Semua Bab 隠された愛 ~ 「もう少し」ってあとどれくらい?: Bab 61 - Bab 70

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「蒼、私が煌に会いたがっているとでも言ってあの子をマンションから連れ出しなさい」「祖母さん……」白川茉莉は煌を祖母さんに会わせ、社交界のご夫人たちに煌の存在を認めさせようとしていた。祖母さんがそれを断り続けたことで、社交界では「藤嶋翠さんが反対している以上、蒼さんと白川茉莉さんが結婚できないのは仕方がない」という見方が広がっていたのだ。 「黒崎さん、今すぐ私が煌をひ孫として認めるという声明を出して」「……いいのですか?」躊躇する黒崎に祖母さんはしっかり頷く。 「あの子が私のひ孫であることは確かだもの。あなた、主治医の先生に連絡して病院の特別室を用意してもらって頂戴。煌が急に体調不良を訴えたことにして、検査入院として白川家から離すわ」「祖母さん……」「蒼、ここまで来てしまったら……李さんの言う通り、陽菜さんに何かあってからでは遅いの」祖母さんが拳を強く握った。「もうなりふり構っていられない。蒼、早くなさい」俺と祖母のやり取りを見ていた李凱の顔が怪訝なものになった。李凱は言葉を探すように口を開いた。「もしかして、あの子どもは……」李凱の言葉の途中で、電子音が響いた。言葉を切った李凱がスーツのポケットからスマホを取り出した。 「病院に運ばれた二人のうち一人が意識を取り戻した」電話を切った李凱の報告。「陽菜を浚った犯人の男たちのうち、車を運転していた男を藤嶋建設の、俺たちが参加したパーティーで見たと言っている」俺は急いで黒崎妹に先日のパーティーの映像を持ってこさせた。丁度いいタイミングで西山夫人も合流した。犯人を実際に目撃した祖母さんと西山夫人が映像を確認し、運転していた男は白川茉莉の護衛の男だと分かった。俺も、白川茉莉に与えたお台場のマンションで何度も見たことがある男だった。 「白川茉莉から、この男は母親の白川百合江のお気に入りだと聞いたことがある」戸田刑事が「そうですか」と頷いた。そして祖母さんと西山夫人に陽菜を攫った男はいるかと尋ねた。戸田刑事の質問に祖母さんと西山さんは首を横に振った。結局、運転手以外は「若い男たちだった」という情報止まりだ。 「防犯カメラの映像から、朝霧陽菜さんが乗る予定の車にぶつかってきた車両は盗難車両だと分かりました。先ほど所有者に連絡がつきました。確認したところ、持ち主の男性は
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-22
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「罪を犯す人間は二種類いる、俺はそう思っている」李凱が淡々と語りはじめる。今は情報を集めている時間。ただ待つだけのこの時間、李凱の言葉に俺たちは耳を傾ける。 「一つは、罪を罪とは認識していない奴だ。こういう奴は危ない、そしてシラカワはそういう奴だと思う」李凱の言葉に祖母さんが同意する。俺も同意する。“何が悪いの”と言わんばかりにキョトンとした白川茉莉の顔が容易に浮かんだ。 「もう一つは、自分の罪が明らかにされないと高をくくっている奴だ。婦女暴行犯は大体こっちだな」暴行罪は被害者が訴え出なければ成立しない。そして、暴行された被害者は口を噤んでしまうことが多い。暴行。その言葉を李凱が口にした瞬間から、俺は母親に圧し掛かれたときの恐怖と悍ましさを思い出していた。冷や汗が止まらない。呼吸が浅くなる。陽菜も、あんな目に?いや、もっと酷いことに……嫌だ、想像したくもない。「だから……あくまでも可能性だが、男たちはヒナを殺す可能性は低い……そう思いたい」李凱が祈るような口調で口にする。「奴らはすでに誘拐の罪を犯している。その前提で“何もなかった”と、例えるならちょっとした悪ふざけみたいな、あくまで合意の上の行為なのだと証明してくれるのはヒナだけなのだからな」   *  「戸田さん」戸田刑事を呼ぶ声にそっちを見ると、彼の部下が何かを報告しているのが見えた。