Lahat ng Kabanata ng 推しに告白(嘘)されまして。: Kabanata 71 - Kabanata 80

96 Kabanata

71.好きなところ。

それから私たち4人でのクリスマスパーティーは始まった。リビングの大きなテーブルには、悠里くんと私が作った料理が並べられており、それをみんなで食べながら、話に花を咲かす。時間を忘れて楽しいひと時を過ごしていると、机を挟んで向こう側に座る里緒ちゃんが、ふと、明るい顔で口を開いた。「ねぇ、柚子ちゃん。柚子ちゃんはお兄ちゃんのどんなところが好き?」「え?」里緒ちゃんの可愛らしい質問に私は目を丸くする。「んー。いっぱいあるなぁ…」そして箸を置き、視線を左上へと向けた。正直、好きなところをあげるとなると、一日中でもあげ続けられる。しかし、それは流石によくないだろう。重要な部分だけでも伝えなければ。そう思い、じっくり思案していると、隣にいた悠里くんは「無理に答えなくてもいいよ」と、気遣うようにこちらを見てきた。里緒ちゃんの隣にいる里奈さんは「いい質問だねぇ」と楽しそうだ。全員の視線を浴びながら、私はゆっくりと話始めた。「えっと…、まずは誰にでも優しいところが好きで、周りをよく見てて、気配りができるところも好き。あとはバスケをしているところもかっこいいし、笑顔も眩しいし、たまに見せてくれる男の子っぽいところも好きだし、見た目も非の打ち所がなくて…」「ま、待って!もういい!もういいから!」まだ重要な部分を全て伝えきれていないのだが、真っ赤な顔の悠里くんからストップが入り、もう喋れなくなる。強制終了だ。まだまだ言い足りず不満げに悠里くんを見ると、悠里くんは恥ずかしそうに、フイっと、私から視線を逸らした。…か、可愛い。耳まで真っ赤だ。ついつい可愛らしい悠里くんに頬が緩む。すると、今度は里奈さんが怪しく笑った。「柚子ちゃんだけ悠里の好きなところを言うのはフェアじゃないよね?悠里も言おうか」ふふふ、と笑う里奈さんに、少しだけ悠里くんが嫌そうな顔をする。だが、すぐに「…わかった」と小さく頷いた。おおおおおおお、推しが!?私の好きなところを言ってくれるぅ!!!!????今まさに大決定されたとんでもないことに嬉しさのあまり、叫び出したくなる。もちろん、表向きはあくまで冷静に、にこやかにしているが、内なるリトル柚子は喜びで大はしゃぎだ。今から悠里くんが言ってくれる私の好きなところを、一言一句聞き逃してはいけない。今日からそこが私のウィークポ
Magbasa pa

72.光の海で溺れた。

すっかり日も暮れ、沢村一家とのクリスマス会はお開きとなった。暗くなり始めた空には、ポツポツと輝く星が見え出している。もうすぐ夜だ。名残惜しくも悠里くんの家から帰ることになった私は、寒空の下、悠里くんと共に並んで駅まで向かっていた。私の横を歩いてくれている悠里くんを、チラリと盗み見る。吐く息は白く、鼻先が少し赤い。寒そうな悠里くんに私は申し訳なさと、それから嬉しさでいっぱいになった。推しをこんな寒い中、歩かせたくない。今すぐにでも暖かい場所に戻ってほしい。けれど、まだ一緒に居られることが嬉しい。幸せな気持ちを噛み締めながらも、肩にかけてあるトートバッグの紐をぎゅう、と握る。この中には悠里くんへのクリスマスプレゼントがある。別れ際に絶対に渡さなければ。「…ねぇ、柚子。ちょっと寄り道してもいい?」突然、伺うように悠里くんに瞳を覗かれて、一瞬、その尊さに息を呑む。何をさせても絵になる罪な男。それが私の推しである。「う、うん。もちろん」この胸の高鳴りを悠里くんには絶対に悟られまいと、私はいつも通りの平静を保って、笑顔で頷いた。*****悠里くんに連れられてやってきたのは、駅からほんの少し離れた、とある広場だった。ビル群の中にあるその開けた場所には、普段は住民たちの憩いの場として自然が広がり、ベンチや子どもたちが遊ぶ広いスペースがある。だが、今日はそこが少しだけ違った。生い茂る木々には、暖色のイルミネーションが施されており、その他にも様々なクリスマスに関するオブジェが並べられている。もちろんそのオブジェたちも木々のイルミネーションのように暖色の光を放っていた。もうクリスマスは終わってしまったが、ここはまだクリスマスのままだった。「…うわぁ」広がる光の海に、思わず感嘆の声を漏らす。するとそんな私を見て、悠里くんは柔らかく笑った。「ここ綺麗でしょ?柚子と一緒に来たかったんだ」私をじっと見つめて離さないその瞳には、どこか甘い熱がある気がして、心臓がゆっくりと加速し始める。すごくすごく反則な視線だ。心臓に高負荷がかかってしまう。このままではムキムキな心臓になってしまう。イルミネーションよりも眩しい推しに、つい瞳を細めていると、悠里くんはダウンのポケットから何か小さな箱を取り出した。「これ、クリスマスプレゼント」悠里くん
Magbasa pa

