その後、月子が何度も矢面に立たされ、警察や世間の非難を浴びる羽目になったのも、すべて千雪が裏で糸を引いていたからだ。月子は死を目前にして、すべては千雪の指示だと明確に証言した。ただ、証拠が足りなかっただけだ。澪も認めざるを得なかった。千雪は確かに狡賢い。あるいは、千雪の背後にいる協力者が、手ごわいのかもしれない。警察が千雪を捕まえられないのなら、自分が直接彼女を地獄へ送ってあげる。名目上は「資金を持ち逃げした」ことになっているCD社。だが、その会社は実は澪のものだったのだ。彼女が丞に依頼して海外に登録させた、完全なペーパーカンパニーである。今回のC国政府による新鉱脈の公開入札は、最初から最後まで、澪が千雪のために丹念に仕掛けた罠だった。澪は病床に横たわりながら、千雪が自らその罠へと一歩一歩深く足を踏み入れていく姿を想像し、どんな高級な薬よりも心地よい快感を得ていた。千雪を完全に破産させ、莫大な負債を背負わせることは、決して容易なことではない。なぜなら、彼女には洵という絶対的な後ろ盾がいるからだ。だからこそ今回、澪は幾重にも保険をかけた。鉱脈の入札を罠に選んだ理由は二つある。一つは、ジュエリーデザインという千雪の本業に直結しているため、彼女の興味を惹きつけやすく、確実に食いつかせることができるから。もう一つは、莫大な資金が必要になるからだ。事実、洵は千雪をひどく甘やかしている。300億円もの会社の流動資金を、彼女が欲しいと言っただけであっさりと与えたのだから。しかし万が一に備え、澪は丞に依頼して提携先の半導体工場をハッキングさせ、生産ラインを強制的にストップさせた。そして、そのタイミングで自ら株主として乗り込み、洵を脅迫して「資金監視協定」にサインさせた。これにより、篠原グループは千雪の借金を肩代わりすることが物理的に不可能となった。千雪を待ち受けているのは、永遠に這い上がることのできない深い奈落の底だけだ。洵が再び目を開けた時、彼の目に映ったのは、澪のひどく冷ややかな嘲笑だった。その表情は、洵に一瞬、彼女が全く知らない他人のように感じさせた。「澪、実は俺……」「恩を着せて見返りを求めるのはやめて」澪は、洵の言葉を氷のように冷たく遮った。「あなたが何度も私の命を救ったのは……所
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