戸田刑事の眉間に皺が寄った。嫌な予感が膨らむ。「朝霧さんのスマホが見つかりました。拉致現場のすぐ近くのゴミ捨て場にありました」「……犯人も馬鹿ではないということか」祖父さんの呟きが重く響く。盗難車両の情報をもとに車の行き先を調べているが時間がかかる手段で、陽菜のスマホの電波を探って場所を探す方法に賭けていたのだ。 「あと現場にはこれも……朝霧さんの指輪でしょうか」戸田刑事がスマホの画面を李凱に見せる。指輪……そういえば右手の薬指にはめていたな……っ。反射的に李凱の手を見てしまい、同じ右手の薬指に覚えのあるデザインの指輪がはまっているのが見えて思わず息を飲んだ。お揃いの指輪……そっか。指輪をはめたことのない手がやけに冷たく感じた。 「ちょっと待ってくれ……確認したいことがある」李凱が何かを思い出したように、少し慌てた様子で電話をかけ始めた。中国語の
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手に持っていたスマホの画面に視線を落とすと【朝霧陽菜】の文字。電話は三回コールして切れた。慌てており返そうとスマホを操作しようとしたら「待った」と李凱が止めた。 「ヒナの状況が分からない限り、こっちから電話を掛けるのはやめた方がいい」「どうして……」「どうしてって、お前が返したんだろう? ヒナのやつ、なんとかペイの残金が残っているとかなんとか言って古いスマホを持ち歩いていたんだ。それで、さっき会社に確認したら二つ目の指輪を注文してた」どういうことだ? 意味が分からなず内心首を傾げたら、黒崎妹が呆れた溜め息を吐いた。「李社長の指にはまっているそれ、スマートリングですよ。何だと思ったんですか?」「……陽菜とのペアリング」「デザインが武骨すぎるでしょう。李社長のような神経の図太い方の指にはお似合いですけれど……」「おい」「陽菜さんのような女性がつけるには違和感があります。だからスマートリングだと気づかれて捨てられたんですよ」……黒崎妹、妙に李凱に対して風当たりが強くないか? いや、それは構わないのだけれど――なんでかは、気になる。 「陽菜のバッグは二重底になっていてな。恐らく古いスマホはそこに入れていたから気づかれなかったんだろう」「なんだ、二重底のバッグって。海外ではそんなものが流行しているのか?」「スパイグッズみたいなものを売っている店があるんだよ。俺とアーサーで買って、ヒナの誕生日にプレゼントした」李凱たちのセンスはよく分からないが、それでスマホが見つからなかったのだから良しとしよう。 「陽菜のスマホの位置情報の確認が早いか、それともSOSの緊急連絡が来るのが早いか」「……陽菜はお前も緊急連絡先にしているんだな」つい、嫉妬交じりの恨み節が口を出た。「当たり前だろう。万が一のとき、手術の同意書にサインをできるのは家族だけなんだから」「そうだな、家族…………“家族”?」「ああ」李凱が頷く。「俺と陽菜はまだ離婚していないのに、どうやって陽菜と結婚したんだ?」「はあ? 俺とヒナが結婚?」李凱が本気で驚いている。……まさか。「陽菜と結婚しないしないつもりなのか?」「するわけないだろう! ヒナは異母妹だぞ?」 …………は? 驚く俺に対して李凱は心底不思議そうに首を傾げた。「似ているだろ」「欠片も似
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ずっとぼんやりとしていた頭がやっとはっきりしてきた。やっと”私”が返ってきたような感覚。 車に押し込まれる瞬間に臭ってきた刺激臭はおそらく素人が使ってはいけない薬品。すぐに体の力が抜け、意識が朦朧とした。誘拐されたときの心得その一、「騒いで犯人を刺激しない」が守られたのは良かったと思おう。だから私は、無傷でここにいる。 いま寝転がされているのは、ワンボックスカーの三列目のシート。縛られてはいないけれど、体の力はあまり入らないので動けないのとほぼ一緒。私を浚った男たちは私が目覚めていることに気づいていない。声から判断して車に乗っているのは三人。一人は運転席で、残り二人は真ん中のシート。 