健吾は綾の体を求め、一番精力的だった若い頃は、毎晩のように求め合っていた。別れる前夜も同じベッドで、夜明けまで狂ったように体を重ねた。それが二人の、大学最後の思い出となった。それは、彼だけが酔いしれた一夜だったのかもしれない。何度も重なり合うその瞬間に、綾はもう別れることしか考えていなかった。返事がないため、綾は探るように口を開いた。「健吾?」その色気のある声に、健吾はようやく我に返った。「金には困っていない」綾は困り果てて言った。「そんなものを集めてどうするの?」健吾は気だるげに言い返した。「誰かにやる。いいから返せ」……贈り物なんて、一度渡せばそれで終わりだ。綾は健吾が自分を困らせようとしているのだと悟った。別れた相手の贈り物なんて、ゴミに出しても何の問題もない。もしそれを自分で捨てていたとしても、健吾に文句を言える道理はないはずだ。「捨ててしまって、もう手元にない。別の条件にしてもらえない?」健吾は鼻で笑った。「記憶をたどって、限定品やオーダーメイド品以外はすべて買い直してくればいい」綾は健吾が撤回する前に、すぐに返事をした。「分かった。それで取引成立ね」贈り物はすべて頭に刻まれている。全く同じものを揃えることなど難しいことではなかった。健吾が綾に贈った品々は、小さなものまで合わせると百件を超え、中でも数件は十億単位の値がつく最高級品だった。すべてを揃え直せばかなりの出費になる。しかし、綾はそれくらいの計算はできる。証拠となる映像さえ手に入れ、湊が病気を偽っていると証明できれば、離婚の手続きで情けをかける必要もなくなる。買い直す金など、慰謝料に比べれば安いものだ。「後で条件を翻したりしないでね」綾は電話を切り、スマホのメモ帳を開いて記録を始めた。高校時代、知り合って1週間で健吾が贈ってきたブランド物のブレスレットは、今もまだ売られている。初めて一緒に迎えた節句には、神社で清めたお守りをもらった。知り合って最初の誕生日には、今は手に入らない特注の限定品だったウサギのぬいぐるみを贈られた。……健吾が告白してくれた日に贈られたのは、自分の名前がついた小惑星だった。調べてみたところ、その小惑星はまだ銀河系を漂い続けているようだ。健吾が別の女性に送りたいなら、
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