All Chapters of 知らないまま、愛してた: Chapter 81 - Chapter 90

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桐谷家の一族以外で私の記憶喪失を知るのは、お祖父様とお祖母様だけ。私が入院していたとき、お祖父様とお祖母様が私のお見舞いに来てくれた。当然お祖父様たちは私が記憶を失くしているなんて思わず、戸惑う私にお祖父様たちも戸惑って、主治医である武美さんがお祖父様たちに症状として説明してくれなかったらお互いパニックになっていたと思う。 お祖父様たちは私の負担にならないように、桐谷家に迷惑がかからないように、私が記憶を失っていることは言わずに見舞いに来る予定だった叔父様たちを上手く止めてくれた。叔父様たちとは社交中に会うこともあるけれど、時節の挨拶と軽い世間話をしたあとは「また」と言って別れている。悪い人たちでは決してないけれど、花嶺家に嫁いだ姉の娘である『私』とは距離があったみたい。お祖父様たちによれば子どもの頃はお母様と一緒によく西園寺家に行っていたようだけど、お母様が亡くなると徐々にその機会が減り、高校三年生の頃には滅多に会うこともなくなったらしい。それが成長ということらしい。誠司もいずれそうなるのだろうかと思ったら、気が早いけれど寂しくなった。 「そう言えば、最近明子に会ったかい?」「明子叔母様ですか? いいえ、お会いしていません」お祖父様がホッとした。「いやね、実は、出がけに明子と会ってね。どこに行くのかと言われたから桔梗に会いに行くと言ったんだよ。そうしたら自分も行きたいと言い出して……」「あの子がそんなこと言うなんておかしいと思って、理由を聞いたらあなたに話したいことがあるからって言うの。それなら私から伝えると言ったんだけど、自分で言うの一点張りで」……?「お祖母様、なぜ明子叔母様が私に会いたいというのは変なのですか?」確かに私に会う理由はないかもしれないけれど、桐谷蓮司の妻に会いたいならおかしくはない。明子叔母様はヨーロッパのアンティーク雑貨やインテリア小物を輸入して販売する店を都内で
last updateLast Updated : 2026-01-20
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突拍子もない行動だと思ったけれど、そうではないのだとお祖父様が説明してくれた。 明子叔母様の夫だった橋本哲也は、パリ生まれのパリ育ち。親の仕事の都合で日本の高校に通い、そこでお母様に出会って、恋に堕ちたという。でも、お母様には婚約者の花嶺辰治がいた。私はいまの花嶺辰治しか知らないからピンとこないけれど、花嶺辰治は将来を嘱望された若者だったらしい。彼の妻ならばお母様は幸せになれるだろうと、かなり一方的だったらしいが、橋本哲也は身を引いた。それでも、未練はあったのだろう。パリの大学で美術史を学ぶ予定だったが、橋本哲也は日本の大学に進学。そして、大学の交流会で、橋本哲也は明子叔母様と出会った。明子叔母様は、欧州仕込の洗練された振る舞いをする橋本哲也との出会いに運命的なものを感じた。一方で、お母様に似ている明子叔母様との出会いは、橋本哲也にとっても運命的であったようだ。西園寺家と橋本家は、もともと貿易商の繋がりで面識があった。海外の美術品のバイヤーとして嘱望されていた橋本哲也、お祖父様たちは橋本哲也と明子叔母様の結婚を反対しなかった。結婚後も、橋本哲也は日本で仕事をしていた。生まれ故郷であるパリの知人からは「こっちで仕事しないか」と声をかけられていたが、橋本哲也は「もう少し」と渡仏を先延ばしにしていた。一方で、ヨーロッパのアンティーク雑貨や家具に深い興味を持っていた明子叔母様は、夫である橋本哲也と渡仏する日を今か今かと心待ちにしていた。そして、橋本哲也がお母様に思いのたけを告げる事件が発生。明子叔母様は怒り、橋本哲也も酔いがさめればばつの悪さしかなかったのか、二人は間もなく渡仏した。 適切な言葉がでないこともあったけれど、お祖父様たちの話を私は黙って聞いていた。そのほうが、良いと思った。お祖父様たちの声には後悔があり、話すと少し気が楽になるようだった。 お祖父様の後悔の理由は、渡仏して間もなく、橋本哲也の事業が傾きはじめたからだ。美術品には流行があり、評価額の上昇・下落はあっという間。橋本哲也はいわば投資に失敗し続け、借金を背負うにまでなった。お祖父様は、お母様や明子叔母様が悪いとは思っていなかったが、渡仏のタイミングを間違えたのは明子叔母様の気がしていた。責任を感じ、二人がある程度余裕をもって生活できるくらいの資金を
last updateLast Updated : 2026-01-21
