だが、その声は隣の個室まで筒抜けだった。上座に腰を下ろす男は、高級なオーダーメイドのスーツに身を包んでいた。端正で冷ややかな顔立ちに、洗練された気高いオーラを漂わせている。微かに絵里の名前が耳に入り、彼はふっと眉をひそめた。彼女が隣にいるのか?裕也はスマートフォンを取り出し、LINEを確認したが、絵里からのメッセージは届いていなかった。以前の出来事があって以来、絵里は外出する際、必ず彼に報告するようになっていた。本当に手のかからない、素直な女だ。「裕也、何を考えてるんだ?お前がこのプロジェクトに投資しないなら、俺がやっちゃうぞ」隆がからかうように笑った。裕也は彼を冷ややかに一瞥し、容赦ない言葉を放つ。「赤字になるのも恐れず、お前に投資を持ちかけるような命知らずがどこにいる?」その場にいた男たちがどっと沸いた。「的を射てるな」章が軽く笑う。「よりによって裕也を怒らせるからだ」その言葉は隆に向けられたものだった。隆は胸を押さえるふりをして大げさに嘆く。「俺が何に投資しても損ばかりするポンコツだから仕方ないだろ。まあ、うちの家業がそれなりにデカいおかげで、俺が食いつぶさずに済んでるけどな」佐守家はG市で最大手の映像制作会社を経営しており、市場の八割のシェアを握っている。江原社長が朗らかに笑った。「ご冗談を。皆様に我が社を高く評価していただけて、光栄の至りです」男たちは和やかに歓談していた。その時、再び隣から梨乃の声が響いてきた。「男なんてね、使えるうちに使い倒しておけばいいのよ。今使わないと、年取ったらガタがきて使い物にならなくなるんだから。だから、忠告を聞きなさい。家に帰ったら、さっさと旦那を押し倒しちゃいな。もしあっちの方がダメなら、蹴り飛ばしてやればいいのよ!他の男を探せばいいんだからさ」隆は面白がり、大いに賛同した。「おい聞けよ、今の女はなんて意識が高いんだ。『今使わないと、年取ったら使い物にならない』だってさ」言いながら、彼の視線はチラチラと裕也の股間へと向けられた。「失せろ」裕也は、その声にどこか聞き覚えがあると感じていた。音楽がふっと途切れたその瞬間、隣から聞き慣れた声が聞こえてきた。「飲みすぎよ。家まで送っていくから」「やだぁ
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