「最初の頃はこれだけ臭いと音を出していたら魔獣とかが来るとか思ってたんだけどな」「魔獣は余程飢えていない限り勝ち目のない敵にはかかってこない」 サーラはパンをちぎりながら平然と言う。「魔物は、魔獣が勝てないと思う相手には挑まない方がいいということを知っている」「つまり、俺たちにかかってくる魔獣や魔物は滅多にないってことか?」「ああ。知性が高く、出し抜けると考える魔物や、自分が強いと思っている魔獣なんかだと襲ってくるな」「ふーん」 そこに突き刺さる視線。 木陰に隠れたままの少女が、視線を送ってくるのは、パンと干し肉、燻製魚。 相当がりがりだったしなあ……。「シンゴ、頼んでこない相手まで救おうとするのはお節介だ」「サーラ」「彼女はきちんと働く思考を持った人間だ。助けてほしい時は助けてくれと言えるはず。理由があって助けを求めない人間まで無理やり助けようとしていたら手が何本あっても足りんぞ」「あー……うん」 子供みたいに見えたけど、ハーフリングって何だろう。 俺は目を閉じ、俺の肉体のどこかに封じられているM端末に意識を飛ばした。【ハーフリング:ヒューマンの半分くらいの身長である小人族。草原の丘を住居にして、一人あるいは家族単位で暮らしている。相当高齢になっても幼い顔立ちをしている。身が軽く素早く手先が器用で、動物や昆虫の意図を感じ取ることができる。他人種間で生きる時は手先を器用さを活かした仕事をしている】 ふーん。そう言う種族なのか。 でもこの辺り、丘ってあったっけ。 頭の中で今度はマップを広げる。 ああ、この街道の近くに元草原があったんだ。 ハーフリングも困ってるんだろうけど……。 確かに、彼女はこっちのことを疑っている。こんな時に街道を歩いている人間なんて、絶対まともな人間じゃないからな。でも、泥魔獣から助けた礼くらいしろよなとも思い、それはおじさんの教えじゃないと心の中で首を振る。 俺たちが食べているのを、少女はじっと見ている。 と、突然コトラが俺の持っていた燻製魚をひったくった。「あっ、コトラ」 たたたたっと走っていって、ハーフリングの少女の所に行く。「ぅな」「……え?」 少女も、俺たちも、驚いた。「ぅなーお」 少女の足元に置いて、長く一声、鳴く。「しゅう」 のそのそとブランも歩いて行って、キレイな
Last Updated : 2026-01-16 Read more