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第13話(25)

 振り回されるのはいつものことかと、ふっと息を吐き出した和彦は、おずおずと賢吾の肩に頭をのせる。すると、賢吾にきつく片手を握り締められた。 その感触にわずかに体が熱くなる。同時に、腰が疼いた。和彦の体の変化を感じ取ったのか、肩にかかった賢吾の手に、あごを掬い上げられる。咄嗟に顔を背けたかったが、射竦めるように強い眼差しを向けられると、体が動かない。次の瞬間には、しっとりと唇が重なってきた。 さきほどまでの、朝とは思えないぐらい濃厚な交わりは、和彦だけでなく、賢吾もまだ高ぶらせているようだった。「――先生、舌を吸わせろ」 傲慢に命令された和彦は、言われるまま舌を差し出し、賢吾にじっくりと舐られる。「んっ……」 鼻にかかった声を洩らしたあと和彦は、緩やかに賢吾と舌を絡め合う。握っていた手を離した賢吾は、ためらう様子もなく和彦の両足の中心をまさぐってきた。また腰が疼き、座っているのもつらくなるほど、下肢に力が入らなくなる。 それほど、さきほどまでの賢吾の攻めは激しくて、執拗だった。狂おしいほどの快感を、和彦に与えてきたのだ。 和彦の敏感なものを、賢吾は手慰みのようにスラックスの上から揉みしだき始める。和彦はビクビクと腰を震わせながら、懸命に賢吾の手を押し退けようとする。「やめろっ……。人を、歩けなくする気か……」「歩けなくなったら、俺が抱きかかえてやる」「……絶対、嫌だ」 和彦が気丈に睨みつけると、賢吾は満足したように表情を和らげ、軽く唇を吸い上げてきた。「涙目でそういうことを言うのが、たまらないな、先生」「やっぱりあんたは、性癖に問題がありすぎる」「だが、そういう俺に攻められると、感じるだろ? ――泣きじゃくるほど」 最後の言葉は、耳に唇を押し当てて注ぎ込まれた。ここで和彦は限界となり、賢吾にしがみつく。まるで子供をあやすように、賢吾は和彦の背を何度も撫でる。 和彦は、さきほどまでの自分の痴態を、嫌でも思い出してしまう。 眠っているところを叩
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第13話(26)

 快感で狂わされた和彦は、賢吾の淫らな攻めに耐えられなかった。内奥を突き上げられ、柔らかな膨らみを強く愛撫されながら、啜り泣いていた。泣きながら――。 強烈な感覚が蘇り、和彦は身震いする。そんな和彦に再び深い口づけを与えてから、賢吾はバリトンの魅力をもっとも引き出す淫らな言葉を、耳元で囁いてきた。「〈あれ〉は、やみつきになりそうなほど、ヤバイな。だからこそ、俺と先生だけの秘密だ。……俺だけが知っている、先生の姿だ。〈あれ〉の最中の声も表情も、体の震わせ方も、何もかも絶品だった。尻の締まり方もな」 激しい羞恥のため、全身が熱い。もしかすると、言葉だけで官能が刺激されているのかもしれないが、和彦としては認めるわけにはいかない。 賢吾が与えてきた快感は、屈辱でもあるのだ。だからこそ、賢吾を満足させたのだろう。とにかく賢吾は、機嫌がよかった。「先生の乱れ方を見ていたら、お仕置きとしても使えるかもしれないと思ったんだが……」 一瞬、賢吾の言葉にドキリとしてしまう。やましいことはないと断言できる生活を送っているつもりだが、少しだけ気にかかることはある。 中嶋の存在だ。戯れのようなキスを二回交わしており、そのことを和彦は、賢吾に告げていない。たかがキス――というのは語弊があるが、悪いことをしたというより、中嶋の繊細な部分を賢吾に踏み荒らされたくないと思っているのだ。 だから、やましいことはないと断言できる反面、正直に告げられないという、奇妙な状況に陥っている。「……お仕置きされるようなことを、ぼくがあんたにすると?」 羞恥と屈辱を押し殺し、和彦はきつい眼差しを向ける。賢吾はなんとも残酷な笑みを唇に浮かべてから、和彦のあごの下をくすぐった。「それも、そうだな。先生は、大事で可愛いオンナだ。それに、憎まれ口を叩きながらも、俺に従順だ」 従順の証を求められた気がして、和彦は賢吾の頬に手をかけると、自分から唇を重ねる。そこまでしてやっと、賢吾は満足したようだ。肩を抱かれたままではあるものの、愛撫はやめてくれる。 肩から力を抜いた和彦は、賢吾の膝に
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第13話(27)

