All Chapters of ★毎日更新《堕胎告知》「オマエみたいなゴミ、産むんじゃなかった。」「テメェが勝手に産んだんだろ、ころすぞ。」: Chapter 51 - Chapter 60

218 Chapters

18.いちばんにこころに浮かぶ人 the Great Schwester

マンソンジュ軍士官学校での日々は概ね順調だった。 朝はおねえさまが一緒に登校して下さるし――|流石《さすが》に手を繋いでいるのを知人友人に見られるのは少し|面映《おまは》ゆかったが、おねえさまたっての希望なので|無下《むげ》にできなかった――、クラスのお友達はみんなやさしいし――アルタークちゃんという特別仲良しな子までできた――かげろうと一緒の学び|舎《や》で過ごせるし、一見いいことばかりだった。 全てにおいて優秀な|獣神体《アニムス》のフリをして学校に通う事には不安もあったが、座学は、もともと学ぶことや知ることが好きだったので、学年で一番をキープできている。|心《ヘルツ》の授業でも、|こころをもつもの《プシュケー》の能力を使ってなんとか|獣神体《アニムス》並みのパフォーマンスを発揮できている。 一番問題があるのは体術の授業で、|人間体《アニマ》であることもあり、力もノーマルの幼子より弱いわたくしは、こればかりはごまかしがきかないのでどうしようかと頭を悩ませていたが、|幸《さいわ》い他の部分の成績でカバーできているらしく、筋力や|膂力《りょりょく》のない、力の弱い|獣神体《アニムス》であると思われることで、なんとか助かった。 当初は力の弱い|獣神体《アニムス》などいるわけがないという者もいたらしかったが、座学と|心《ヘルツ》で優秀な成績をのこしていること、また何より、ミルヒシュトラーセ家の一員である自分が|獣神体《アニムス》でないわけがないという結論に落ち着いたらしい。 正直今まで家の名に苦しめられることはあっても、助けられることはないと思っていたので驚いた。もしかしたら、今までも自分でも|知《・》|ら《・》|ず《・》|知《・》|ら《・》|ず《・》|の《・》|う《・》|ち《・》|に《・》|ミ《・》|ル《・》|ヒ《・》|シ《・》|ュ《・》|ト《・》|ラ《・》|ー《・》|セ《・》|と《・》|い《・》|う《・》|名《・》|に《・》|助《・》|け《・》|ら《・》|れ《・》|て《・》|き《・》|た《・》|の《・》|か《・》|も《・》|し《・》
last updateLast Updated : 2026-02-04
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19. エルサレムのシュベスター A Report on the Banality of Evil

「――ほう?……詳しく聞かせてもらおうか?誰が……何だって?」 空気が凍った。今までわたくしを取り囲んでいた風紀委員さんたちがギギギと音を立て、後ろを振り返る。どうやらいつの間にか委員長の机の横の扉から入ってきていたらしい。へー、あんなところにも入り口があったんだー、とのんきに考えていると、委員のみなさんが必死で言い訳を始めた。 「いやー!だからこそ違反の抑止力になるっていうか!」 「ほんとそれ!それすぎるわ!」 「いつも助かってます!さすが委員長!!よっ!」 「逆にね!?いい意味で鬼なんだよなー!な!」 「そう逆に!!いい意味で鬼畜なんだよなー!」 「やっぱ委員長はすげぇや!」 「っぱ、ちがうなー!」 「それなー!それすぎるわ!!」 紅茶を|啜《すす》りながらそれを眺める。 「ふん……まぁ、オマエらの説教は後回しだ。」 「「「そんな!」」」 ふとおねえさまがわたくしを視界に|捉《とら》える。すると打って変わってふっとやさしく微笑む。……なんだかうれしくなる。 「アイ……!来ていたんだな。こんなところに。コイツらはお前の教育に悪いからな、あまり会わせたくなかったんだが……。」 「あの、一応うちら秩序を守る風紀委員なんすけど……。」 「教育にバリバリいいんすけど……。」 「むしろうち等が教科書まであるんすけど……。」 「しかし、登下校以外でもお前に会えるとは……。」
last updateLast Updated : 2026-02-05
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20. 姉と海 The Old Sister and the Sea

