやった。 「ぼくは、あんたのものじゃない。あんたが、ぼくの番犬になったんだ」 「ああ、そうだったな……」 鷹津の肩を押し上げると、あっさりと体の上から退く。手を掴んで引っ張り起こしてもらった和彦は、格好を整えた。そんな和彦を眺めながら鷹津は、今日は不精ひげを剃っているあごを撫でる。 「佐伯、一つ忘れるなよ」 「……なんだ」 乱れた髪を手櫛で適当に整えながら、和彦はさりげなく立ち上がる。こんな男の隣にいると、いつまた押し倒されるか気が気でない。 「俺は、損得だけでお前の番犬になったわけじゃない。お前を口説くために都合がいいから、この役目を引き受ける気になったんだ」 この男は突然何を言い出すのかと、和彦は露骨に警戒しながら鷹津を見つめる。サソリの毒のように、物騒な性質を持つ男の言葉だ。何が潜んでいるか、わかったものではない。 和彦の反応に、煙草を取り出しながら鷹津は唇を歪めた。 「なんだ、俺がこんなことを言うと、おかしいか?」 「当たり前だ。たった今、女の口に銃口を突っ込んだなんて、とんでもないことを言った男が、似合わないことを言うな」 「――お前の口には、別のものを含ませてやる。ヤクザを腰砕けにするほど、上手いんだろうな」 芝居がかった下卑た笑みを向けられ、カッと体を熱くした和彦は鷹津に歩み寄ると、唇に挟まれた煙草を奪い取った。 「ここは禁煙だっ」 次の瞬間、素早く鷹津に手首を掴まれた。乱暴に引き寄せられて唇を塞がれそうになったが、和彦は反射的に鷹津の顔を押し退けると、手の届かない距離まで逃れる。鷹津は怒るどころか、妙に楽しげな様子でのっそりと立ち上がった。 「そうも嫌そうに逃げられると、かえって煽られるな」 「あんたと遊んでいる暇はないんだ。さっさと帰れ」 「飼い主なら、番犬の躾はお前の仕事だろ」 「……あんたは、必要なときに役に立てばいい。それ以外では、顔も見たくない」 待合室の中を逃げ回っていた和彦だが、追いか
最終更新日 : 2026-01-13 続きを読む