刺激臭を感じてすぐに息を止めたから吸い込んだ量は男たちの思っているよりかなり少なく、まだ目が覚めると思っていないんだろう。……油断するだけの余裕。おそらく、こういうことは初めてではない。聞こえてくるのは同年代の男二人の浮かれた声。人を浚うという罪を犯したことへの恐れみたいなものはない。常習者だから慣れている?いえ、それよりも「絶対に大丈夫」と思わせる存在がいる?……恐らく、両方だろう。運転している三人目がその絶対的保護者みたいな存在、もしくはそれに通じるもの。話が興じて男たちが大きな声を出したときくらいしか声を出さないけれど、その諫める声は温度がなく淡々としている。犯罪を犯している最中なのにどこか他人事のような声音。ゾッとする。 右手の薬指につけていたスマートリングはない。確認はしていないけれどスマホも取り上げられたか……いや、どこかに捨てたに違いない。スマホは居場所が割れてしまうことは周知されている。スマートリングは取り上げられただけだとしても、スマホとセットでなければただの指輪でしかない……だから、スマホとスマートリングを一つずつ確認して油断したのだろう。他にスマホもなかったから。 会社を出るときに総務部の社員から受け取ったスマートリング。これは、ポケットに入れたままでまだある。恐らく二重底に入れてある古いスマホを気づかれていない。ありがとう、二重底バッグ。ありがとう、スパイグッズマニアたち。 助けて。気づいて。私は指輪の小さなスイッチを、連打したくなる気持ちを必死に抑えて、音が鳴らないようにゆっくり
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男たちが動き出す。トランクから車椅子が出されて、私はそこに座らされると落ちないようにベルトで固定された。それを隠すようにひざ掛けがかけられる。この準備も、よどみない作業も、この男たちが慣れていることを感じさせる。ひざ掛けの陰でスマートリングのスイッチを何度も押す。建物内だとGPSの精度が落ちるときいたことがあるけれど、諦めてはいけない。できることをやるだけ。 「待て」運転手の男の声に、動き出しかけた車椅子が停まった。……バレた?「おい!」男の一人の苛立ちの混じった制止する声。「待てよ! ここで眠らせたらいつ起きるんだよ!」「寝てる女をヤッても面白くねえし売れねえんだよ」「……少しだけだ。部屋に着く前に起きたら厄介だ」また眠らされると思って息を止めた。薬が沁みた冷たい布の感触。目の粘膜を刺激する薬品臭。よほど目が覚めるのを警戒したのか、目を閉じたままではタイミングが計れなかったのもあり、布が外れるより前に呼吸の限界がきてしまった。……だ……め……。   *  ……ここは? ボンヤリした頭で見覚えのない天井を眺めていたら、少しずつ状況を思い出した。ホテルの、部屋……!慌てて自分の体を見下ろして、スーツの上着さえも着た状態であることにホッとした。長く息を吐いて状況を整理する。どのくらい意識を失っていたのか分からないが、そう長い時間ではないだろう。窓から見える外の明るさは車の中で見たものとあまり変わらないし、そもそも男たちは待つことは苦手そうだ。そういえば……あの男たちは?部屋には一人。後ろ手で縛られて、ベッドに寝転がされている状態。もぞもぞと動いて視点を変えると、すぐ近くにここまで運ぶのに使ってきたと思われる車椅子があった。姿勢を変えて反対側を見て、体が強張る。三脚に固定されたビデオカメラ。カメラは……ベッドの両脇と足元の三台……無機質なレンズが怖い。だめだ、恐怖に飲まれるな。 体をもぞもぞと動かしてポケットを探り、硬い指輪の感触に安堵しながらスイッチを連打する。こんなこと、無駄かもしれない……ううん、諦めてはダメ。落ち着こう、どんなときでもできることをやるしかないんだ。 ガチャリと部屋の扉が開く音に、咄嗟にそちらを見れば男二人と目が合った。 「やっと目が覚めたか。待ちくたびれたぜ
