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78.幸せな余韻。

last update Última atualização: 2026-03-04 10:53:11

side柚子

私の推し、沢村悠里くんと私、鉄崎柚子は、晴れて正式にお付き合いすることになった。

ーーーなんと夢のような話なのでしょう。

「推しが本気で私のことを好きだったなんて…。あれも、これも、夢のような出来事、ぜーんぶ、形だけ彼女である私への気遣いからじゃなくて、本気だったんだよ?やばすぎるって、きゃーっ」

私の隣を歩く雪乃に、興奮気味につい昨日実際に起きた出来事を伝える。

すると、雪乃はあまりにも興味なさげに小さく笑った。

「よかったねぇ」

いつも通りの雪乃に特に何かを思うことはない。

だが、この興奮を伝えずにはいられず、私は次の授業の教室へと移動中、ずっと雪乃に惚気話をしていた。

ちなみに朝から暇さえあれば、常にこの話をしている。

「王子と本当の意味でアツアツになれてよかったじゃん。私は最近、いい男が3人しかいないんだよねぇ」

「3人?え、多くない?」

「えー。そう?でもちょっと前までは、10人くらいはいたし。3人は少ないと思うけど」

気だるげな雪乃に驚嘆の視線を向けると、雪乃はそんな私に軽く笑った。

清楚系小悪魔美少女の価値観、恐るべし。

私なんかでは、到底理解できない領域
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  • 推しに告白(嘘)されまして。   84.最初のチョコ。

    やっとの思いで生チョコタルトを完成させ、いよいよラッピングの工程へと入った。最初の生チョコタルトこそ、元気いっぱい欲張りタルトになったが、残り二つは千夏ちゃんのアドバイスのおかげで、少しはマシになった。千夏ちゃん曰く、二つ目のタルトは、〝恐れすぎ、貧相タルト〟で、三つ目が、〝バランス最悪、アンバランスタルト〟なのだが。そんな辛辣な千夏ちゃんだが、最後には「でも頑張りは認めるわ。さすがお義姉様、苦手なことにも、逃げず立ち向かう姿は圧巻だったわ」と、どこか上から目線な笑顔で拍手を送ってくれた。大きなテーブルの上には、もう生チョコ作りに使われた調理器具たちはない。それらは先ほど片付け、今は小さな箱やリボン、紙など、ラッピングに必要なものが並べられていた。そこから私は小さな箱を手に取り、生チョコタルトを入れながらも、ふと思ったことを口にした。「そういえば、千夏ちゃんは今日作ったやつ誰にあげるの?」「あら、そういえば言ってなかったわね。お父様とお兄様とそれから婚約者によ」「へぇ…。お父様とお兄様と婚約者にね…。ん?」千夏ちゃんの淡々とした答えに、一瞬、私は固まる。お父様にあげる、わかる。お兄様にあげる、わかる。婚約者にあげる…?婚約者?「え、え!?千夏ちゃん中学生だよね!?こ、婚約者がい、いるの!?え!?」「ええ。もちろん。華守の娘だもの」何でもないことのように答えた千夏ちゃんに、私は大きく目を見開き、思わず千夏ちゃんを凝視した。だが、そんな私とは違い、千夏ちゃんは平然としており、手際よく、箱にリボンを巻き付けていく。その姿に私は思った。婚約者がいるということは、千夏ちゃんにとっては、当たり前で、普通なのだ、と。お金持ちの世界、すごすぎる。庶民には全く理解できない世界だ。未知の世界に衝撃で固まっていると、そんな私に気がついた千夏ちゃんは、作業を続けながら言った。「華守と繋がりたいのよ、みんなね。つい最近まで婚約者がいなかったお兄様の方が異例なのよ?」「…は、はぁ」千夏ちゃんの説明に、つい間の抜けた返事をしてしまう。千夏ちゃんのお兄様、つまり千晴の婚約者は千夏ちゃんにとっては私なのだが、もうそこにいちいちツッコミを入れるのはやめた。「それで?アナタは一体誰にあげるのかしら?沢村悠里と、残りのものは誰に?」全ての箱のラッ