ぎゅっと抱きしめられる、あたたかい体温が伝わってくる、差別をする人間にだってあたたかく赤い血が流れているのだった。 だから、わたくしは―― 「おねえさまは、大人ですね、わたくしにはとても、そのように考えるのは難しいです。」 「私は大人なんじゃない。ただこの両の手で守れるものには限りがあるということを知っているだけだ。 人間誰しも自分の理想の世界を生きたいものだ。だが、初めて親の庇護下を離れ家から出て、公園で遊んだときに、皆思い知るんだ。外の世界にはどうしようもない理不尽があって、自分の力じゃあどうにもできないことが確かにあるんだとな。 それはもしかしたら、いつまでたっても遊具を|譲《ゆず》ってくれない年上の子に会ったとき、もしくは初めて意地悪な同級生に会ったときか、そういう時に皆気づくものだ。 あぁ、今までは両親の腕の中というやさしい楽園の中にいたんだとな。そして、これからは自分一人でやさしくない外の世界の理不尽と向き合っていかなくちゃあならないとな。」 「そう、ですね……。」 わたくしは、両親の腕でできたやさしい楽園なんかにいたことはない。産まれてから一度だって。 「そうしてみんな自分のわがままや理想が通じない世界、学校や公園に出たときにそれぞれの生き方を選ぶんだ。 ある者はいじめっ子や先生に|媚《こ》びへつらい、理不尽に対しておもねることで生きていこうとし、またある者は他者や目上の人間に反発し、理不尽と戦うことで生きていこうとする。 どっちが正解かなんてのは分からない。社会にでてもそうだろう、媚びへつらう相手が上司や客に変わるだけだ。」 「おねえさまは人生の理不尽との、どんな付き合い方を選んだんですか?」 「私の場合は、家族や友と、それ以外だ。つまりいくらでも理不尽は受け入れるが、それが私の家族……お前やお
last updateLast Updated : 2026-02-06
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21. 人として軸がぶれている SAD - Social Anxiety Disorder

「はるひくんって好きな子がいるんですか?どんな子ですか?」 しらぬいさんはどこか呆れたような顔をした。 「うーん?誰だろうね?まぁしらぬいさんは敵に塩を送るような真似はしないのさ〜。とくに|意《・》|地《・》|悪《・》|で《・》|し《・》|か《・》|愛《・》|情《・》|表《・》|現《・》|で《・》|き《・》|な《・》|い《・》|よ《・》|う《・》|な《・》|お《・》|子《・》|ち《・》|ゃ《・》|ま《・》にはね〜。」 「???」 「でも気持ちも分かるんだよね〜。アイちゃんをみているとね〜。」 「みていると?」 「ドロドロに甘やかしたい気持ちと、かわいすぎていじめたい気持ちが交互に|沸《わ》き上がってくるんだよ〜」 ギラリと光る眼。 「きゃっ!」 「……なーんて冗談冗談、アイちゃん反応がかわいいから、からかいたくなっちゃうんだ〜。かわいすぎてイジメたくてなる気持ちってキュートアグレッションって言うらしいよ、|地獄《パンドラ》の言葉で。しらぬいさんの豆知識〜。」 「は、はぁ?」 「こんな話をしたのは理由があって、アイちゃんかわいいから、意地悪されたら、もしかしたらキュートアグレッションかも?って思ってあげてね〜。まぁだからといって意地悪していい理由にはなんないんだけどさ。」 「……おかあさまが、|そ《・》|う《・》だったらよかったんですけどね……。」 「あちゃ~、そっちいっちゃったか〜」 「そっち??」 「まあまあ、そんなことより、今はアイちゃんを無事に送り届けるという任務中だからね!真剣にいかないと!」
last updateLast Updated : 2026-02-07
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22. 藍と日常の出会い I meet my Daily Life.