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「桔梗さん、桔梗さん」お祖母様たちと会って家に帰ると、朋美さんが待ち構えていた。後ろには朋美さんと同じ年代の、女の子が二名。はじめましての方々だ。「桔梗さん! ぜひ中の人になってください」……”なかのひと”とは? 朋美さんの説明によると、朋美さんが連れてきた二人は同じ大学の後輩。動画クリエイター志望で編集・撮影、あとはSNS運用などのスキルを磨きたいが、撮影したい素材が決まらず困っていた。「私たちのSNSを見て桔梗さんを紹介してほしいって言われちゃって」はて、SNSとは?これです、と紹介されたSNSを見て【私の自慢の義姉。彼女と結婚してくれた兄に感謝】という賛辞に驚いたのだけど、それよりもっと驚いたのは……。「朋美さん、この【#桔梗さんの手作り】って何?」「桔梗さん、お兄と武司兄さんに手作り弁当を作っているでしょう?」「ええ。週一回だけど」「それを二人が食べている写真が桐谷グループの広報誌に乗ってね、めちゃくちゃ美味しそうって社内でバズったの。それでお兄が嫁自慢するため、そのお弁当を毎週SNSにのせはじめたの」「初耳なのだけど?」「うちの両親の対抗心がさく裂して、二人も自分のSNSで嫁自慢を始めたの。そうなったらみんな『私も』って気になっちゃってね、折角だからタグを統一しようってことになったの」「どうして?」「今度桔梗さんに作ってもらいたい料理があったときリクエストしやすいから」そうしていつの間にか、検索用に便利だからという理由で【#桔梗さんの手作り】というタグまで作られていたらしい。確かに、皆さん、最近「あれ、あれ」って言わなくなったなと思っていた。リクエスト受けやすいなと思ったけれど、こんな裏の話が。私、知らなかったのだけど? 「裏でこそこそ結託してるって思われたくなかったし、何よりも
last updateLast Updated : 2026-01-21
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【動画はわちゃわちゃなのに、料理が完璧で笑えた】【レシピ試した。20分で完成したのに、旦那に今日は手が込んでるって言われた】【すごく美味しそう。毎日これを食べられる家族が羨ましい】 「そうだ、羨ましがれ!」そう言って、朋美さんがお弁当用のだし巻き卵をつまみ食いした。スマホを見ながら、つまみ食い。ダブルでお行儀が悪い。仕方がない、武司さんのお弁当の分のだし巻き卵を減らそう。ごめんなさい、武司さん。蓮司さんもだし巻き卵が大好きなんです。恨みは朋美さんへお願いします。 「今度は何を作るの?」「甘い物がいいと水野さんに言われているので、材料費を考えるとプリンか、シュークリームか、ガトーショコラか……そんなところにしようかと」「撮影はポンコツなのに、作れる料理はポンポン出てくる桔梗さん」ポンコツ……肯定したくないけれど、否定もしにくい。「……最近は撮影に慣れてきたわ。ちょっとずつ用語も分かってきたし」「えー、本当かなあ」ちょっと見栄を張ってみたら、見事にバレてしまった。だって、ホワイトバランスって何?AIにこっそり聞いたら、「白を白に見せる」と当たり前のことを言われた。結局どういうことか分からないけれど、撮られる側だから気にしないことにした。でも、何となく白いエプロンは避けている。 「いまつけているエプロンも手作りでしょう? 動画見たよ、最近は料理だけじゃないよね」「もともとの肩書きが家政婦なので、家事全般にしようかと相沢さんたちと話したの」「いいと思うよ。動画見たけど、口はボケかましているのにミシンを操る手と足はプロ級の動きをしていたよね」「ボケをかました覚えはないから、水野さんの編集が上手なのね」「…&hellip
last updateLast Updated : 2026-01-22
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結婚した当初、蓮司さんが武美さんとばかり外出していたことにヤキモチを焼いたことは、今では恥ずかしい話。あのあと、武美さんから実は彼女が結婚しているということを聞いた。正確には事実上の結婚みたいなものだから日本では独身になるらしいけれど、精神的には既婚者なので蓮司さんとは何もないと武美さんは熱弁してくれた。もし私が嫌なら、蓮司さんとは縁を切るから私とは仲良くしてほしいと言われたときは笑ってしまった。 武美さんと武美さんのパートナーの方はスウェーデンでいま暮らしている。以前お聞きした住所が「Vinterdal slott」で、冬の谷の城という意味だったから、城にお住まいなんだろうなくらいの感覚でいる。パートナーについて想像していることはあるけれど、武美さんも英家の皆さんも言わないから聞いていない。