「蒼、私が煌に会いたがっているとでも言ってあの子をマンションから連れ出しなさい」「祖母さん……」白川茉莉は煌を祖母さんに会わせ、社交界のご夫人たちに煌の存在を認めさせようとしていた。祖母さんがそれを断り続けたことで、社交界では「藤嶋翠さんが反対している以上、蒼さんと白川茉莉さんが結婚できないのは仕方がない」という見方が広がっていたのだ。 「黒崎さん、今すぐ私が煌をひ孫として認めるという声明を出して」「……いいのですか?」躊躇する黒崎に祖母さんはしっかり頷く。 「あの子が私のひ孫であることは確かだもの。あなた、主治医の先生に連絡して病院の特別室を用意してもらって頂戴。煌が急に体調不良を訴えたことにして、検査入院として白川家から離すわ」「祖母さん……」「蒼、ここまで来てしまったら……李さんの言う通り、陽菜さんに何かあってからでは遅いの」祖母さんが拳を強く握った。「もうなりふり構っていられない。蒼、早くなさい」俺と祖母のやり取りを見ていた李凱の顔が怪訝なものになった。李凱は言葉を探すように口を開いた。「もしかして、あの子どもは……」李凱の言葉の途中で、電子音が響いた。言葉を切った李凱がスーツのポケットからスマホを取り出した。 「病院に運ばれた二人のうち一人が意識を取り戻した」電話を切った李凱の報告。「陽菜を浚った犯人の男たちのうち、車を運転していた男を藤嶋建設の、俺たちが参加したパーティーで見たと言っている」俺は急いで黒崎妹に先日のパーティーの映像を持ってこさせた。丁度いいタイミングで西山夫人も合流した。犯人を実際に目撃した祖母さんと西山夫人が映像を確認し、運転していた男は白川茉莉の護衛の男だと分かった。俺も、白川茉莉に与えたお台場のマンションで何度も見たことがある男だった。 「白川茉莉から、この男は母親の白川百合江のお気に入りだと聞いたことがある」戸田刑事が「そうですか」と頷いた。そして祖母さんと西山夫人に陽菜を攫った男はいるかと尋ねた。戸田刑事の質問に祖母さんと西山さんは首を横に振った。結局、運転手以外は「若い男たちだった」という情報止まりだ。 「防犯カメラの映像から、朝霧陽菜さんが乗る予定の車にぶつかってきた車両は盗難車両だと分かりました。先ほど所有者に連絡がつきました。確認したところ、持ち主の男性は
Terakhir Diperbarui : 2025-12-22 Baca selengkapnya