73.冬休みを終えて。

あっという間に年末年始が過ぎ、冬休みが終わった。寒空の下、新学期を迎えた校内の下駄箱前で、私は今日も朝から生徒たちの波に厳しい視線を向けていた。もちろんここに立っている理由は、朝の委員会活動でだ。生徒たち一人一人をじっくり見つめながら、私は充実していた冬休みに思いを馳せていた。ウィンターカップでの私の推し、悠里くんのかっこよさが忘れられない。コートを縦横無尽に走り回る勇姿にどれほど感動し、またその姿に少しでも彼女という名の壁として貢献できたことがどれほど誇らしかったことか。少し遅れた悠里くん一家とのクリスマスは最高に楽しかったし、クリスマスプレゼントまでもらえて、最後にはキ、キスまでしてしまった。なんと幸せな冬休みだったか。私は前世でどんな徳を積んでいたのか。悠里くんのことで頭がいっぱいだったが、ここでふと冬休みといえばと、千晴の顔も思い浮かんだ。この冬休みで何かと謎の多かった千晴を、私は少しだけでも知れた気がしていた。家庭環境や今までしてきた苦労、きっと私が知らない千晴の一面はまだまだたくさんあるのだろうが、それでも少しでも知れたことに意味がある。どこか寂しげで独りぼっちな千晴を、私はもう1人にはしたくない、と思った。それに千晴とのクリスマスも案外楽しかった。2人でゆっくりと過ごした時間は暖かく穏やかで、とても優しい時間だった。千晴のことを考えると、胸がぎゅう、と締め付けられる。温かくて、でもどこか苦しくて切ない。原因はわからない。最近よくある正体不明の不調だ。…いけない、いけない。今はこんな考えてもわからないことに、時間を割いている場合ではない。私は軽く首を横に振って、私の思考からさっさと千晴を追い出した。今は生徒たちの服装チェックの時間だ。冬休み明けは夏休み明け同様、生徒たちの気が緩む。少し気を抜くと、すぐに校則違反生徒を見逃してしまう。気持ちを切り替えて、再び生徒の波に厳しい視線を向けていると、その波の奥から朝日を浴びてキラキラと無駄に輝く金髪が現れた。あの堂々としたダイナミック校則違反は間違いなく、紛うことなく、100%、千晴だ。「華守千晴!」人混みの中から厳しい声で千晴を呼ぶ。すると、千晴は嬉しそうにこちらに歩み寄ってきた。「おはよぉ、先輩」「おはよぉ、じゃない!今日も今日とて違反が多すぎる!」
Magbasa pa