こういうのは他人が根掘り葉掘り聞くものではないし、一種の信用とそれを上回る本人の勇気が必要だろうから私からは聞くことはないだろう。それで武美さんの人格がどうこうなるわけではないし。そもそも、武美さんの人格は文句のつけようがないくらい私としては素晴らしいと思う。医師の免許をお持ちの武美さんは難民キャンプで医療活動を長く行っており、そこで同じ医師のパートナーの方と出会ったらしい。パートナーの方の出身地であるスウェーデンは難民救済に積極的な国。お二人はいまその城で沢山の難民孤児を育てているらしい。国からの支援もあるようだけど、それでも子どもを育てるには必要なものは沢山あり、武美さんはそのおねだりのために日本に来る。今回も沢山タブレットを買わされたと蓮司さんはブツブツ言っていたが、そのあと「また頑張って働くか」と言っていた。こういうところが、改めて好きだと思う。私もできることをと思って、蓮司さんや他の親戚の方が口利きしてくれた店にいって廃棄処分する予定の布を安く譲ってもらい、模様は適当でパッチワークにして布団カバーを作ってみた。武美さんからのお礼も嬉しかったけれど、満面の笑みで布団カバーを見せる男
last updateLast Updated : 2026-01-23
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「桔梗の動画チャンネルがすごいことになっている」「登録者数の伸びもあれだけど、これ時価にしたらいくらになるのかな」パソコン画面の向こう、自分のタブレットの画面を見る武司の顔が青い。きっと、俺の顔も青い。「いずれ人間国宝といわれている石川明梗初のデジタルアートが、個人の動画サイトのプロフィール画像って、おいおいおい、蓮司、知らなかったのか?」「知らなかった」いや、正確には分からなかった。「桔梗からは石川先生が丸を描いてくれたとは聞いていたが、まさかアイコン画像とは思わなかった」「丸……確かに、丸だな。これは丸だ。蓮司、それを聞いてなんだと思ったんだ?」「よくできました的な、花丸みたいなものかと」「……お前も大概だな」 石川明梗が出演した回の動画を再生する。『桔梗さんの活動を見て、私も美術界の若者を後押しすることにしたんだよ。今までは奨学制度の設立とかに協力していたけれど、絵画教室や美術学校に絵の具を寄付することにしたんだ。全部のってわけにはいかないからくじ引き的な感覚で、当たったらラッキーくらいに感じてくれるといいな』『それは面白そうですね』『そうだろう? 画材も高いからね。鉛筆も短くなったら紙を巻いて最後まで使っていたよ』手持無沙汰の落書き感覚で、石川明梗はそこにあった藁半紙みたいな紙にササッと桔梗の絵を描いた。『やっぱりお上手ですね。同じ時間で私に絵を描けと言われたら、”へのへのもへじ”が精々です』『向き不向きだよ。これと同じ時間でサンドイッチを作れと言われたら、私の場合はようやくパンを切り終わるところだろうさ』 「あの絵、原価は百円にもならないけど”石川明梗が描いたクロッキー”ってだけで高額の値がつくんだよな?」「ついているな。いま八十万円だ」石川明梗が桔梗を描いたクロッキーを、動画配信開始と同時にオークションに出す。それは桔梗から聞いていた。「八十万って、嘘だろ……っ
last updateLast Updated : 2026-01-23
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会議室に入ると、桔梗たちがいた。「蓮司さん」ほんの数時間前に自宅玄関で別れたばかり。しかし、会社という普段会わないところで桔梗に会っているからか、妙に新鮮さを感じた。 「よく来たな。ここまで何も問題はなかったか?」「いつも蓮司さんが出勤している道ではないですか。長谷川さんも一緒ですし、大丈夫ですよ」「それなら良かった。君たちも、よく来てくれたな」相沢陽菜乃と水野百花。初回の桔梗の撮影以来……ではない。 桔梗には内緒だが、俺は二人に桔梗に秘密で会っている。あの石川明梗が描いた桔梗の絵を届けてもらうためだ。俺が呼び出した形になったが、俺としては桔梗の絵を安全に届けて欲しかっただけであって……。―― すみません、すみません、出来心でついっ!―― 石川先生が、捨てるのもなんだからチャリティ的な意味合いでオークションに出してみたら? と仰ったので……。―― 「一万円くらいになるといいね」と石川先生は軽く仰っていたのに、まさか百二十万円になるなんて。まあ……彼女たちからしてみたら、出すほうも出すほう、買うほうも買うほうと言いたかったのだろう。でも、美術品の価値なんてそんなものだ。いいと思ったやつが、金を出せばいい。俺は、桔梗の絵を俺の仕事場の壁に飾れて、いま、至極満足している。 「急に予定を空けてもらってごめんなさい。でも、蓮司さんしか頼れる人がいなくて」桔梗のこの言葉。