14時。私が約束のカフェに着くと、神崎さんはすでに席に座っていた。「森川さん」神崎さんが、ひらひらと手を振る。「こんにちは」私は、神崎さんの向かいに座った。「お忙しいところ、ありがとうございます」「いえ」神崎さんは、コーヒーを一口飲んだ。そして、真剣な表情になった。「森川さん。昨日は、お疲れ様でした」「ありがとうございます」「素晴らしかったですよ。皆さん、お二人の婚約を祝福していました」その言葉に、少しだけ安心した。「ですが──」神崎さんの表情が、曇った。「メッセージでもお伝えした通り、立花椿のことで話があります」私は、身を乗り出した。「椿さんのこと……教えていただけますか?」神崎さんは、頷いた。「彼女は今、実業家として成功しています」「実業家……」「はい。投資会社を経営していて、かなりの資産を持っています」それなのに、どうして氷室様の前に現れたの?「ですが」神崎さんは、真剣な目で私を見た。「彼女の、氷室様への執着は消えていません」「……っ」「昨夜も、わざわざパーティーに現れた。氷室様を動揺させるために」私の手が、震えた。「森川さん」神崎さんが、私の手を握った。「気をつけてください」「え?」「椿は、手段を選ばない人です」その声が、低く響いた。「あなたにも、危害が及ぶかもしれない」危害──。その言葉に、背筋が凍った。「私……どうすれば」「氷室様のそばにいてあげてください」神崎さんは、優しく微笑んだ。「彼は強がっていますが、本
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