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男の一人がハンディカメラを構えて私に向ける。無機質なレンズにゾッとするが、ここは何でもない振りで微笑むところだ。「痛くされたらもちろん恨むわ」平然と言い返せば、男たちの変な自信が揺らぐのが分かった……馬鹿め。「あのね、あなたたちに依頼した人は分かっているのよ。白川茉莉でしょう?」「っ……ち、違う!」「まあ、そう言うしかないわよね。そう言う約束なのでしょうね。私、知っているのよ?」「……な、何を」聞く耳を持たない馬鹿でよかった。「白川茉莉、平気で人を切り捨てるわよ。あなたたちの前の人がそうだったもの」「……前?」「私を浚ったのがあなたたちで二人目ってこと。一人目はあなたたちより下手で、浚おうとしたところを私に騒がれて警察に捕まったわ」「う、嘘だ」うん、嘘。完全に作り話だけど、この現状を考えれば前があってもかしくない。自信満々に言えば男たちに不安の種がまける。 「嘘じゃないわよ。実行犯は逮捕されて、私も事情聴取をされたもの。もちろん実行犯の男は白川茉莉に頼まれたって言ったわ。警察も半分信じた、でも疑惑の目は白川家が叩き潰したってわけ」「どうやって」……どうやって、か。「実行犯の男は薬物中毒とかで正常な判断がされないってことになったの。おかしいわよね。警察に捕まったときは正常だったのに、裁判所で会ったときの男は両側を看守に支えてもらわなければ立てないほど薬物に完全に犯されていたの。そして裁判期間中に死亡……死人に口なしって、よく言ったものよね」男たちの顔に恐怖が浮かぶ……よし。「犯人が死んじゃうと事件ってそこで終わるのよね。逆に言えば、誰かを逮捕させて、その人が死んじゃえば、白川茉莉は何ごともなく事件を終わりにできるの」笑え。「今頃、地下駐車場には警察が来ているかもね。これは私じゃなくて別の女性のときの話だけど、そのときの犯人は白川茉莉の関係者に、暴行した映像を一度持って来いと言われたんだって。とりあえずの映像を渡せばあとは好きにしろって言われて、朝まで楽しめるって浮かれていたんだけど、匿名の通報で駆けつけた警察に捕まりそうになったの」「捕まりそうにって、捕まらなかったってことか?」「捕まったと言えば、捕まったかしら。逃げているところを誰かに押されて、車道に飛び出してしまったところをトラックに引かれて植物状態になったから
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-23
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「ここ、ホテルの何階なの?」「ど、どうしてそんなことを知りたい?」今度は何だと言わんばかりに男の一人が予想通りのことを口にするから。「窓から飛び降りたときに即死できればいいなと思って」あっけらかんと言ってみせれば、案の定、男たちは明らかに怯んだ。もともと『死』という言葉には人を怯ませるものがある。そしてこの二人、粗野な振る舞いで大きく見せてはいるが、逮捕されるということに動揺する小者だ。 「じゅ、十五階から飛び降りたら死ぬぞ?」「死ぬつもりがなきゃ聞かないわよ。言ったでしょう、即死できるかどうかを知りたいの。同じ死ぬなら、痛みを感じないで即死するほうがいいに決まっているわ」当然という顔をしていってやれば、男たちは信じられないという顔で見る。お前たちのほうが信じられない。性的暴行を受けても強く生きている女性は多くいるけれど、そのショックに耐えられず命を絶つ人だっているのだ。性的暴行は、それだけの罪だ。想像することさえも怖い暴力なのだ。それを同じ女として性的暴行を唆すなど……この恐怖を、同じ女としてどうして分からないのだろうか……いや、あの女の中では彼女と私たちは「違う」のだろう。選民意識とでも言えばいいのか。自分は絶対に安全だと思っているから、そんなことを想像したことがない。想像できないから、こんなことを思いつく。 これはもう、悪ふざけの域ではない。怖がらせてやろうにしては、やり過ぎだ。……絶対に許さない。 「私が死んだらあなたたちは掴まって、拉致監禁、暴行、被害者死亡で牢獄生活は長そうね」お前たちのやったことは犯罪だ。「捕まるもんか!」「え、どうしてそう思うの?」