  • 推しに告白(嘘)されまして。   83.仕上げ。

    優雅で楽しい、そしてほんの少し恥ずかしい、そんなひと時を過ごした後。時間になったので、私たちは厨房へと戻ってきていた。いよいよ、生チョコタルト作り再開だ。次の工程は寝かせていた生地をタルトの形にする、というものだった。ちなみに千晴はまたあの座り心地の良さそうな椅子に座って、こちらをどこか楽しげに見つめていた。まるでどこぞの王族のようだ。「この生地を伸ばすのよ、慎重にね」「う、うん」千夏ちゃんに見守れながらも、木の板…いや、千夏ちゃん曰く、ペストリーボードと呼ばれるものの上に置かれた生地を、めん棒でゆっくりと円になるように伸ばしていく。最初は薄くなりすぎることを恐れて、おそるおそるめん棒を転がしていたが、千夏ちゃんに「少しずつ力を入れて。少しずつよ」と言われたので、指示通りに力をそっと加えていった。「…っ」そして少し歪だが、直径15センチほどの円がようやく一つ完成し、私はやっと息を吐いた。緊張で今この時まで息をすることを忘れていた。「あとはこの生地を型に入れて、はみ出ている生地をこのパレットで削ぎ落とすの」いつの間にか千夏ちゃんも作っていたらしい円の生地を使って、千夏ちゃんが手際よく次の作業内容を教えてくれる。私はそれを一瞬たりとも見逃さないように見て、忘れぬうちに自分の生地を睨んだ。「お義姉様、ポイントは優しく、よ」「うん…!」千夏ちゃんの真剣な声に、私は同じく真剣な声で返す。それから震える指先に力を込めて、何とか続きの工程に入った。こうして私たちは、それぞれ三つずつ、タルト生地を作った。そして形になったタルト生地はまた冷蔵庫で寝かされた。その後、オーブンで焼き、次にその焼けたタルトに、チョコと生クリームを混ぜたものを流し入れた。この工程を経て、やっと、生チョコタルトの土台が完成した。作業の途中、板チョコを刻む段階で、板チョコを木っ端微塵にしてしまうという場面もあったが、まな板の上でのことだったので、一応は大丈夫だった。千夏ちゃんに絶句され、千晴に大爆笑されたが。こうして完成した生チョコタルトの土台。次はいよいよ最後の仕上げであるトッピングだ。「あとはこちらにある苺やブルーベリーを使って、美しくトッピングするだけよ」テーブルの上にある苺やベリー系のフルーツを千夏ちゃんが丁寧に両手で指す。ボウルに入れられて

  • 推しに告白(嘘)されまして。   82.雅な遊戯。

    千夏ちゃんの手によって手際よく混ぜられた生地。それをお情けで私が冷蔵庫へと入れたところで、生チョコタルト作りは、一旦中断となった。ここから約1時間ほど冷蔵庫で生地を寝かせるらしい。この約1時間、私たちは特に何もすることがない。そこで何か暇を潰そうと千夏ちゃんから提案されたのが、軽く楽器を触る、だった。何と雅な暇つぶしなのだろうか。そう思いながらも、豪邸内を移動し、やってきたのは、シックでおしゃれな雰囲気の楽器専用の部屋だった。部屋の中心にはL字の大きなソファがあり、その前にはテーブルがある。壁際には、学校で見るものよりも大きなピアノがあり、大きな棚には飾るように、ヴァイオリンやフルート、見たことのない楽器などが飾られていた。目に映るもの全てが洗練された美しさのある高級品で、圧倒されてしまう。お金持ち、すごい。ぱちぱちと何度もまばたきをしながら立ち尽くしていると、私の視界にヴァイオリンを持つ千夏ちゃんが入った。ここに来るまでに千夏ちゃんから聞いた話だが、千夏ちゃんは幼少期から現在まで、プロの方も指導している先生からヴァイオリンを習っているらしい。しかも千夏ちゃんはさまざまな大会で賞を受賞している実力者で、海外でもその腕を披露する機会があるのだとか。そんなすごい千夏ちゃんは慣れた手つきで、ヴァイオリンの弦をゆっくりと弾き始めた。千夏ちゃんの複雑な動きと共に、凛とした美しい音色が部屋中に広がる。「…!」聞こえてきた美しい旋律に私は感動し、一度目を見開くと、聴き入るようにその瞳を閉じた。音楽の良し悪しは残念ながら私の耳ではよくわからないが、それでも千夏ちゃんが奏でる音楽が美しいのだということは、はっきりとわかる。心地良さに身を委ね、千夏ちゃんの音楽に耳を傾けていると、ふと、ここにいる千晴の姿が思い浮かんだ。千夏ちゃんがあれだけヴァイオリンを上手に弾けるのなら、千晴ももしかしたら何かしらの楽器を上手く扱えるのでは?同じ華守のご兄妹なのだから。考え出すと気になり、千晴の方へと視線を向けると、千晴は大きなピアノに触れ、ポーン、と音を鳴らしていた。「千晴、ピアノできるの?」千晴に近づき、そう問いかけてみる。すると、千晴は無表情のまま淡々と頷いた。「うん、まぁ。6歳くらいまでは習ってたから」「へぇ」千晴の返答に私の中の興味がど

