「じゃあさ、一番腕のいい弁護士、紹介しようか?」怜人が思いつく限りで一番現実的な方法は、やっぱり裁判での離婚だった。「無理だよ」真帆はスマホを操作して、何枚もの写真を呼び出した。「遥真が柚香に離婚を切り出したときからずっと、探偵に張り込みさせてたの。でもここまでずっと、二人が怪しい関係だって証拠は一度も撮れてない」「慎重なんだよ、あの人」柚香がぽつりと言う。遥真は昔から、何でも自分のコントロール下に置くタイプだ。離婚だって例外じゃない。決めるのはあくまで彼。彼が認めない形で終わることは、絶対にない。「一つだけ、使えるかもしれない方法がある」真帆はしばらく迷ってから口を開いた。「ただ……かなり面倒なことになると思う」「大丈夫。離婚できるなら、どんな面倒でも平気」今の柚香には、それしかなかった。どうしても離婚しなきゃいけない。もしこの先、遥真が気を変えたら、そのときに備えも必要になる。そうじゃなきゃ、この先ずっと、彼と玲奈の世界の中で生きることになる。そんなの、耐えられない。「遥真の親と、会社の役員たちを使ってプレッシャーかけるの」真帆はためらいなく言った。「あいつ、恋愛ばっかりで仕事に身が入ってないって話にするの」遥真の両親も、会社の役員たちも、結局は利益優先だ。もし柚香にかまけて仕事がおろそかになってる、なんて話になれば、あちこちから圧力がかかるはず。「でも、あの人が会社を継いでからはずっと順調だし……そこを突くのは難しいと思う」柚香はやり方には納得していないけど、その点に関しては遥真がきちんとやってきたことも分かっていた。「本当に欠点を見つける必要はないよ」真帆はこういう世界のことに詳しい。「親との対立さえ作れれば、それでいいの」柚香は一瞬、言葉を失った。遥真は親のことが好きじゃない。これまでも、できるだけ距離を置いてきた。そこを突けば、きっと自分を恨む。もしかしたら、「離婚したいならしてやる。でも、あとでやっていけなくなっても、泣きついてくるなよ」と言われるかもしれない。「……わかった」柚香はうなずいた。こんなやり方がまともじゃないのは分かってる。それでも、もし彼が最後までごねるなら、こうするしかない。その会話は、隣のバルコニーにいた遥真の耳に、はっきり届いていた。「わかった」と言っ
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