「当たり前だろ! 1日に何回替えてると思ってんだ」「なら、客室のシーツも替えられますね」「あ?」 小夜子は小さく微笑んだ。「汚物を適切に処理し、他者を快適な状態に保つ。それがあなたの日常ならば、この仕事の適性は十分です」◇ 小夜子はくるりと踵を返し、人事部長に向かって宣言した。「彼女、採用です」「はあぁっ!?」 人事部長が素っ頓狂な声を上げた。「そ、総支配人、正気ですか!? 子連れ、しかも赤ん坊ですよ!? それにこの格好、言葉遣い、どこをどう見てもホテルマンが務まるとは思えません!」 翔吾も立ち上がり、抗議の声を上げた。「ありえない……。こんな常識知らずと一緒に働くなんて、アーク・リゾーツの品位が下がります!」 小夜子は2人を一瞥もしなかった。ただ、実加を見つめて告げる。「ここは『聖域(サンクチュアリ)』です。迷える子羊を受け入れて、戦力に変えるのが私の仕事」 そして人事部長と翔吾に向き直り、きっぱりと言い放った。「文句があるなら、私以上の掃除スキルを見せてからになさい」 その言葉の圧倒的な説得力(物理)に、2人は押し黙った。 特に人事部長は、小夜子のこれまでの功績を知っている。アーク・リゾーツ社で業務用清掃機を楽しげに駆使する姿も知っていた。 彼は内心でため息をついた。(社長夫人、いや、総支配人以上の掃除スキルを持つ人など、世界でも数えるほどしかいないだろ。無理) 翔吾は小夜子の過去を知らないが、人事部長が小さくなっているのを見て言葉を失っていた。「採用……?」 実加はその場にへたり込みそうになり、膝に手をついた。「マジで……? やったぞ、チビ!」 背中の赤ん坊が、キャッキャと無邪気に笑う。「嘘だろ。どうしてこんなことに」 翔吾は絶
Read more