Semua Bab 四度目の結婚 ~不完全なオメガと冷徹な夫の運命~: Bab 11 - Bab 20

25 Bab

第十一話「初めて抱かれる夜」

 なぜ急に抱く気になったのか、理解できなかった。今まで拒絶し続けていたレオニードが、突然「最後まで」と告げた。混乱が頭を満たし、何が起こっているのか分からなくなる。 裸になるとレオニードの大きな手が僕の肌に触れ、温かさが伝わってきた。月明かりが窓から差し込み、二人の身体を照らしている。「レオニード……本当に……?」 確認するように問いかけると、レオニードは頷いた。深い紺色の瞳が僕を見つめ、今までになく熱を帯びている。「ああ。今夜は、ちゃんと抱く」 レオニードの鍛えられた身体が月明かりに照らされる。広い胸板、引き締まった腹、筋肉質な腕。戦士らしい身体が、圧倒的な存在感を放っていた。 レオニードが覆い被さってきて、再び唇が重ねられた。さっきよりも深く、濃厚なキスだ。舌が絡み合い、唾液が混ざり合う。甘い吐息が漏れ、身体が熱くなっていった。 キスが首筋に移り、レオニードの舌が肌を這う。熱い舌が鎖骨をなぞり、胸の上を滑っていった。「んっ……」 声が漏れた。レオニードの唇が胸の先端に触れ、吸われる。舌で転がされ、軽く歯を立てられた。身体がビクリと跳ね、腰が浮き上がる。 レオニードは丁寧に、時間をかけて僕の身体を愛撫していった。胸から腹へ、脇腹から腰へ。舌と唇が肌を這い、キスマークをつけていく。吸われた場所がジンジンと痛み、赤く染まっているのが分かった。「あっ……そんなに……」 身体中にキスマークをつけられ、恥ずかしさが込み上げてくる。レオニードは僕の身体を見つめ、満足そうな表情を浮かべた。「お前は、俺のものだ」 低い声で囁かれ、胸が高鳴った。レオニードの手が下腹部に触れ、さらに下へと滑っていく。「っ……!」 レオニードの手が、僕のものを握った。ゆっくりと上下に動かされ、快感が走る。今まで誰にも触れられたことがない場所を、レオニードの大きな手が包み込んでいた。「ああっ……んっ」 声が漏れ続け、腰が動いてしまう。レオニードの手の動きに合わせて、身体が反応していた。 レオニードが身体を下げ、顔が僕のものに近づいた。熱い息がかかり、身体が震える。「待っ……そんな……」 言葉が終わる前に、レオニードの口が僕のものを含んだ。温かく、柔らかい感触に、視界が真っ白になる。「あああっ……!」 声が大きくなり、シーツを握りしめた。レオニードの舌が先端
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-23
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第十二話「翌朝の余韻」

 目を覚ますと、窓から朝日が差し込んでいた。眩しい光に目を細め、ゆっくりと瞼を開ける。天井が見え、見慣れた夫婦の寝室だと理解した。 身体を動かそうとして、全身に襲う気だるさに驚いた。(ああ、そうか――昨日は)「っ……」 起きあがろうとしたら身体に筋肉が悲鳴をあげ、力が入らずに小さく呻いた。 布団から出ている腕に視線をやると、無数のキスマークがついていた。赤く、小さな痣が点々と残り、レオニードに愛撫された証が刻まれている。 布団をめくると、胸にも腹にも、太腿にも、至る所にキスマークがあった。吸われた場所が赤く腫れていて、触れると少し痛い気がした。(こんなに……たくさん) 頬が熱くなり、恥ずかしさが込み上げてくる。身体中に残る痕跡が、昨夜の激しさを物語っていた。 隣を見ると、レオニードが穏やかな表情で寝ていた。黒髪が額にかかり、長い睫毛が頬に影を落としていた。(部屋に戻らなかったんだ) こんな顔をするんだと、少し驚いた。いつもは鋭い眼光で睨んでいるレオニードが、気持ちよさそうに眠っている。 今度こそはと気合を入れて身体を起こそうとして、腰に激痛が走った。「っ……!」 思わず声が漏れ、その場に身体が崩れ落ちる。腰が痛くて、力が入らない。 オメガの女性が「激しかったから、腰が辛くて」なんて嬉しそうに話していたのを聞いたことがある。(こういうことか――) 今までは孔が切れて痛いことはあったが、腰がふにゃふにゃになっているのは初めてだ。(嬉しいな、この感覚) 痛いけど、やっとちゃんとしたオメガになれたような気がした。濡れない役ただずなオメガだった。不完全であることが、苦痛で何度も自己嫌悪した。 今は普通になれたことが嬉しいと思える。「起きたのか」 レオニードの声が聞こえ、驚いて顔を上げた。いつの間にか目を覚ましていて、こちらを見つめている。 同じベッドで、起き上がれずに隣でバタバタしていたら目も覚めるだろう。申し訳ないことをしてしまったと胸が痛んだ。「あ……はい……」 返事をすると、レオニードは身体を起こした。上半身が露わになり、筋肉質な身体が朝日に照らされる。僕の視線に気づいたのか、レオニードは僅かに口角を上げた。「身体、痛いか」 問いかけられ、僕は頷いた。「少し……腰が……」「無理するな。ゆっくり休め」 優しい声
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-24
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第十三話「変化する日常」

