All Chapters of 私の事が大嫌いだったはずの旦那様が記憶喪失になってから、私を溺愛するようになったのですがこれは本当に現実ですか!?: Chapter 11 - Chapter 20

56 Chapters

第10話

「…ふふっ」 湊さんが笑った。 その笑い声が、あまりにも柔らかくて、私は思わず顔を上げた。 彼が笑うのを、私は初めて見た。 少なくとも私に向けて笑ったのは、記憶がある限り、これが初めてだった。 その笑顔が、あまりにも無邪気で、私は胸がいっぱいになった。 こんなふうに笑う人だったんだ。 「どうして笑うんですか、」 何かおかしなことを言っただろうか。 からかわれたのか、それとも呆れられたのか。 でも、彼の目は優しかった。 その瞳に、嘲笑の色はなかった。 だからこそ、私は余計に混乱した。 「ごめんごめん。彩花ちゃんが分かりやすすぎてつい」 その言葉に、私は息を呑んだ。 湊さんが、私の名前をそんなふうに呼ぶなんて。 柔らかくて、親しみのこもった声。 過去の彼は、私の名前すら呼ばなかった。 呼ばれても、冷たくて事務的で、まるで他人のようだった。 だからこそ、今の彼の声が私の心を静かに揺らした。 「え?」 思わず、問い返してしまった。 分かりやすいって、どういう意味? 「俺がいない方が良かったって顔してる」 その言葉に、私は一瞬、心臓が止まったような気がした。 図星だった。 まさか、そんなふうに見抜かれるなんて思っていなかった。 私は、ずっと感情を隠してきたつもりだった。 湊さんの前では、何も感じていないふりをしてきた。 傷ついても、寂しくても、それを見せたら、もっと遠ざけられる気がして。 だから、私は感情を押し殺してきた。 でも、今の湊さんには、それが見えてしまう。 今さら、見抜かれてしまうなんて。 「そ、そんなこと…ないです」 言葉がうまく出てこなかった。 否定したいのに、声が震え
last updateLast Updated : 2025-11-03
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第11話

「だって、俺達夫婦なんだよ?敬語ってなんか距離感じない?」 その言葉が、あまりにも自然に湊さんの口からこぼれたことに、私は驚いた。 “夫婦”という言葉を、こんなにも柔らかく、こんなにも当たり前のように使う彼を、私は知らない。 「そう…ですかね、」 言葉を濁すように、私は答えた。 私もそう思います。そう思うからあえて敬語を使ってきたんです。 心の中で、そう呟いた。 敬語を使ってでも、関係を保ちたかった。 それが、私の本音だった。 「そうだよ。寂しいなぁ」 そんな顔されたら、もう反論なんてできない。 湊さんの表情は、どこまでも素直で、どこまでも無防備だった。 まるで、私の言葉ひとつで傷ついてしまうような、そんな顔。 その表情には、駆け引きも計算もなかった。 ただ、私の言葉を待っている。 私の気持ちを、真正面から受け止めようとしている。 「…努力してみます」 それが、今の私にできる精一杯だった。 湊さんの言葉に真正面から向き合う勇気は、まだ私にはなかった。 だから、私は“努力する”という曖昧な言葉で、その場をやり過ごそうとした。 本当は、敬語をやめるつもりなんてなかった。 でも、湊さんの真剣な目を見てしまったら、何か言わなきゃいけない気がして、とっさに口にしたのがこの言葉だった。 だけどその響きは、どこか他人行儀で、まるで仕事の報告みたいだった。 「ん?」 タメ口で言えって圧力がすごい。 湊さんは、冗談めかして笑っているけれど、その目はどこか真剣で、私の反応をじっと見つめていた。 「努力してみ…ますね、」 言い直した瞬間、自分の声が少しだけ震えていたのが分かった。 “努力してみるね”と、たったそれだけの言葉が、どうしてこんなにも難しいのか。 そんな言葉を口にした
last updateLast Updated : 2025-11-03
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第12話