  • 推しに告白(嘘)されまして。   81.破壊神、柚子。

    マイペースな兄妹に頭を悩まされながらも、バレンタインチョコ作りは始まった。今日は生チョコタルトを作るらしい。「これなら難しくないし、お義姉様も作れるはずよ。まずは材料を計りましょう」千夏ちゃんは笑顔でそれだけ言うと、手際よく真ん中にあるテーブルに必要な材料を置き始めた。バターに、砂糖に、多分小麦粉に、謎の粉に、小瓶に入った正体不明の液体。電子はかりに、ボウル、ゴムベラ、泡立て器。千夏ちゃんがどんどん出す必要なものを私は慌てて、受け取り、一緒に準備を進めていく。いろいろなものが並べられたところで、千夏ちゃんはやっとその動きを止めた。「必要なものはざっとこんなものかしら。次は計量ね。お義姉様、計量をお願いできるかしら?」「う、うん」千夏ちゃんに頼まれて、私は神妙な顔で頷く。そんな私に千夏ちゃんは「ではこれを」と、タブレットを渡してきた。「それにはレシピを入れているわ。材料を見て、計量をお願い」「わ、わかった」ここでメモ用紙ではなく、タブレットごと私に渡すとは、金持ちはスケールが違うな…と、感心しながらも、早速タブレットを開く。すると液晶画面いっぱいに、生チョコタルトの写真と、レシピが映し出された。私に与えられた仕事は材料を計量すること。その為に液晶に触れ、軽くスライドさせて、材料欄を見る。まずはバターを60g…。電子はかりにボウルを置き、きちんと数字をゼロにしたところで、私は慎重にバターを乗せた。計量は料理の中でも特に大事な作業だ。ここを間違えてしまえば、全てが台無しになってしまう。寸分の狂いもないように、作業を続け、できたものを千夏ちゃんが混ぜる。それを繰り返すこと、数分。千夏ちゃんからついに私では絶対にできない指示がきた。「お義姉様、次は卵を割って、卵黄と卵白に分けてください」「え」淡々と出された千夏ちゃんからの指示に、一瞬固まってしまう。だが、固まっていては何も始まらないので、私は非常に申し訳なさそうに口を開いた。「ご、ごめん、千夏ちゃん。私、それはできない…というか、めちゃくちゃになる未来しか見えないというか…」「え?いくら料理が苦手なお姉様でもそのくらいはできるでしょう?大丈夫よ、少しの失敗ならわたくし気にしませんことよ?」「す、少しかなぁ…」「失敗は成功の元!よ!」「う、うん…」千夏ちゃん

