「…どうしたの?」あまり見ない悠里くんの表情に心配になり、悠里くんの瞳を覗く。すると、悠里くんは暗い表情のまま、力なく笑った。「…自信がないんだ。俺が柚子の彼氏なのに、周りにはそう思われていなかったりするし、華守との方が仲良く見えるし…」伏せられた瞳は不安と寂しさで揺れている。そんなふうに思わなくてもいい、と今すぐ推しを安心させてあげたい。「私の彼氏は悠里くんだよ。確かに千晴と仲はいいけど、悠里くんのとは違うでしょ?千晴はただの後輩だから」そう言って、真剣に悠里くんを見つめる。だが、悠里くんの表情は未だに暗かった。推しが私のせいで悲しんでいることが辛い。「…違う、か。本当にそうかな。キスした仲なのに」「…っ」暗い声音が静かに訴えた内容に、肩を震わせる。あの時、触れた千晴の柔らかい唇を思い出してしまい、私の頬は熱を持った。千晴はただの後輩だ、と言ったそばから、こんなふうになるのは違う、と何とか千晴を自分の意識から追い出したいのだが、上手くいかない。あの焦がれるような甘い瞳を忘れられない。千晴のことを考え始め、おろおろし出した私を、悠里くんは苦しそうに見つめた。「…わかってる。あれは演技だって。嫉妬するものじゃないって。わかってるけど…」眉にシワを寄せ、悠里くんが辛そうに思いを吐く。それから一旦言葉を止め、ゆっくりと続けた。「俺ともまだなのに…」推しが辛そうに私を見ている。綺麗な瞳はどこか仄暗く、とてもじゃないが、大丈夫そうには見えない。その葛藤に私の胸はぎゅーんと締め付けられた。推しが苦しんでいる。それなのにキュンキュンしてしまう自分が、どれほど不謹慎であるかは、十分わかっている。けれど、あの悠里くんが、こんなにも甘く嫉妬してくれているのだ。例え演技だとしても、彼氏として真面目に私と向き合ってくれた結果だとしても、嬉しくて嬉しくて仕方ない。偽りの嫉妬でも私はいい。その嫉妬でぜひ、私を縛って欲しい。「…俺も柚子とキスしたい。ダメ?」上目遣いで、おそるおそるこちらを伺う悠里くんに、ついに私はやられてしまった。罪深すぎるその表情に、ゴクッと喉が鳴る。か、かっこよくて、かわいいなんて、反則だ。私の推し、悠里くんは、世界を救うのではなく、世界を破滅させるのかもしれない。「…うん」バクバクとうるさい心臓を抑
Last Updated : 2026-01-30 Read more