「え、そんなに驚くこと?キスの一つや二つぐらい、もうとっくの昔にしてるでしょ?」 その言葉があまりにも軽くて、あまりにも自然で、私は一瞬、現実感を失った。 キスの一つや二つなんて、まるで当たり前のように言うけれど、私たちの間にはそんなもの、これまで一度もなかった。 湊さんは、私に触れることすら避けていた。 視線すら合わせてくれなかった。 「し、してる訳ないじゃないですか!」 反射的に声を荒げてしまった。 湊さんの顔を直視できないほど、動揺していた。 顔を見るのも嫌だって言われてるぐらいなのに。 あの瞬間、私は自分が“妻”であることすら否定された気がした。 だから、キスなんて、そんな親密な行為が、 私たちの間にあるはずがない。 「あ、」 その一言が、空気を変えた。 私は思わず息を止めた。 何かが起こる。 そう直感した瞬間、心臓が跳ねた。 「へ?っ…!」 い、今、キスされた…? 唇が触れた感覚が、あまりにも鮮明で、私はその場に立ち尽くしたまま、何も言えなかった。 湊さんの唇は、柔らかくて、温かくて、それが現実だと認識するまでに、数秒かかった。 頭が真っ白になる。 心臓がバクバクして、息が詰まりそうになる。 これが、キス。 私の、人生で初めてのキス。 それが、湊さんからだった。 ずっと憧れていた人。 ずっと遠かった人。 その人が、今、私にキスをした。 「敬語やめてって言ったでしょ。あ、もしかして初めてだった?」 その言葉に、私は何も返せなかった。 初めてだった。 でも、それを認めるのが恥ずかしくて、言葉が喉の奥で詰まった。 一度も恋なんてしたことがなかった。 彼氏さえできないまま、結婚した。 だから
last updateLast Updated : 2025-11-04
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第13話

「ねぇ。ほんとの事を言わないと、今よりもっとすごいキスするけど」 その言葉に、心臓が跳ねた。 今よりもっとすごいって、そんなの無理に決まってる。 さっきのキスだけでも、息ができないほどだったのに。 唇が触れた瞬間、世界が止まったような感覚。 それ以上なんて、想像もできない。 でも、湊さんは私の目を見て、まるで挑むように言ってくる。 その瞳に、冗談の色はなかった。 私は、背筋がぞくりと震えるのを感じながら、言葉を探した。 「何言って…」 言いかけた瞬間、湊さんが一歩近づいてきた。 思わず後ずさったけれど、すぐに背中が壁に当たった。 冷たい感触が、現実を突きつけてくる。 逃げ場は、もうどこにもなかった。 言葉を続けようとしても、喉が詰まって出てこない。 「本気だけど?」 その一言が、決定打だった。 低く、静かな声。 でも、その響きは圧倒的で、私の心を貫いた。 湊さんの瞳が、真っ直ぐに私を見つめている。 その目に嘘はなかった。 私は、もう逃げられないと悟った。 「…本当は、湊さんが…初キス、だよ」 言った瞬間、顔が熱くなった。 心臓が爆発しそうだった。 こんなこと、絶対に言いたくなかった。 でも、湊さんの目を見ていたら、これ以上嘘をつくことができなかった。 「っ、」 湊さんの瞳が、ほんの一瞬揺れた。 でもすぐに、彼の手が私の頬に添えられて、 次の瞬間───── 「湊さん…?っんん、ちょっ…んっ」 唇が重なった。 深く、強く、容赦なく。 息ができないほどの熱が、私を包み込んだ。 ただ、湊さんの熱に包まれて、私は自分がどうなってしまうのか分からなかった。 「…これは、俺に嘘をついた罰」
last updateLast Updated : 2025-11-05
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第14話

「はっ…!」湊さんの声が、突然鋭く空気を裂いた。その一言に、私は思わず肩を跳ねさせてしまう。何か怒らせるようなことをしただろうかと、瞬間的に不安が胸をよぎる。でも、彼の視線は私の顔ではなく、手元に向けられていた。その目は驚きと、焦りのような色を帯びていて、私は思わず自分の手を見下ろす。そこには一週間前にできた小さな傷が、まだ赤く残っていた。忘れていた。いや、忘れようとしていた。ほんのかすり傷。でも、湊さんの目には、そんな軽いものには見えなかったらしい。「この怪我は何!?」その視線は、私の右手に釘付けになっている。彼の眉間には深い皺が寄っていて、その表情が、まるで自分が傷ついたかのように痛ましげで、私は思わず目を逸らした。「お皿割っちゃって、」言い訳のように、ぽつりと呟いた。洗い物をしているときに、うっかりお皿を割ってしまって、破片を片付けようとしたときに指先を少し切った。わざわざ絆創膏を貼るほどでもないと思って、そのままにしていただけなのに。湊さんの反応があまりにも真剣で、私は自分の軽率さを責められているような気がして、つい声が小さくなった。「大丈夫?お医者さんに見てもらった方が…」その言葉に、私は思わず笑ってしまいそうになった。心配しすぎ…そうか。私、湊さんに心配してもらえたの、これが初めてだ。こんなふうに優しくされると、過去の冷たさが、余計に思い出されてしまう。「大丈夫だよ。こんなのただのかすり傷だし」できるだけ軽く、何でもないように言った。「どんなに小さな怪我でも心配なんだよ」その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられ
last updateLast Updated : 2025-11-07
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第15話