**** ヤクザの跡目の披露式とは、どれだけ仰々しいものかと身構えていた和彦だが、拍子抜け――というのは表現が悪いが、想像していたほど格式張ったものではなかった。 凶悪な面相をしたダークスーツの男たちで埋め尽くされているのかと、内心では戦々恐々としていたのだが、確かにダークスーツを着た男たちは何人かいたが、言われなければヤクザとは思えない物腰と容貌をしている。どちらかといえば、めでたい席のために集まった親戚の男たち、といった印象を受ける。 座布団の上に正座した和彦は、グラスに注がれたビールを飲みながら、室内を見回す。襖を取り外して二間を繋ぎ、広い座敷にしているが、普段は客間として使っているのだろう。きれいにはしているが、そこはかとなく生活感のようなものが漂っている。 ヤクザの組長の家とはいっても長嶺の本宅とは違い、三階建ての住宅の周囲には、威圧的な塀はない。大きくはあるが、普通の住宅だ。そして内部も、大勢の男たちが酒を飲んで盛り上がり、その妻らしき女たちが忙しく働いてはいるものの、やはり普通の家であり、〈家庭〉が感じられる。 さすがに、今、賢吾が顔を出している二階は、緊張感が満ちているようだが――。 和彦はちらりと視線を天井へと向ける。二階では、この組の組長と幹部、それに賢吾が膝を突き合わせて話をしている。和彦も顔を出し、一通りの挨拶だけは済ませたが、そのあとは一人だけ一階に案内され、こうして飲食して待っている。 和彦のような青年が一人で座っていても、違和感はないようだった。一応、幹部クラスと、それ以外の組員との間で、見えない仕切りのようなものは作られてはいるが、みんな寛いでいる。 すでに、跡目披露式は終了しており、あとはただ、こうして飲み食いして祝うだけなのだそうだ。 長嶺組を交えての盃事はまだ先で、今日の集まりは本当に、親戚の集まりと表現していいのかもしれない。正式な儀式となると、警察にも届けを出すなどして大変なのだと、さきほどまで和彦の隣に座っていた男が教えてくれた。 賢吾がダークスーツまで着ながら、こっそりと立ち寄ったという建前も、そこにあるのだろう。長嶺組の看板そのものの男が派手に
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第13話(28)

 二十代半ばのその青年は、ヤクザの家で育ったとは思えないほど、非常に育ちがよさそうで、粗暴さとは無縁な雰囲気を持っていた。それに拍車をかけるように、少し線の細い整った容貌をしている。 雰囲気も容貌もまったく違うが、千尋と共通するものを持っていると和彦は感じている。ヤクザらしくない物腰や雰囲気を持ちながら、がっちりとヤクザの血に縛られ、当然のように組を継ぐことを受け入れている姿勢のことだ。 和彦はそっと目を細める。木の陰に隠れていたためわからなかったが、青年の傍らには、まるで影のようにひっそりと付き従っている男がいた。青年とほぼ同年齢ぐらいに見え、こちらはごく普通のスーツを身につけている。 思わず和彦は唇に笑みを刻んでいた。なんとなくだが、その男が、青年の護衛だとわかったからだ。持っている雰囲気が、三田村そっくりだ。 若い二人は主従の空気を漂わせながら、青年は柔らかな表情で男に話しかけ、男は若い顔に不器用な気づかいを覗かせて応じている。「――まだまだ、甘ったれなツラをしているな、この組の坊やは」 突然、背後から声をかけられ、驚いた和彦はビクリと体を震わせる。振り返ると、まるで黒い獣のように賢吾が近くまで忍び寄っていた。どうやら二階での話は終わったようだ。「ここの組長に、内輪でいいから、跡目披露をしておけと言ったのは、俺だ」「あんたのことだから、単なるお節介でそんなことを言ったんじゃないだろ」「俺が長嶺組を千尋に任せるとき、その千尋を盛り立ててくれるのは、あの坊やたちの世代だ。……うちの甘ったれの子犬のために、しっかりと地ならしをして、人間と組織を育てておいてやらないとな」 和彦が目を丸くして見つめると、賢吾はニヤリと笑いかけてきた。獰猛な笑みにも見えるが、もしかするとこの男なりの照れ隠しなのかもしれない。 和彦には、父親の気持ちというものが、よくわからない。ただ、胸の奥がじわりと温かくなる感覚が満ちてくるのはわかる。「この組にとっても、俺があの坊やの後ろ盾となるという約束を取り付けるのは、悪くない話だ。組が、確実に息子の代まで存続できるという証を得たようなものだからな」「&hell
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第13話(29)