アイが 初めてマンソンジュ軍士官学校に登校した時は大変だった。入学式におとうさまとエレクトラ様が来てくださらないことには、もう痛めるこころもなかった。他のきょうだいのときは必ず行ったのに、とは思ったが。 シュベスターと手を繋いで入学式に|赴《おもむ》いたのだが、シュベスターは有名人らしく、とても目立ってしまった。そんな事もあって、またその|類稀《たぐい》なる可憐な容姿も原因となり、入学してからも|暫《しばら》くはアイは|高嶺《たかね》の花として遠巻きに眺められるだけだった。 そして、水面下のうちに、ファンクラブまでできて、抜け駆けしてアイに話しかけるのは厳禁とされていた。それがアイを悲しませているとも知らずに。ファンクラブの連中はアイではなく理想化したアイを見ていたのだった。だから、自らの行動が現実のアイを悲しませていても、気がつけない。 そんななか窓際で|愁《うれ》いを帯びた美しい横顔を描いていたアイに、話しかける者がいた。その生徒の名はアルターク。アルターク・デイリーライフだ。パンドラ公国の田舎の農家の出で、第一の性は女、第二の性は|人間体《アニマ》だった。 彼女はこの年代の女子にありがちな特性をご多分に備えていた。つまり、甘いものが大好きで、うわさ話が大好きで、かわいいものが大好きで、かわいい人が大好きで……かわいい人を|愛《め》でるのも大好きだった。そんな彼女がアイを前にして声をかけずにいられるわけがなかった。アルタークは学校に通うため、地元を離れ都会に出てきたばかりだった。 ◇◆◇ かっっっっわいい!!!いや、え?こんなにかわいい人がいるの?都会には?うじゃうじゃ?ありえねー。都会こえー。都会の学校ではこうなの?てかここ一応軍学校だよね?え?こんなお姫様みたいな子が?戦うの?あっ、そうか!天使として戦場で傷を負った人を癒すのか!そうだ!そうに違いない!いやーあぶないあぶない勘違いするところだった。 てか私がずっと見てるから、不思議そうにこっち見てない?天使ちゃん。アッ……不思議そうな顔もかわいい……。くりくりのおめ
last updateLast Updated : 2026-02-08
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23. 好き好き大好き超アイしてる。Love you, Love you, I do love Ai super much.

「あっ……ミルヒシュトラーセ様は、お弁当なんですね。」 「はい。お料理は好きなんです。」 「あっ、えっ……あっ、ご自分で作られているんですか?貴族なのに?」 「は、はい……やっぱり変ですかね?でも学校に通うようになって、おねえさまが毎日おいしかったぞって言ってくれるのがうれしくて。」 「あっ……変じゃないです!うちも畑仕事の合間に自分で作ったありあわせのモノを食べたりしまし、します、しますし!」 「そうなんですね!」 えっ、かわいいだけじゃなくてお料理まで!?できらぁ!!てかまじおいしそうだし、|彩《いろど》りもすげー、食わせてくんねーかなぁ!?あわよくばあ~んしてくれ!!いや落ち着けアルターク。アルターク・デイリーライフ……。クールに行くんだ。Be cool Stay cool……。てかぜってぇお裁縫も家事もできるじゃん!!貴族なのに!!貴族なんて面倒ごと全部使用人任せだから、料理ができるとか逆に恥ずかしいことって言ったの誰だ!?おれがぶっ飛ばしてやる!!ええー、お嫁さん検定1級!!この子、私のお嫁さんに決定!!!Foo~! 「あの、アルターク様。」 天使が両手を合わせて不安げにこちらを見上げている!なんだなんだなんだ!? 「あっ……どうされましたか、ミルヒシュトラーセ様?」 私、話始めに、絶対『あっ』ってついてるんですけど!?非モテまるだしじゃん!?あっあっあっどうしよう。 「これは、お願いなのですが、もしよろしければ、わたくしのことはアイ、とお呼びいただけませんか?」 「えっ……あっ、でもでもミルヒシュトラーセ様ですし……。」 「ええ、ですがわたくしは自分の家名が苦手でして……そ、それに!この学園にはおねえさまもいますし!どっちのことか分かりづらい
last updateLast Updated : 2026-02-09
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24. 愛の沈黙 Silence

