あまりに簡潔な賢吾の返事に、和彦は唇を動かしながらも、声が出なかった。言い返すべき言葉が見つからない。「……どういう、理屈だ……」「俺は自分の〈女〉を、オヤジに一人しか紹介したことがない。千尋の母親だ。オヤジはそれこそ、蛇蝎のごとく嫌っていたがな。そのオヤジが、俺の〈オンナ〉を紹介しろと、何度も言ってくる。もちろんいままで、俺は自分のオンナをオヤジに会わせたことはない。後腐れなく一度しか寝ない相手を、わざわざ紹介するまでもないからな」 どこか楽しげな口調で話しながら賢吾は、厚みのある固くて大きな手で、ずっと和彦の胸元を撫でていた。思わず震える吐息を洩らすと、待っていたように胸の突起を指先に捉えられる。「だが、先生は別だ。俺の、大事で可愛いオンナで、長嶺組のビジネスパートナーでもある。それに、総和会の仕事も何度もこなしている。先生に会いたいと言い出したところで不思議じゃないだろ」「――……困、る」「どうして困る?」「どんな顔をして会えばいいんだ。それに、何を話せば……」「一人の偏屈なジジイを相手にしていると思えばいい」 思えるか、という反論は、賢吾の唇に吸い取られた。賢吾の中では決定事項で、和彦の意思は関係ないのだろう。 腹は立つが、戸惑いの気持ちのほうが強い。しかも賢吾に、浴衣の衿の合わせ目をさらに大きく広げられ、和彦の意識はそのことに向いてしまう。 露になった胸元に賢吾が顔を埋めてくる。濡れた音を立てながら、凝った突起を激しく吸われ、小さく呻き声を洩らした和彦は、本能的に後ろに逃れようとする。だが、背筋を這い上がってくる疼きに負けて、座卓の縁に片手を突き、もう片方の手を賢吾の頭にかけていた。 突起を強く吸い上げる一方で、賢吾の片手に膝を押し開かれ、和彦は仕方なく正座していた足を崩す。両足の間をまさぐった賢吾が、上目遣いに見上げてきた。「下着を穿かないぐらいの気遣いは欲しかったな、先生」「ふざけたことを言うなっ。大晦日の夜に、そんな恥知らずなことができるかっ」「俺に脱がさ
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