**** なんとも物騒――というより、怪しさしか感じない組み合わせだった。何より、意外すぎる。 まだ夕方ともいえない時間帯のせいか、ホテルのバーは空いていた。その中で、黒のハイネックセーターとジーンズ姿の男と、いかにも高そうなスーツを見事に着こなしている男の組み合わせは、見た目からして浮いている。 そして、男たちの正体を知っている和彦からすれば、首を傾げざるをえない組み合わせだ。 鷹津と秦。この二人が向かい合っている光景を目にするとは、想像すらしていなかった。対峙するならともかく、それぞれグラスを手に、表面上は穏やかに飲んでいるのだ。 テーブルの傍らに立った和彦は、苦々しい口調で洩らす。「……胡散臭さ満載の二人組みだな」 それを聞いて、鷹津はニヤリと嫌な笑みを浮かべ、一方の秦は、艶やかな微笑を浮かべる。 立ち尽くしたままなのも目立つので、空いている一人掛けのソファに腰を下ろす。気が利く秦は、即座に和彦に尋ねてきた。「先生、何か飲みますか?」「あー……」 どうせすぐに出るからと言いかけて、反射的に鷹津を見る。目が合った瞬間、内心でうろたえていた。「……オレンジジュースを」 秦はさっそくボーイを呼び、頼んでくれる。 そわそわと落ち着かない気持ちを持て余しながらも和彦は、ひとまず足を組む。動揺を押し隠しつつ、鷹津と秦に交互に視線を向けていた。すると、和彦の様子に気づいた鷹津が、皮肉っぽく唇を歪めた。「わけがわからない、という顔だな。佐伯」「当然だ。あんたとここで会うことになっていたのに、秦までいるんだ。何事かと思うだろ」 賢吾に言われるまま和彦は、鷹津と連絡を取り、今日、この場所で会う約束を取り付けた。てっきり、長嶺組の誰かを鷹津と引き合わせるのかと思っていたが、和彦は一人でバーに行かされ、そしてここに、秦がいた。 和彦は、わずかに目を細めて秦を見る。「――組長と、すでに打ち合わせ済みということか?」
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第13話(30)

 鷹津はそう言って、不躾に和彦を指さしてくる。和彦は眉間のシワを深くして、身を投げ出すようにしてソファに体を預ける。 ようやく状況が呑み込めてきたが、非常におもしろくなかった。 賢吾と鷹津と秦は、ある情報を共有したうえで、連携しようとしている。その連携には、形だけとはいえ和彦という仲介者が必要で、だから、ここにいる。なのに和彦だけが、三人が知っているはずの情報を知らされていない。 和彦を除け者にしているというより、安全のために、あえて和彦に知らせないようにしているのだろう。それぐらいは理解している。知ったところで、和彦が何かできるわけでもないのだ。「先生、そんな顔しないでください」 運ばれてきたオレンジジュースを和彦の前に置きながら、秦が微笑みかけてくる。「詳しい説明はできませんが、先生のおかげで、わたしはここにいるんです。もちろん、トラブル解決のために。それは結果として、長嶺組の利益になります。……こちらの刑事さんの目的は、よくわかりませんが」 秦はにこやかに、しかし値踏みするように鷹津を一瞥する。この様子からして、和彦がやってくるまで、二人は必要なことは話しながらも、決して友好的ではなかったようだ。当然といえば当然か。 すでに三人を取り巻く状況は変わってしまったが、かつて秦は、和彦と一緒にいるとき、〈物騒な刑事〉として現れた鷹津を殴ったのだ。執念深い鷹津に限って、秦に対して親しみを覚えるとも思えない。 皮肉屋でガサツな鷹津と、物腰は柔らかだが掴み所がなく、取り澄ました秦では、まるで水と油だ。和彦がやってくるまで、一体どんな会話を交わしていたか、気にならなくもない。「――俺は、長嶺の利益なんざ、どうでもいい。それに、素性の怪しいホスト崩れのこともな」 鷹津は、芝居がかったような下卑た笑みを見せながら、グラスを揺らす。鷹津のその表情を目にした和彦は、嫌悪感から小さく身震いする。やはり、この男は嫌いだ。 込み上げてきたものをオレンジジュースで無理やり飲み下し、和彦は席を立とうとする。「話が弾んでいるようだから、ぼくはティーラウンジにいる。気が済むまでゆっくりと――」 す
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第13話(31)