74.クリスマスの思い出。

「悠里くん、おはよう」悠里くんの姿に、嬉しくて嬉しくて、つい緩くなってしまった口元に力を込め、私はいつも通り悠里くんに挨拶を返した。しかし悠里くんは突然、どこか暗い表情を浮かべた。一体、この一瞬で何が悠里くんの表情を曇らせてしまったのだろう。このままではいけない、と何が原因なのか突き止めようとした、その時。私は悠里くんの暗い視線の先に気がついた。悠里くんの視線の先には、我が物顔で私のマフラー(過去)を巻いている千晴の姿があったのだ。まさかあれが原因なのか?私が千晴にマフラーを貸していると思って、嫌な気持ちになってる?せっかく築き上げてきた、私と悠里くんの関係が疑われる要素になるから、とか?「ゆ、悠里くん。千晴のあれはね、もう私のマフラーじゃないんだよ?貸してるわけじゃないの」「…え?」おずおずと千晴のマフラーについて切り出した私に、悠里くんが不思議そうに首を傾げる。よく状況を飲み込めていない表情だ。「これいいでしょ?先輩が使ってたやつ、クリスマスプレゼントでもらったんだよね」そんな悠里くんに私が詳しく説明するよりも早く、千晴は何故か勝ち誇ったように笑った。千晴の笑みの理由はよくわからないが、千晴の説明に便乗して、私は「そう!」と明るく頷く。「ふーん。そっか…」すると、悠里くんはどこか面白くなさそうに、小さくそう呟いた。あ、あれ?何で?「先輩、クリスマスは楽しかったねぇ。これ、貰えて、めっちゃ嬉しかったし。俺があげたクリスマスプレゼント、先輩、ちゃんと付けてる?」様子のおかしい悠里くんなど気にも留めず、千晴が楽しそうに笑う。そんな千晴を無視するわけにもいかないので、私は一旦、悠里くんのことは置いといて、千晴に応えることにした。「付けてません。校則違反になるからね」「そっかぁ。じゃあ、一回くらいは付けてくれた?」「まぁ、うん。あれ可愛いし、付けれる時には付けてるよ。ありがとね、千晴」「ふふ、どういたしまして」淡々と答える私に、千晴は柔らかくその綺麗な瞳を細める。その微笑みがどこか眩しく感じて、私は首を傾げた。ーーーその時。「柚子」悠里くんに優しく名前を呼ばれて、私の思考は一瞬で、千晴から悠里くんへと引き寄せられた。「俺たちも年末、少し遅れたけどクリスマスしたよね。これ、めっちゃ着心地いいよ。俺のこと考えて
Magbasa pa

75.知らないふり。

放課後、いつものように風紀委員室へと向かっていると、バスケ部の顧問、冨岡先生に声をかけられた。『鉄崎!ちょうどよかった!俺、これから会議だから、これ、バスケ部の部室まで届けてくれないか?』そう言われて渡されたのが、この大きな茶封筒だ。どうやら練習スケジュール等が入っているらしい大事な封筒を抱えて、私は今、バスケ部の部室へと向かっていた。その道中、ちらりと封筒の中身を見てみたが、さすが強豪校なスケジュール内容で、私は驚嘆した。スケジュールによれば、悠里くんの休みはほぼないに等しかった。一度、校舎外に出て、部室棟へと歩みを進める。階段を上がり、左から三つ目の部屋こそが、バスケ部の部室だ。辿り着いた扉の前で、私は扉をノックしようとした。「いやぁ、鉄子さまさまだな!」だが、部室内から聞こえてきた明るい声に、つい反射でその手を止めた。…一体、何の話をしているのだろうか。それも私について。特に気にせず入ってもいいのだが、何故か今はその気になれない。部室の扉の前で何となく止まっていると、部室内のバスケ部員たちは、私に聞かれているとも知らずに、私についての会話を続けた。「鉄子に玉砕大作戦がここまで成功するとはな!」明るい声は引き続き、楽しげに声を弾ませている。「今やお前ら2人は誰もが認めるカップルだもんな。ファンたちもお前たちを応援してるし、そのおかげで結果も出たし」「ウィンターカップベスト8達成はやっぱでかいよなぁ。去年は2回戦敗退だったし。先輩たちも最後は負けたけど、いい顔してたよな」「鉄子のおかげで悠里が練習に参加できていると言っても、過言ではなぁい!」それから他の部員たちも、その声に応える形で、様々なことを口にしていた。扉の前で、私は思った。これは聞いてはいけない会話だったのではないだろうか、と。今、ここでこの扉を私が開ければ、気まずさMAXだ。それどころか〝鉄子に玉砕大作戦〟が本人である私にバレた以上、作戦続行は不可能と判断され、作戦終了のお知らせがくる可能性だって十分にある。そんな惜しいことしてたまるか。まだ悠里くんの壁という名の彼女でいたい私は、その場で何とか息を殺して、ゆっくりと後ろへと下がった。ーーーその時。「あれ?鉄崎先輩?」「…っ」突然、誰かから声をかけられて、私は大きく肩を揺らした。喉まで上がっ
Magbasa pa