「ごめんなさい、」 その言葉は、反射的に口をついて出た。 でも、私が不甲斐ないばかりに、湊さんにいつも迷惑かけてたのは事実だから。 家事も不器用で、気を遣うことも下手で、湊さんに負担ばかりかけていた。 言葉にすることで、自分の弱さを認めるようで、喉の奥が詰まるような感覚に襲われた。 「謝ってほしい訳じゃなくて、」 湊さんの声は、静かで、でも確かな力を持っていた。 その言葉に、私は思わず息を呑んだ。 謝ることしかできない。そう言われた過去の記憶が、頭の奥で静かに疼いた。 何かを言われる前に謝ってしまうのは、もう癖になっていた。 「…」 言葉が出なかった。 喉の奥が詰まって、何も言えない。 涙が滲みそうになる。 私はただ俯いて、彼の視線から逃げるように目を伏せた。 「…彩花ちゃん」 名前を呼ばれるだけで、こんなにも胸がざわつくなんて。 湊さんの声は、優しかった。 過去の冷たい言葉が、少しずつ溶けていくような気がした。 「っ、湊さん…?」 気づいた時には、私は湊さんの腕の中にいた。 その事実に、頭が追いつかなくて、心臓が跳ねるように脈打った。 湊さんの腕は、あたたかくて、でもしっかりと私を包み込んでいて。 私は湊さんの胸元に顔を埋めることもできず、ただ固まったようにその場に立ち尽くしていた。 「…大丈夫だよ」 その言葉は、湊さんの胸元から静かに響いてきた。 低くて、落ち着いていて、まるで私の不安をすべて包み込んでくれるような声だった。 私は、何も言えなかった。 ただ、湊さんの腕の中で、自分の鼓動がどんどん早くなっていくのを感じていた。 彼の言葉が、過去の冷たさをすべて塗り替えてしまいそうだった。 「どうして、」 声が震えていた
last updateLast Updated : 2025-11-08
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第16話

「あ、前の僕が彩花ちゃんを好きじゃなかったって意味じゃないよ、」 湊さんの言葉は、慌てたようで、でもどこか必死だった。 そう言われれば言われるだけはっきり分かる。 湊さんがどれだけ否定してくれても、その言葉が重ねられるたびに、過去の記憶が鮮明に蘇ってくる。 私は、何も言えずにただ彼の顔を見つめた。 その瞳に映る私は、きっと今とは違う存在だったのかもしれない。 でも、過去の私は彼にとって、ただの“同居人”だったはずだ。 「いいの。分かってるから」 私は、静かにそう言った。 彼の気持ちも、自分の気持ちも、何が本当で何が変わったのか、まだ整理できていなかった。 だから私は、そっと目を伏せて、彼の視線から逃げるように言葉を置いた。 「ほんとに違うんだよ」 湊さんの声は、焦りと切実さが混ざっていた。 彼は、何かを必死に伝えようとしていた。 過去の自分と今の自分の違いを、私に理解してほしいと願っているのが、痛いほど伝わってくる。 でも、私はその言葉をすぐには受け止められなかった。 過去の湊さんの冷たさが、あまりにも鮮明に記憶に残っているから。 優しくされた記憶よりも、突き放された記憶のほうが、ずっと強く残っている。 「前の湊さんは、私のことをそんなふうに想ってくれてなかったよ」 言葉にすることで、自分の傷をさらけ出すような気がした。 でも、言わずにはいられなかった。 過去の湊さんは、私を愛してなかった。 それは事実で、私が勝手にそう思っていたわけじゃない。 その言葉は、彼を傷つけるかもしれない。 でも、私の中にある痛みを、正直に伝えたかった。 「彩花ちゃんの顔を見てたらドキドキするのだって、まだ出会って間もないのにこんなに愛おしく感じるだって、きっと昔の自分が彩花ちゃんのことを好きだったからなんだよ」 愛おしく感
last updateLast Updated : 2025-11-08
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第17話

「もしかして、寝室別なの…?」 記憶を失っている彼にとって、今の生活の細部はすべて新鮮で、その中でふと違和感を覚えたのだろう。 けれど、私にとってはその言葉が、過去の痛みを呼び起こす鍵のように響いた。 一緒に暮らしているのに、同じ部屋で眠ることはなかった。 それが当たり前になっていた日々。 その寂しさを、彼は知らない。 でも、今こうして問いかけてくる彼の目は、どこか不安げで、私の答えを恐れているようにも見えた。 「そうだよ、?」 私は努めて平静を装った。 でも、声の端に棘が混じってしまったのは、抑えきれない感情が滲み出たせいだった。 あのときの湊さんの態度は、私にとって拒絶そのものだったから。 「いつから?」 まるで自分の記憶の空白をなぞるように、過去の事実を確かめようとする響きがあった。 記憶がない彼にとって、私たちの関係の始まりは霧の中にある。 私たちがどんなふうに暮らしていたのか、どんな距離を保っていたのか。 だからこそ、その問いは純粋で、責める意図なんて微塵もなかった。 それが分かっているのに、私は一瞬、言葉に詰まった。 答えるだけで、あの頃の寂しさが胸に蘇ってしまいそうで。 「いつから…初めから」 ようやく絞り出した言葉は、どこかぎこちなかった。 一緒に暮らし始めたその日から、湊さんは当然のように寝室を分けた。 理由は聞けなかった。 聞いたところで、傷つくだけだと思ったから。 だから私は、ただ黙って受け入れた。 彼にとって、私は“同居人”でしかないのかもしれないと、何度も自分を納得させようとしていた。 その答えを聞くと、湊さんは小さく目を見開いた。 そして、ふらりと体を揺らした。 突然の動きに、私は反射的に手を伸ばした。 彼の体がふらりと揺れ、バランスを崩しかけた
last updateLast Updated : 2025-11-09
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第18話