「俺が興味あるのは、佐伯だ。とりあえずこいつと繋がっていれば、長嶺や、お前みたいな連中の動向が掴めるからな。……何より、こいつの存在自体が、楽しめる。長嶺どころか、その息子や子分まで垂らし込むぐらいだ。男とはいっても、最高に具合がいい。何より、こんな色男のくせして、女より淫乱だ」 屈辱と羞恥で、めまいがしてくる。そこに怒りも加わり、本気で鷹津を殴りたくなる。一方、鷹津の生々しい発言を受けても、秦は柔らかな表情を変えなかった。そのくせ唇から出た言葉は、鷹津に負けず劣らず生々しい。「先生の感じやすさといやらしさを知っているのは、ご自分だけだと思わないほうがいいですよ。わたしも、よく知っていますから。先生の感じやすい場所が、与えたものをいやらしく咥え込む様子も、もちろん、感触も……」 ほお、と声を洩らした鷹津がこちらを見たので、和彦は必死に睨みつける。虚勢としては、これが限界だった。そしてテーブルの下では、靴先で秦の足を蹴りつける。このときだけは秦は、悪戯っぽい表情で目を眇めた。「長嶺が何を企んで、自分の大事なオンナに、お前みたいな男が手を出すのを許したか気になるな」「わたしは、先生の〈遊び相手〉です。あなたが先生の〈番犬〉であるように、役割を与えられているんです」「――……長嶺といい、お前といい、食えない奴らだ……」 そう呟いた鷹津が、突然立ち上がる。手首を掴まれたままの和彦も、やむをえず倣う。「秦との用は済んだ。これからは、俺とお前の用を済ませる時間だ」 鷹津の言葉の意味をよく理解している和彦は、一度だけ肩を震わせる。 約束を取り付けて鷹津と会えば、その後に起こりうることは一つしかないのだ。 なんとか鷹津の手を振り払い、並んで歩きながら振り返る。秦が、嫌味なほど艶やかな笑みで見送っていた。「長嶺組に、部屋を取らせた」 ロビーを歩きながら、そう言って鷹津がカードキーを見せてくる。何をされるよりも生々しさを感じ、思わず和彦は顔を背ける。そんな和彦を見て、鷹津は鼻を鳴らす。「――この間、自分に
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第13話(32)

 急に引き返したい気分になったが、それはできない。嫌になるほどヤクザの思考に染まっていると思うが、和彦は、賢吾だけでなく、鷹津の面子のことも考えていた。面子を潰された男は――怖い獣になる。 長嶺組が取ったという部屋は、男二人が寝ても持て余しそうな広いベッドがある、ダブルルームだった。大きな窓から見渡せる風景は感嘆するほどで、この眺望込みで、部屋の料金は安くないだろう。すでにワインまで準備されていた。 この部屋は、鷹津のためというより、和彦のために用意されたようだった。部屋を見回して感じるのは、和彦を安く扱う気はないという意思だ。「俺は、ホテルの部屋を取ってくれとしか言ってないんだぜ」 ソファにブルゾンを投げ置いた鷹津が口を開く。和彦が見つめると、鷹津は皮肉っぽく唇を歪めた。「あの組のことだから、それなりの部屋を取ると思ったんだ。それで今日、このホテルに部屋を取ったと連絡が入ったんだが……そのとき、組員がなんと言ったと思う?」「……さあ」「さすがに昨日の今日では、スイートルームの予約は無理でした、だと。――大事にされているな。組長のオンナは」 和彦が何も言えないでいると、鷹津はバスルームのほうを指さした。「シャワーを浴びてこい」 ここまできて鷹津に逆らう気も起きなかった。コートとジャケットをハンガーにかけてから、バスルームに向かう。 バスタオルとバスローブを洗面台のカウンターに並べてから、和彦は鏡を覗き込む。そこには、いつも通りの自分が映っていた。 落ち着いている自分が不思議だった。感情的にはいろいろと複雑で、割り切れないものもあるのだが、逃げ出すことも、抗うこともせず、和彦はここにいる。 意外に自分は、男たちの利害や企みに巻き込まれる今の状況が、性に合っているのかもしれない。そんなことを考えながらも和彦は、ワイシャツのボタンを外していた。 バスタブに入ってシャワーカーテンを引くと、頭から湯を浴びる。 顔を仰向かせ、目を閉じながら、肌を流れ落ちていく湯の感触に意識を傾けていたが、ふと異変に気づく。ハッとして和彦が視線を向けた先に、
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第13話(33)

