** 元日から、なんとも気が重くなるような仕事だった。 和彦の本来の仕事は美容外科医で、患者のコンプレックスを取り除き、幸せになる手助けをするのが仕事だ。普段は、こういった理想や理念を意識することはなく、患者の望みに近づけるよう努めるだけだ。 しかし長嶺組の専属医となってから、和彦はいくつかの不本意な手術を手がけていた。 初詣をした神社の駐車場で賢吾と別れ、組員が運転する車で向かったのは、『池田クリニック』だ。さすがに元日だけあってビル全体に人気はなく、こんな日に慌しく動いているのは、後ろ暗いところがあるヤクザと、そのヤクザに手を貸す美容外科医ぐらいかもしれない。 そんな皮肉っぽいことを考えた和彦が引き合わされたのは、中年の男だった。凡庸な顔立ちながら、一目で筋者とわかる険しさが顔に張り付いている。 その男が何者なのか和彦は尋ねもしないし、同行している組員たちも話そうとはしない。組絡みの仕事は、これが普通なのだ。 和彦への依頼は、男の顔を変えてほしいというものだった。それがどういう意味なのか、考えるまでもない。 顔の骨を削れるほどの時間も人員もないとなると、取るべき手段は限られる。顔に異物を入れて、形を変えるしかないのだ。 いつだったか千尋に言ったことがあるが、美容外科医としての和彦は、骨を削る技術に自信を持っている反面、安易に異物を入れる手術があまり好きではなかった。これが自分のプライドだと思っていた時点で、驕っていたのだろう。 今の立場は、そういうプライドを徹底的に砕いてしまい、相手の要望に短時間で応える技術や要領が、否応なく身についてきていた。 あとで取り出すことを前提に、あごや鼻に異物を入れて、大まかに顔の印象を変える。さすがに瞼にはメスを入れたが、これはあえて、二重の目を重く見せるための処置だ。点滴を含めて三時間ほどの処置だが、男の顔の印象は大きく変わる。 男は最後まで口を開かなかったが、その代わりに、付き添いの組員から大げさなほどの労いと賞賛の言葉をもらった。だからといって嬉しいわけではないが、長嶺組の専属医として評価されないよりはよほどいい。 手術室を片付けた和彦がクリニッ
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