どういう思考回路?「ホテルの窓は飛び降りられないようにそんなに開かねえよ」転落事故防止のためだ、馬鹿。「それなら、あなたたちの手で殺されるの? ナイフとかは持ってる?」「も、持っているわけねえだろ。死にてえのか、この女」「だって捕まらないって言うから、てっきり」こてんっとわざとらしく首を傾げてみせる。 「警察になんていけねえからだよ」「行くわよ?」当然という顔で言ってみせれば、男たちはとても驚いた……最低すぎる。「なんで驚いているの? こういうときこそ警察の出番でしょう?」「お前……レイプされたっていうつもりかよ」「言うわよ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-24
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男たちは揃って馬鹿みたいな顔をして、徐々に状況が飲み込めたのかニヤッと笑う。「まさか、ヤラせてくれるのか?」「いいわよ。必要なら無理やりされているような演技もしてあげる」突然協力的になった私を疑わしげに見る。当然だ。 「なにを企んでいる?」「何してもいい。受け入れる。でも、体に傷や痕をつけないでほしいの」これ、と分かるように縛られた後ろ手を奴らに見せる。 「言ったでしょう、李凱っていい男を捕まえたところだって」「はあ?」「彼は裏ビデオなんかに興味はない。まあ、映像を知られても似ているとか合成だとか言って誤魔化せるわ。でも、私の体に他の男の痕跡があったらさすがに気づいて……絶対に許さないわ」眉間に皺を寄せる。「彼が私を『妹』というくらい大事にしていることも知ってるでしょう? 李凱が台湾の、そういう友人に頼んであんたたちを……まあ、いろいろするのは全然構わないのよ。正直言って、この状況だと『やっちゃえ』って言いたい心境だし」凱をそっち系の人にしてしまったけれど、いいわよね。 「問題はそのあと。凱って潔癖なところがあるから、他の男に抱かれたことを絶対に嫌がると思うの。被害者だと言っても、李凱は選び放題だから我慢する必要なんかないじゃない。私は彼に捨てられちゃうわ。だから……どう?」男たちが実行に移すとなったら……無事ではすまない。逃げられればいいけれど、後ろ手で縛られた状態で部屋を出ることはできない。 「さんざん言って俺らを脅しておきながら、今さら?」「世間話だし、あんたたちが白川茉莉の子分だと思うとね……嫌味を言いたくなる私の気持ちを分かってよ」「俺たちは子分じゃ……」「はいはい、それは別にどうだっていいから」軽くあしらって、私の侮辱に男たちの顔が屈辱で赤くなる……馬鹿みたい、変なプライド。 「あのねえ、私だって白川茉莉が嫌いなのよ。分かるでしょう、恋人を寝取られたのは私のほうなんだからね……」哀し気な溜め息を吐いてみせる。「白川茉莉って本当に女王様よね、自分の男の過去さえも許せないんだもの。こっちからしてみればいい迷惑。それに……」凱たちに付き合わされて007の映画、ボンドガールの振る舞いを思い出してみる。「男だけが興奮していても気持ちよくないのにね。白川茉莉って本当にあっち方面でも女王様、きっとご奉仕させ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-24
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手が自由になったことにホッとしたとき、お尻を無遠慮に強く揉まれて悲鳴が出た。「かーわいい声をあげるねえ」「この声で善がると思うと堪んねえなあ」……落ち着け。バクバクしている心臓を落ち着かせるためにも、縛られて赤くなっていた手首を労わるようにゆっくり撫でる。さあ、次だ。 「それじゃあ、やろうぜ」ベッドに上がってきそうな男にゾッとして怯みそうになったけれど、ぐっと力を入れて顎を引く。「待って頂戴」平然と、毅然とした態度を維持する。男たちは不満を露わにしているけれど……やはり従う。……白川茉莉かあの運転手の男が見つけてきただけはある。本人たちは強い者のように振る舞っているけれど、力のある者にしっぽを振る小者だ。