「あーごめんね。困らせたかったわけじゃないんだ。だからそんな顔しないで?ね?」 申し訳なさそうに笑う湊さんの顔を見て、胸が少し痛んだ。 彼は、私の表情を見てすぐに気づいてくれた。 私が戸惑っていること。 心の中で、何かを押し殺していること。 それでも、責めることなく、ただ静かに寄り添おうとしてくれる。 「湊さん、」 名前を呼ぶだけで、喉が詰まるような感覚がした。 言いたいことはたくさんあるのに、言葉にならない。 彼が記憶を失ってから、何度も名前を呼んできた。 でも、今のこの瞬間ほど、名前に重みを感じたことはなかった。 今目の前にいる人は、私が知っている湊さんじゃない。 私を見て笑ってくれる湊さん。 優しく声をかけてくれる湊さん。 その存在が、私の心を揺らしていた。 名前を呼ぶことで、何かが変わる気がして。 でも、変わるのが怖くて。 私は、ただ名前を呼ぶことしかできなかった。 私は、私は…怖いんです。 過去の記憶、傷ついた心、期待して裏切られた日々。 それらが、今の湊さんとの距離を作っている。 彼が優しくしてくれるほど、私はその優しさがいつか消えてしまうことを恐れてしまう。 記憶が戻ったら、また遠くへ行ってしまうかもしれない。 だから、踏み出すのが怖い。 「おやすみ。また明日」 その言葉は、まるで魔法のようだった。 湊さんが、私に“明日”を約束してくれた。 でも、彼がベッドに向かって歩いていく姿を見て、私はその場に立ち尽くしてしまった。 一歩踏み出す勇気が、どうしても出なかった。 今の湊さんはこんなに私を想ってくれているのに。 …そうか。 冷たく振り払っているのは、むしろ私の方だ。 過去の記憶に縛られて、あの頃の痛みを盾にして、
last updateLast Updated : 2025-11-09
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第19話

「彩花ちゃん起きて。もう朝だよ」 耳元に届いた声は、柔らかくて、どこか懐かしい響きだった。 まるで夢の中で聞いたような、優しい音色。 意識はまだぼんやりしていて、現実と夢の境目が曖昧だったけれど、その声だけは、はっきりと心に届いた。 誰だろう…でも、落ち着く。 心がふわっとほどけていくような、そんな感覚。 「んん…」 声にならない返事を口にしながら、私はまだ眠りの中にいた。 まぶたが重くて、開ける気になれない。 体も布団のぬくもりに包まれていて、このままもう少しだけ眠っていたいと思った。 「おはよう。よく眠れたみたいだね」 その声が、すぐ近くから聞こえた。 耳元で響くその音に、私は少しだけ眉を動かした。 優しくて、穏やかで、どこか楽しそうな声。 でも、誰の声だろう。 聞き覚えがあるような、ないような。 昨日の夜、誰かと話した気がする。 でも、それが現実だったのか、夢だったのか。 「まだ寝る…」 これはきっと夢だ。 だって、現実では私の事をこんなに優しく起こしてくれる人なんていないんだから。 誰かに名前を呼ばれて、柔らかくて、あたたかくて、まるで私の存在を大切に思ってくれているような声で。 そんなふうに目覚めた朝なんて、今まで一度もなかった。 「もう起きないといけない時間だよ。それより、昨日僕より先に寝てたの知ってた?」 その言葉に、私は少しだけ目を開けた。 カーテンが開けられ、差し込む光に思わず顔をしかめる。 まぶしくて、目を開けるのがつらい。 でも、その光が、現実の朝を告げていた。 「知らない…」 私の抱き枕どこ…?あ、あった。 まだ夢の中にいるようなぼんやりとした意識の中で、私は手探りでいつもの安心を求めていた。 眠るとき、
last updateLast Updated : 2025-11-10
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