 あっという間に鷹津もバスタブに入ってきて、和彦は腕を掴まれ引き寄せられる。鷹津も頭から湯を被り、オールバックの髪型は見る間に崩れた。 思わず手を伸ばした和彦は、鷹津の濡れた髪を掻き上げてやる。次の瞬間、鷹津の両腕が体に巻き付いてきて、顔が間近に寄せられた。鷹津の目は、相変わらずドロドロとした感情で澱んでいる。そこに狂おしい欲情が加わり、この嫌な男をひどく人間らしく見せていた。 つい鷹津の目に見入っていると、唇が重なってきた。「あっ……」 唇が擦れ合った瞬間、和彦の背筋にゾクゾクと強烈な疼きが駆け抜ける。体は、この男が与えてくれた快感をしっかりと覚えていた。 噛み付くように唇を吸われながら、荒々しく尻を掴まれ、揉まれる。反射的に和彦は鷹津の肩にしがみつき、そのまま離れられなくなっていた。 湯を浴びながら鷹津の激しい口づけを受け、息苦しさに喘ぐ。そのときには口腔に熱い舌が入り込み、感じやすい粘膜を舐め回され、湯とともに鷹津の唾液が流し込まれる。尻をまさぐられ、内奥の入り口を指の腹で擦られる頃には、和彦は鷹津と舌を絡め合っていた。 腰が密着し合い、すでに高ぶった鷹津の欲望の形を感じる。鷹津はわざと、その欲望を擦りつけてきた。あからさまに発情した姿を見せつけられ、さすがに和彦もうろたえてしまうが、鷹津を押し退けられない。「うっ、あぁっ」 内奥の入り口を指でこじ開けられ、わずかに押し込まれる。強張る舌を引き出されて貪られているうちに、鷹津の指は内奥で蠢き、ますます深く侵入してくる。足元がふらついた和彦は、鷹津の首に両腕を回して体を支えていた。 獣じみた激しい口づけのせいで、唇の端からだらしなく唾液が滴り落ちるが、絶えず降り注ぐ湯があっという間に流してしまう。湯のせいか、深すぎる口づけのせいか、ふいに溺れているような息苦しさを覚えた和彦は、目を見開いて大きく息を吸い込む。鷹津は慌てた様子もなくコックを捻り、シャワーを止めた。 それでも鷹津は、欲情の高ぶりのまま貪るような口づけを続け、濡れた体を擦りつけるように和彦を掻き抱いてくる。たまらなく鷹津は嫌いだが、だからこそ、この男に屈辱的に抑えつけられての行為は――感じ
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第13話(34)

 濡れた体のままようやくバスタブから連れ出されると、和彦はバスタオルを取り上げる。しかし、体を拭く前に部屋へと引きずられ、ベッドに突き飛ばされた。 のしかかってきた鷹津に、いきなり膝を掴まれて足を大きく左右に開かれる。片手にバスタオルを握り締めたまま、和彦は声を上げた。「何をするっ……」「お前相手なら、試せるかと思ってな。……暴れるなよ。噛み千切られたくなかったらな」 物騒なことを呟いた鷹津が、開いた両足の間に顔を埋める。身を起こしかけた和彦のものが、濡れた感触にベロリと舐め上げられた。このとき、わざとそうしたのか、内腿に不精ひげが触れた。「あうっ」 思いがけない鷹津の行動だった。和彦は慌てて腰を引こうとしたが、膝を掴む鷹津の手に力が込められ、同時に和彦のものは、燃えそうに熱い鷹津の口腔に含まれた。「うっ、あっ、あっ――」 いきなりきつく吸引され、感じやすい先端に歯が当たる。鋭い感覚と恐怖に腰を震わせながら、和彦は懸命に鷹津の頭を押し退けようとする。「嫌、だ……。そんなこと、するな。……嫌っ……」 明らかに慣れていない、勢いだけの武骨な愛撫だ。和彦のものを無茶苦茶に舐め回し、加減もせずに吸い上げ、歯列を擦りつけてくる。和彦はなんとかやめさせようともがいたが、口腔深くまで呑み込まれたものに、濡れた粘膜がしっとりとまとわりついたとき、初めて身悶えて喘ぎ声をこぼした。 鷹津は急速に愛撫の力加減を覚え、それに技巧が追いつく。先端を硬くした舌先でくすぐられてから、はしたなく濡れた音を立てて吸われる。歓喜のしずくが滲み出ているのだ。「はっ……あぁ、あっ、うぅっ」 和彦は上体をしならせて感じる。気がついたときには、他の男たちに対するように、鷹津の頭に手をかけていた。濡れた長めの髪を掻き乱すと、鷹津の愛撫が熱を帯びる。すっかり反り返った和彦のものを獣のような舌使いで何度も舐め上げ、溢れたしずくを啜り、ときおり軽く噛み付いてくる。 悔しいが、鷹津の
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