  • 推しに告白(嘘)されまして。   80.勘違いは続く。

    2月13日、日曜日、バレンタイン前日。私は千夏ちゃんとバレンタインチョコを作るために、午後から千晴の家へとお邪魔していた。毎度の如く、あのご立派すぎるリムジンの送迎付きで。しかも我が家のインターホンを押したのは何故か千晴で、お母さんが「千晴くんいらっしゃあい」と、もう千晴のことを覚えてしまっていた。…しかも私の彼氏として。もちろん、訂正したかったし、しようともしたのだが、あれよあれよという間にリムジンに乗せられた為、また訂正することができなかった。もうずっとお母さんの中では千晴が私の彼氏である。とんでもない勘違いだ。冬休みにも訪れた、人が住んでいる家とは思えない豪邸の廊下を歩きながら、私は先ほどのことを思い返し、「…はぁ」と小さく息を吐く。するとそんな私を隣で見ていたらしい千晴が、無表情にだが、不思議そうに首を傾げた。「まだ何もしてないじゃん。もう疲れたの?先輩?」「…それアンタが言うか」この疲れの最大の原因である千晴をギロリと睨みつける。嵐のように我が家にやって来て、「俺が先輩の彼氏です」といった振る舞いをお母さんにし、挙句、それを慌てて訂正しようとする私を、あの手この手で邪魔し、できないようにしていた千晴に、今日だけでどれほど振り回されたことか。それをコイツはまるで何も知らない子犬のような目で見やがって…。何か一言物申してやろうと、口を開けたが、私の口から言葉が出ることはなかった。「到着いたしました。千晴様、柚子様」執事の影井さんがそう言って、ある扉の前で止まったからだ。執事服をきちんと着こなしている影井さんは、今日も由緒正しい厳かな雰囲気を身にまとっており、豪邸の玄関からここまで私たちを案内してくれていた。そんな影井さんの手によって、扉がゆっくりと開かれる。 「待っていたわ!お義姉様!」すると扉の向こうには、白の可愛いレースがあしらわれたエプロン姿で、仁王立ちしている千夏ちゃんが立っていた。スタイルがいいので仁王立ちスタイルでも、千夏ちゃんには華があり、まるでモデルのようだ。「千夏ちゃん、こんにちは。今日は本当にありがとう」私はまずは千夏ちゃんにお礼を言いながら、部屋へと入った。この部屋はきっと厨房なのだろう。部屋の中心には、大きな大理石っぽいもので作られた作業台のようなものがあり、それを囲うように壁際に

  • 推しに告白(嘘)されまして。   79.大変なことになりました。

    大変なことになった。放課後。私は上の空で風紀委員室の椅子に腰掛け、1人ぼーっと、書類を眺めていた。目に入る文字の羅列を一応読んでみるが、全く頭に入ってこない。右から左へとただただ情報が流れていく。大事な書類を見ているというのに、今の私の行動はその意味を成していなかった。「…はぁ」手に持っていた書類を一度机に置き、大きなため息を吐く。私が今見ていた書類は校則違反者のリストだった。うちの高校は、基本、風紀委員からの注意はただの注意なのだが、先生からの注意はイエローカードのようなもので、あまりにもそれが溜まるとレッドカードとなる。そうなれば、成績や内申にも響き、指導、処罰の対象になるのだ。そうならない為の風紀委員であり、今は次のレッドカード対象者の確認をしていたのだが…。大変なことになってしまった為、全く頭に入らない。「…はぁぁぁ」私は再び大きなため息を吐いて、頭を抱えた。私の頭を悩ませる、〝大変なこと〟とは何か。それは遡ること、今日の昼休みのこと。*****バレンタインまであと1週間。数量限定の超高級チョコレートの予約を数日前、ネットで勝ち取った私は、スマホに表示されていた発送予定日をちらりと見た。どうやらあの幻の100個限定チョコレートは、バレンタイン前日には届くようだ。昼休み。暖房のよく効いたスポーツ科の教室で、私は机を挟んで向こう側に座る悠里くんと共に、お昼ご飯を食べていた。「バレンタインは柚子の手作りがいいな」「…っ、ぐぅっ!」たまたまスマホに視線を落としていた私に、悠里くんがポツリと呟く。あまりにもタイムリーな話題に、私は一瞬口に含んでいたご飯を吐き出しそうになった。…もちろん、吐くわけにはいかないので、一生懸命耐えたが。「んんっ、な、何、言ってるの…?む、無理だよ、無理」ごくん、と何とかご飯を飲み込み、慌てて、私は首を横に振る。そんな私を見て、悠里くんは悲しげに眉を下げた。…ぐ、胸が痛いがこれはどうしても譲れない。「…悠里くんも知ってるよね?私が壊滅的に料理ができないってこと。悠里くんの命が危ないんだよ?だから手作りは絶対できないよ」「…」「そ、そんな目で見ても、む、無理ですから。もう幻のチョコも用意済みだし…」「…」「わ、私のチョコで何度お父さんが天に召されてきたことか…」 ずっ

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