強気で振る舞えば、それなりに従うようだ。 「シャワーを浴びさせてよ」「おい、いい加減に……「少しは準備をさせなさいよね」」わざと高飛車に振舞って、目的はそんなことだと男たちに思わせる。ただの我侭だと思わせて、そんなことならと思わせなければいけない。 「そのくらい待てないの?」「……いいぞ」やった。「おい……」「……別にいいだろう、時間はまだたっぷりあるんだし」「そうだな。あいつも、せいぜい首を長くして待っていればいいさ」やはり運転手の男に思うところがあったみたい。「ただ、脱いだ服は全部バスルームから出せ」……え?「万が一ってことがあるからな。逃げられたら堪らないからな……」男の視線が体を這う。震えそうになるのを必死に抑える。「素っ裸じゃあ逃げられねえだろ」……それがバスルームにいく唯一の条件なら受け入れるしかない。 「いいわ。あ、そこのバッグをとって」「なんのために」「メイク道具をとりたいの。化粧直ししてくる。ノーメイクじゃ出てきたくない」「それだけ出したら鞄は置いていけ……全く、見た目に寄らずプライドの高い女だな」「そういう女を屈服させるのが堪らねえんだけど」下卑た笑いを浮かべながら、男たちが私にバッグを渡す。 「変な真似はするなよ」「するわけないでしょ」するに決まっている。メイク道具を探す振りをしてスマートリングのスイッチを押す。二重底の布地が薄っすら光ったのが見えた。涙が出そうになった。 「さっさと浴びてこい」「分かったわよ」そう言ってバスル
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-25
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「早くシャワーを浴びてこいよ」「待ってるぜ」男たちの声を聞きながら扉を閉めて鍵をかける。簡易的な鍵、椅子とかを叩きつけられたら秒ももたないだろう。 コンコン「キャッ」突然扉が叩かれて思わず悲鳴が出た。男たちが笑う。……大丈夫、脅かしてきただけ。落ち着け……落ち着け……。 シャワーのお湯を目いっぱい出して、男たちが早く向こうに行くように願った。 男たちの声が遠のいたので、ストッキングをドアノブに何回か巻いてからしっかり結び、伸ばして反対側の端の肌着をトイレにぐるぐる巻きつけて固定する。あとはここに籠城するしかできない。バスルームの床にしゃがみ、膝を抱える。どれだけ男たちが不信に思わないでくれるか。それとも我慢が効かなくなるのが先か。 ……分かっている。これは悪足掻き……ドアを開けようとして開かなければ、あいつらは騙されていたことに気づく。そうなれば、あとは……籠城が失敗すれば、あいつらにひどい目にあわされる。頭に浮かぶのはあのナイフ。下手したら、殺される。でも、抗わないわけにはいかない。私は――。  ジリリリリリリッ! !この音……火災報知機? 《緊急放送です。ただいま館内で火災が確認されました》……嘘。火事が起きた! 《お客様は荷物を持たず、直ちに最寄りの非常口へ避難してください。煙が発生している区域があります。姿勢を低くして移動してください。繰り返します──館内で火災が発生しています。安全のため、速やかな避難をお願いします》機械の合成音声に涙が出そうになる。 「お、おい」「マジかよ」火災発生を知らせる放送に男たちが慌て始めた。 《ご不安かと存じますが、どうか落ち着いて行動してください。事情により自力での避難が難しいお客様は、その場でお待ちください。スタッフが順次お部屋を確認し、避難のお手伝いをいたします。安全が確認されるまで、そのままお待ちください》 この案内に男たちの焦る音が大きくなった。「この部屋を見られたらまずい!」それはそうだろう。男二人に女一人でも不自然なのに、ベッドの周りには立派なカメラが三台。なんのための機材ですと声高に叫んでいるようなもの。ガタンガタンと外で音がする。こうなるとあんなカメラを三つも用意してくれたことに感謝したくなる。 「おい、
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