アルターク・デイリーライフを襲ったのは、数人のノーマルだった。 そこには|人間体排斥委員会《アー・アニマ・クラン》の者だけでなく、アイ・ミルヒシュトラーセのファンクラブの者もいた。 彼等の言い分はこうだ。彼等の|信奉《しんぽう》するアイ・ミルヒシュトラーセ様に|無礼《ぶれい》な口をきき、馴れ馴れしい態度をとるデイリーライフに警告をしなければならないと考えた。そうしたときに、|ど《・》|こ《・》|か《・》|ら《・》|か《・》デイリーライフが|人間体《アニマ》であるという情報を嗅ぎつけた|人間体排斥委員会《アー・アニマ・クラン》の者に話を持ちかけられた。 彼等の話を聞くと、この国の|獣神体《アニムス》主権において、最重要の地位を占めるミルヒシュトラーセ家の子息であり、当人も|獣神体《アニムス》であるアイ・ミルヒシュトラーセ様とデイリーライフのように下賤な|人間体《アニマ》が対等な関係を築けば、|獣神体《アニムス》の権威|失墜《しっつい》に繋がる、この危険分子を排除しなければならない、とのことだった。 デイリーライフの排除という点で利害が一致した、ファンクラブの連中と|人間体排斥委員会《アー・アニマ・クラン》は共謀して、彼女を襲ったのであった。その報を聞いたアイは激怒した。そして、すぐに医務室に運び込まれたアルタークの様子を見に行ったあと、クランの連中とファンクラブの連中に話をつけようとした。 しかし、風紀委員長である、姉のシュベスターに制止された。アイは最初頑なだったが、シュベスターとしらぬい、かげろうにまで|矛《ほこ》を収めてくれと頼まれては、沈黙するしか無かった。 それでもアイは|遣《や》る|瀬《せ》無かった。申し訳がなかった。自分のせいで、やさしい友達が傷つけられたということに。それから、アイはアルタークが目を覚ますまで、ずっとそばについていた。その行動も新たな火種になりかねないと言われたが、アイはこれだけは譲れなかった。ケガをした友達を捨て置いて、のうのうと授業を受けるなど、そんなものはアイのなかでは友達ではない。 そし
last updateLast Updated : 2026-02-10
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25. 生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ。 To be or Not to be. That is the Question.

アイはその足で生徒会室の門を叩いていた。 「失礼します。アイ・ミルヒシュトラーセと申します。しらぬいさんはいらっしゃいますか?」 「……アイちゃん……くると思っていたよ。結局シュベスターの制止も、しらぬいさんの忠告も、意味なかったかぁ。」 どこか諦めたように溢す。 「いえ、わたくしはおねえさまの生き様に従うだけです。おねえさまは家族や友と理不尽がぶつかった時は全力でそれを叩き潰すと仰られました。わたくしもそうするのみです。……だから、彼等の居場所を教えてください。」 サファイアの瞳が、夕焼けに照らされてルビーのように紅く燃えていた。 「……ハァ〜。しらぬいさんたちは|好きな子《アイちゃん》を守りたいだけなんだけどなぁ。」 「To be or Not to be. That is the Question. 《生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ。》 ……しらぬいさん。わたくしは傷つけられた友を捨て置いてのうのうと自分の身だけを案じて生きるぐらいならば、友のためにこの世の不条理と戦って死にたいのです。」 「それで、アイちゃんまでもが傷つくとしても?自分のお母さんと対立して、何もかも失うかもしれなくても?」 「はい、友を見捨ててもわたくしは生きていけるでしょう。ですが、|わ《・》|た《・》|く《・》|し《・》|の《・》|こ《・》|こ《・》|ろ《・》|は《・》|死《・》|ぬ《・》|の《・》|で《・》|す《・》。友を見捨てた瞬間に。少ない灯りの下、打ち捨てられた友を目の前にしたら、“黒い光がわたくしの前に横たわる全生涯を照らし出す”でしょう。 わたくしはもう二度とあの“黒い光”を見たくはないのです。自分が|今《・》|生《・》|き《・》|て《・》|い《・》|る《・》|人《・》|生《・》を、|余《・》|生《・》
last updateLast Updated : 2026-02-11
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26. 心に太陽を持て Hab' Sonne im Herzen