76.失えない。side悠里

side悠里「あの時は確かに玉砕覚悟で本気じゃなかったけど、今はちゃんと本気だから」賑やかな部室内に、俺の真剣な声が響いた。それによってあんなにも自由に喋っていた部員たちの声がピタリと止まる。しかしそれはほんの一瞬で、すぐにその場にいた部員たちはいつもの調子で声を上げた。「わかってるよ!」最初に明るくそう言って、ガバッと俺の肩を抱いたのは隆太だ。「俺たちはお前の味方だぁー!なぁ、みんな!」それから部員全員にそう同意を求めた。「「おおー!」」隆太の声に部員たちは、部活と同じ声量で応える。みんなの温かさに俺は胸が熱くなった。彼らは大切でかけがえのない存在だ。「お疲れ様でーす」その時だった。盛り上がっている部室内に、大きな茶封筒を抱えた後輩、慎がいつもの調子で現れた。「これ、そこで鉄崎先輩から預かりました。なんか監督からみたいで」慎がたまたま扉の近くにいた陽平に、抱えていた茶封筒を渡す。陽平はそれを目を丸くして受け取った。「そこ?」ぱちぱちと大きくまばたきをする陽平に、部員たちもざわつき始める。「慎のやつ、そこって言ったか?」「そこってどこだ?」「てか、鉄崎先輩、て言ったよな?鉄崎先輩って、て、鉄子であってるよな?」それぞれが顔を見合わせて、慎の言葉を確認し合う。その中で俺は頭を真っ白にしていた。先ほどと同じように賑やかなはずの部室内が、やけに静かに思える。誰の言葉も耳に入ってこない。「…慎。そこってどこ?」ざわつく部員たちの中で、陽平は冷や汗を浮かべながらも、冷静に慎にそう問いかけた。「え?部室の前ですけど…」「い、いつから!いつからいたかわかるか!?」部員たちの反応に戸惑う慎に、今度は隆太が俺から離れて食い気味に質問する。すると、慎は首を傾げてこう答えた。「いつからかはわかりませんけど、少なくとも今、そこにいましたよ」「「な、何ぃ!?」」慎の言葉に部室内にいた全員が大きな声をあげる。「つまり、〝鉄子に玉砕大作戦!〟が聞かれていた可能性があるぞ!」「さすがにやばいって!」「ど、どうする!?」それからそれぞれが顔面蒼白で、悲鳴にも聞き取れる声を出した。俺はその中でやっと聞き取れた声に、顔を青くしていた。…柚子に聞かれた。作戦のことも、告白が嘘だったことも。ーーー柚子にフラれる。まだ
Magbasa pa

77.好き。side悠里

柚子の手を引きやって来たのは、人気のない空き教室だった。ここなら誰もいないので、落ち着いて話ができるだろう。窓の外から、柔らかな夕日が教室内に射し込む。その光を浴びてオレンジに染まる柚子は、なんて綺麗なのだろうか。戸惑いの表情を浮かべる柚子に、俺はそんなことを思った。「慎に監督からの封筒、渡したんだよね?バスケ部の部室の前で」「うん」ゆっくりと問いかけた俺に、柚子が不思議そうに頷く。その答えに俺の心臓は静かに加速し始めた。柚子はやはりあの話を聞いていたのではないだろうか。冷や汗が背中を伝い、気持ち悪い。緊張で喉がカラカラに乾いて、息が詰まる。しかし、このまま黙っているわけにもいかないので、俺はごくんと唾を飲んで、意を決したように口を開いた。「……俺たちの話、聞こえてた?」「え?」俺の問いかけに、柚子が目を丸くする。それからキョトンとした顔でこちらを見た。「話ってなんの?」まるで何も知らない様子の柚子だが、俺にはそれが嘘であるとわかる。あまりにも完璧で隙のない、一見、嘘をついているようには見えない柚子。しかし、よく見れば、作られた完璧な表現の中で、柚子は目を泳がせていた。柚子は根本では嘘がつけないのだ。そこが愛らしくて、堪らない。…好き。また柚子への好きが胸へと蓄積される。こんなにも愛おしい存在、例え、俺に向ける感情が俺と同じものではなかったとしても手放せない。柚子と恋人同士でいたい。ずっと。「…ごめん。最初の告白は嘘だった」俺は静かに視線を伏せ、そう切り出した。今までのことを謝罪し、柚子ときちんと向き合う為に。「柚子にフラれるつもりで告白したんだ。柚子にフラれて、傷心中って理由で俺への告白を全部断ろうとしてた。都合よく柚子を利用しようとしてたんだ、俺。柚子と付き合ったのも、それが理由だった」告白の理由を包み隠さず柚子に伝えることが怖い。けれど、きっと怖がっていては、先へは進めない。俺は全てを告白した後、ぎゅっと自身の両手を握った。その両手は緊張でほんのり汗ばんでいた。「知っていたよ」俺の耳に優しい柚子の声が届く。あまりにも優しいその声に、俺は思わず視線を上げた。「全部知った上で悠里くんの告白を受け入れたの。だから悠里くんは何も悪くないんだよ」視線の先で柚子はやはり俺の予想通り、少しだけ寂
Magbasa pa