俺しか、ってところに満足感がさらにこみ上げる。我ながら単純だと思うが、この単純さも楽しめているからいいのだろう。「全く構わない。企業からの協賛の相談、だったな」桔梗の動画は注目され、あちこちのメーカーから協賛の連絡が来ているらしい。桔梗としては、チャンネルの主導権を握られたくないが、折角の話は活用しておきたい。ちゃっかりしている。本当に愛らしい。桔梗が言うには、商品を使ってほしいと依頼があるのは構わないが、それを使うかどうかの決定権は自分が持ちたい。企業単位での契約は止めて、その都度、商品ごとの契約のほうがいいだろう。桔梗が俺の妻だと分かっている以上、相手も下手な契約書は持ってこないだろうが安全はみるべきだ。 「契約についてのアドバイスの前に、相沢君と水野君で会社を立ち上げてはどうだろう?」「あの、でも、私たちまだ大学生で……」「大学生で
last updateLast Updated : 2026-01-24
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「折々舎、いい名前じゃないか」四季折々、日常の一瞬を切り取る時間を提供する。そういう意味でつけられた社名。先ほどまで挨拶に来ていた相沢と水野の名刺をつまみ上げて楽しそうに見る武司。「そうだな」俺も同意するが、若者の成長を喜ぶ気持ちが少しばかり……。「俺たちもオッサンになったなあ」「そうだな」自分はまだ若いつもりでいたが、実際は“つもり”なのかなと思う今日この頃。 「お前なんて、二歳の子どもがいる父親だしな」「“なんて”とは、なんだ」先日、誠司が二歳になった。話も大分上手になり、誠司を膝にのせてその日の出来事を聞くのが俺の日課になっている。傍らに桔梗がいれば最高の癒しだ。「独身の年を重ねるスピードが半分というわけではないだろうが」「まあ、そうだけど……気分?」気分と言えば、と武司が相沢の名刺の社名の部分を指さす。「この字って」「ああ、そうだ。人間国宝の玄峯先生が書いた」やっぱり、と武司はいったが石川明梗ほどは驚いていない。石川明梗は初のデジタルアートだったのに対し、玄峯先生は「人間国宝」という肩書きがある割に気さくに知人の店の看板や本の書影などに字を提供している。今回も半紙にささっと玄峯先生が書いたものらしいが……。「御本人は『よければもらって』くらいの感覚だったらしいが、これをデータ化した水野はスキャナーから半紙が四隅無事で破れず出てくるまで生きた心地がしなかったそうだ」「気の毒に」「フォトショップを使ってコントラストを調整したらしいが、途中から『ホワイトバランスってなんだっけ』と桔梗化してしまったらしいからな」最近、俺の身近な者たちはデジタル機器の操作で戸惑うことを「桔梗化する」と言っている。
last updateLast Updated : 2026-01-24
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「そろそろ二人目かしら」……二人目。最近、「二人目」という言葉だけやけに大きく聞こえてくる気がする。言っている人は悪くない。夫婦仲を疑う、探りではない。下卑た揶揄いでもない。好意的な、夫婦仲がいいからって、ただの感想みたいに言っているだけ。夫婦仲が認められることは、単純に嬉しい。素敵な旦那様ですねと言われても、蓮司さんは胸を張ってYESと言える人だ。そして蓮司さんも、素敵な奥様ですねという言葉に、迷いなくYESと言ってくれる。蓮司さんは夫で、愛おしい人。その人の子どもを、もっと欲しいと思うのは、いけないこととは思わない。経済的にも、二人目を考える余裕はあると思う。でも、なんでか、蓮司さんは「二人目」を望んでいない気がする。言葉にして言われたわけでもない。私も「二人目を」と言ったことがないから、お相子かもしれない。でも、なんでだろう。「二人目」のことになると、蓮司さんになんとなく壁を感じる。拒否、されている感じがする。だから、この感情を「お相子」で消化できていない。不満?いや、違う。言葉にするなら、不安。 夜の営みがないわけではない。頻度は減ってはいるかもしれないけれどレスではないし、寂しいと感じることもない。私から誘い掛けてばかりというわけでもない。蓮司さんから触れてきて、始まることもある。ただ、私から誘うことが増えたことは、確か。でも、蓮司さんが”仕方がないから”って感じで応じているわけでもない……と思う。いや、そうなのだろうか。この辺りは、正直分からない。 ああ、そう、分からないんだ。蓮司さんが見ているものが分からない。私と蓮司さんは違う個を持つ人間。だから、同じものを常に見るこ
last updateLast Updated : 2026-01-25
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