「ふぅー、ありがとうございます。しらぬいさん。ご助力頂いて。」 生徒会室で2人きりになり、さっきとは打って変わって|柔和《にゅうわ》な笑みを|溢《こぼ》すアイ。この笑顔をみられるのが私だけなんて、親衛隊の奴らもかわいそうだな、としらぬいは得も言えぬ優越感を感じていた。 「いやいや、しらぬいさんの作戦に付き合って貰ったんだしね。もちろん最後まで面倒をみるよ。いやーにしても、アイちゃんいい演技だったよ。実はこわい人なのかな〜?」 しらぬいはアイを膝の上で横抱きにしている。まるでそれが成功報酬だとでも言うように。 「違いますよ〜。まぁアルちゃんを傷つけられて、少し怒っていたのはほんとうですが……お、エレクトラ様の真似をしたんです。」 「ほへ?エレクトラ様の?」 「はい。誰かと戦うときや誰かを恐怖させたいときは、エレクトラ様の真似をするんです。そうすることで|躊躇《ちゅうちょ》なく相手を攻撃できますし、わたくしの中の怒りや恐怖の象徴はエレクトラ様ですから……そうすると|心《ヘルツ》で戦う時も上手くいくんです。」 痛ましい笑顔でアイは告白した。 「……。なるほどねえ〜。確かに、あの躊躇のなさは戦闘においては強い……か。……まぁ、しらぬいさんはやさしくてかわいいアイちゃんのままでいてほしいけどね〜。」 「……。ですが。これで本当に上手くいくのでしょうか?むしろ、彼等を増長させる結果にはなりませんか?」 アイがしらぬいの胸に頭を擦り寄せながら、問う。 「……だいじょーぶ!しらぬいさんの考えだよ?不知火陽炎連合の次期当主にして、天才美少女しらぬいさんの考えにスキはないのだ!……アイちゃんのことはスキだけど!」 すり寄ってきたアイの頭を愛おしそうに撫でながら応える
last updateLast Updated : 2026-02-12
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27. i²と信じる者の出会い i² meet a Believer.

アイが|獣神体至上主義委員会《アニムス・クラン》の長になり、しらぬいがアイ親衛隊の隊長になった経緯は、周りの人に聞かれたら答えたが、そこに隠された本当の意図は2人だけの秘密だった。 それがクランや親衛隊の連中に漏れると、|造反《ぞうはん》を招きかねないからだった。そもそもクランは|秘匿《ひとく》された組織なので、聞かれることも少なかったが。 しかし、そのせいでシュベスターやかげろうは、自分の弟や姉との心がどこか遠く離れてしまったように感じた。 かくしてアイは表面上は一旦、アルターク・デイリーライフとの平穏な学園の日常を守ることに成功した……ようにみえた。この行動が新たな火種になるとも知らずに。 クランの長になってからアイがしたことと言えば、能動的に|人間体《アニマ》に危害を加えようとする生徒、|若《も》しくは教師、所謂過激派を抑えることだった。彼らは外側からの制止には滅法反発するが、内側からの圧力には大層弱いようだった。まぁ、相手が差別を推進する本家大元のミルヒシュトラーセの人間のであり、|獣神体《アニムス》の中の|獣神体《アニムス》であるアニムス・アニムス(と嘘をついている)であるアイだから逆らえないという要因が大きかったが。 やり口は簡単で、下劣な|人間体《アニマ》なんぞに|拘《かかずら》う暇があるなら、神聖なる|獣神体《アニムス》のさらなる地位向上に尽力せよとの|教義《ドグマ》を掲げ、無闇矢鱈に|人間体《アニマ》を害することを禁じた。立てた論理としては品性下劣な|人間体《アニマ》なんぞに構うことは、自らの品位までも引き下げかねないからというものだ。 これでアイに忠誠心の高い者や|獣神体《アニムス》は|御《ぎょ》することができたが、|人間体《アニマ》を|虐《しいた》げることでしか、自分の価値を見いだせないノーマル――つまり自身を向上させる努力をするのは|厭《いと》わしいが、簡単に自分は優れていると勘違いできるインスタントな手段は取りがちな意志薄弱な者たち――を制するのは難しかった。
last updateLast Updated : 2026-02-13
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