78.幸せな余韻。

side柚子私の推し、沢村悠里くんと私、鉄崎柚子は、晴れて正式にお付き合いすることになった。ーーーなんと夢のような話なのでしょう。「推しが本気で私のことを好きだったなんて…。あれも、これも、夢のような出来事、ぜーんぶ、形だけ彼女である私への気遣いからじゃなくて、本気だったんだよ?やばすぎるって、きゃーっ」私の隣を歩く雪乃に、興奮気味につい昨日実際に起きた出来事を伝える。すると、雪乃はあまりにも興味なさげに小さく笑った。「よかったねぇ」いつも通りの雪乃に特に何かを思うことはない。だが、この興奮を伝えずにはいられず、私は次の授業の教室へと移動中、ずっと雪乃に惚気話をしていた。ちなみに朝から暇さえあれば、常にこの話をしている。「王子と本当の意味でアツアツになれてよかったじゃん。私は最近、いい男が3人しかいないんだよねぇ」「3人?え、多くない?」「えー。そう?でもちょっと前までは、10人くらいはいたし。3人は少ないと思うけど」気だるげな雪乃に驚嘆の視線を向けると、雪乃はそんな私に軽く笑った。清楚系小悪魔美少女の価値観、恐るべし。私なんかでは、到底理解できない領域だ。「そんな顔して見てるけどさぁ、そっちの方がよっぽどだと思うけど?」何とも言えない気持ちで雪乃のことを見ていると、雪乃はからかうように口角を上げた。「みんなの注目が集まる文化祭のカップルシートで?周りに聴かせるようにキスして?さらにはその先もヤっちゃったんでしょ?さすがに私、そんなことしないし」「な……!?えぇ!?」雪乃の指摘に、私は驚きと恥ずかしさで、思わず言葉を詰まらせる。雪乃の言う、「ヤっちゃったんでしょ?」とは、男女の営み、キスのその先、性行為のことなのだろう。そんなことまだ未体験だし、そもそもあんなところでできるわけがない。何からツッコミを入れるべきかと、顔を真っ赤にして口をぱくぱく開け閉めしていると、雪乃は「いや、大胆すぎるし、特殊すぎる初体験〜」とおかしそうにしていた。ち、ちがーう!「な、なんで、そ、そうなるの!ち、違うから!」「えぇ?でもあそこでいろいろ聴いてた人、たくさんいるんだよ?喘ぎ声がした…とか、あとは…」「あれはちゅー!濃厚なちゅー!」「濃厚なちゅー、て」必死に否定する私に、雪乃は変わらぬ笑みを浮かべたままだ。そんな半笑いの雪乃
Magbasa pa

79.大変なことになりました。

大変なことになった。放課後。私は上の空で風紀委員室の椅子に腰掛け、1人ぼーっと、書類を眺めていた。目に入る文字の羅列を一応読んでみるが、全く頭に入ってこない。右から左へとただただ情報が流れていく。大事な書類を見ているというのに、今の私の行動はその意味を成していなかった。「…はぁ」手に持っていた書類を一度机に置き、大きなため息を吐く。私が今見ていた書類は校則違反者のリストだった。うちの高校は、基本、風紀委員からの注意はただの注意なのだが、先生からの注意はイエローカードのようなもので、あまりにもそれが溜まるとレッドカードとなる。そうなれば、成績や内申にも響き、指導、処罰の対象になるのだ。そうならない為の風紀委員であり、今は次のレッドカード対象者の確認をしていたのだが…。大変なことになってしまった為、全く頭に入らない。「…はぁぁぁ」私は再び大きなため息を吐いて、頭を抱えた。私の頭を悩ませる、〝大変なこと〟とは何か。それは遡ること、今日の昼休みのこと。*****バレンタインまであと1週間。数量限定の超高級チョコレートの予約を数日前、ネットで勝ち取った私は、スマホに表示されていた発送予定日をちらりと見た。どうやらあの幻の100個限定チョコレートは、バレンタイン前日には届くようだ。昼休み。暖房のよく効いたスポーツ科の教室で、私は机を挟んで向こう側に座る悠里くんと共に、お昼ご飯を食べていた。「バレンタインは柚子の手作りがいいな」「…っ、ぐぅっ!」たまたまスマホに視線を落としていた私に、悠里くんがポツリと呟く。あまりにもタイムリーな話題に、私は一瞬口に含んでいたご飯を吐き出しそうになった。…もちろん、吐くわけにはいかないので、一生懸命耐えたが。「んんっ、な、何、言ってるの…?む、無理だよ、無理」ごくん、と何とかご飯を飲み込み、慌てて、私は首を横に振る。そんな私を見て、悠里くんは悲しげに眉を下げた。…ぐ、胸が痛いがこれはどうしても譲れない。「…悠里くんも知ってるよね?私が壊滅的に料理ができないってこと。悠里くんの命が危ないんだよ?だから手作りは絶対できないよ」「…」「そ、そんな目で見ても、む、無理ですから。もう幻のチョコも用意済みだし…」「…」「わ、私のチョコで何度お父さんが天に召されてきたことか…」 ずっ
Magbasa pa

80.勘違いは続く。

2月13日、日曜日、バレンタイン前日。私は千夏ちゃんとバレンタインチョコを作るために、午後から千晴の家へとお邪魔していた。毎度の如く、あのご立派すぎるリムジンの送迎付きで。しかも我が家のインターホンを押したのは何故か千晴で、お母さんが「千晴くんいらっしゃあい」と、もう千晴のことを覚えてしまっていた。…しかも私の彼氏として。もちろん、訂正したかったし、しようともしたのだが、あれよあれよという間にリムジンに乗せられた為、また訂正することができなかった。もうずっとお母さんの中では千晴が私の彼氏である。とんでもない勘違いだ。冬休みにも訪れた、人が住んでいる家とは思えない豪邸の廊下を歩きながら、私は先ほどのことを思い返し、「…はぁ」と小さく息を吐く。するとそんな私を隣で見ていたらしい千晴が、無表情にだが、不思議そうに首を傾げた。「まだ何もしてないじゃん。もう疲れたの?先輩?」「…それアンタが言うか」この疲れの最大の原因である千晴をギロリと睨みつける。嵐のように我が家にやって来て、「俺が先輩の彼氏です」といった振る舞いをお母さんにし、挙句、それを慌てて訂正しようとする私を、あの手この手で邪魔し、できないようにしていた千晴に、今日だけでどれほど振り回されたことか。それをコイツはまるで何も知らない子犬のような目で見やがって…。何か一言物申してやろうと、口を開けたが、私の口から言葉が出ることはなかった。「到着いたしました。千晴様、柚子様」執事の影井さんがそう言って、ある扉の前で止まったからだ。執事服をきちんと着こなしている影井さんは、今日も由緒正しい厳かな雰囲気を身にまとっており、豪邸の玄関からここまで私たちを案内してくれていた。そんな影井さんの手によって、扉がゆっくりと開かれる。 「待っていたわ!お義姉様!」すると扉の向こうには、白の可愛いレースがあしらわれたエプロン姿で、仁王立ちしている千夏ちゃんが立っていた。スタイルがいいので仁王立ちスタイルでも、千夏ちゃんには華があり、まるでモデルのようだ。「千夏ちゃん、こんにちは。今日は本当にありがとう」私はまずは千夏ちゃんにお礼を言いながら、部屋へと入った。この部屋はきっと厨房なのだろう。部屋の中心には、大きな大理石っぽいもので作られた作業台のようなものがあり、それを囲うように壁際に
Magbasa pa
PREV
1
...
5678910
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status