 あの夜から、レオニードは毎晩、寝室に来るようになった。僕は毎日、自分の部屋ではなくて夫婦の寝室で寝るようになった。浅い眠りの中で扉が開く音がして目が覚める。静かな足音、そしてベッドが沈む感触。「エミール」 耳元で名前を囁かれ、身体が震えた。低く、甘い声が耳の奥で響く。レオニードの唇が耳たぶに触れ、優しく甘噛みされる。「んっ……」 小さく声が漏れ、甘噛みされただけなのに身体が熱く反応する。レオニードの大きな手が僕の腰に回され、身体を引き寄せられた。背中に温かい胸板が押し付けられ、首筋にキスが落とされる。 言葉を交わすことはほとんどなく、ただ身体だけが語り合う。レオニードの手が寝衣の中に滑り込み、肌を撫でていった。 月明かりだけが部屋を照らす中、僕たちは甘い時間へと溶けていく。レオニードの愛撫は優しく、丁寧に僕の身体を目覚めさせていった。 今夜はベッドで愛し合ったあとに、レオニードは僕を壁に押し付けて抱いた。足が床につかず、レオニードの腕だけが僕を支えている。重力で深く入り込み、息ができなくなるほどの圧迫感があった。「っ……あ、ああっ!」 声が大きくなり、レオニードの肩にしがみついた。爪が食い込むほど強く掴み、身体を預ける。レオニードは僕を抱えたまま、激しく腰を動かし続ける。(深い……奥が――) 絶頂が訪れ、全身が痙攣した。レオニードの腕の中で震え続けたあと、やがて力が抜けていった。 ベッドに戻され、優しく布団をかけられる。レオニードは僕の髪を撫で、額にキスを落とした。「ゆっくり、休め」 レオニードはそう言うと、僕の隣で眠った。(レオニードは復讐のために僕と結婚したのに) どうして毎晩、抱くのだろう。僕を憎んでいるはずなのに。 僕が子どもが欲しいと言ったから、妊娠するまでは続けるつもりなのだろうが――。(それでも毎日でなくていいはずだ) あんなに拒絶していたのに、毎晩僕を抱くのは辛いだろう。 男のオメガを前にして、勃起させるのだって大変だと思う。それを毎日、繰り返すのは並の精神力と体力ではできない。(子が欲しいと泣いて縋ったのは僕だけど) 無理はしてほしくない。     ◇◇◇ 朝、目覚めるとレオニードに腰をしっかりと掴まれた状態で僕は横になっていた。(――え?) レオニードの寝顔は穏やかで、長い睫毛が影を作り、整
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-25
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第十四話「妊娠の兆候」

 ここ数日、明け方になると吐き気で目が覚めるようになった。 急いで寝台を抜け出して部屋の隅にある洗面台へと駆け込む。胃の中身を吐き出し、何も食べていないのに、胃液だけが込み上げてきて喉が焼けるように痛かった。 冷や汗が額に滲み、手が震える。水で口をすすぎ、深呼吸をして落ち着くのを待つ。鏡に映る自分の顔は青白く、唇の血色も悪い。 しばらく洗面台の縁に手をついて身体を支え、吐き気が完全に収まるまで待ってから、そっと寝台へと戻った。 レオニードは隣で眠っていた。規則正しい寝息が聞こえ、背中を向けた姿は微動だにしない。気づかれずに済んだと胸を撫で下ろし、そっと寝台に横になった。日中もやたらと倦怠感に襲われ、ソファで休むことが多くなった。食欲も落ちて、少し服が緩くなったような気がする。 疲労が抜けない。 ある朝、いつものように吐き気で目が覚めた。そっと寝台を抜け出し、洗面台へと向かう。胃液を吐き出し、水で口をすすいだ。顔を上げると、鏡に映る自分の顔色がいつもより悪く見えた。深呼吸をして、寝台へと戻っていく。「エミール」 低い声に、動きが止まった。顔を上げると、レオニードが上体を起こして僕を見つめていた。紺色の瞳が、朝の薄明かりの中で僕を捉えている。「起こしてしまいましたか」「最近、ずっと朝に吐いている」 言葉に、息を呑んだ。(気づかれていた?)「夜だって大して食べてないのに」 レオニードが寝台から降り、僕の前に立った。額に手を当て、熱を確かめる。大きな手の温もりが心地よく、思わず目を閉じた。「医師を呼ぶ。日中に診察してもらえ」「いえ、大丈夫です。少し休めば」「お前の身体が心配だ」 有無を言わさぬ口調に、僕は頷くしかできなかった。レオニードの瞳が真剣で、本気で心配しているのが伝わった。「分かりました」 小さく頷くと、レオニードは僕を寝台へと導いた。横になるように促され、従う。毛布をかけてくれて、髪を撫でられた。「医師が来るまでここで休んでいろ」 そう言い残して、レオニードが部屋を出ていった。一人になり、天蓋を見上げる。ずっと気づかれていなかったと思っていたのに、レオニードには気づかれていたようだ。 昼過ぎ、ノックの音が響いた。医師が入ってきて、寝台の傍に椅子を置いて座る。初老の男性で、フェルゼン家に長く仕える医師だった。脈を取
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-26
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第十五話「レオニードへの報告と感謝」

 窓から差し込む午後の光が部屋を照らし、カーテンが僅かに揺れている。鳥の囀りが遠くから聞こえ、穏やかな時間が流れていた。 しばらくして、ノックの音が響いた。扉が開き、レオニードが入ってくる。執務を終えたばかりなのか、シャツの袖を捲り上げた姿で、僕の寝台へと近づいてきた。 寝台の縁に腰を下ろし、横たわる僕を見下ろす。紺色の瞳が僕を捉え、大きな手が伸びてきて髪を撫でた。指が髪を梳くように動き、心地よさに目を細める。「診察の結果はどうだった」 低い声が静かに響き、僕は唇を開いた。「妊娠していました。症状から見て、妊娠二ヶ月だそうです」 レオニードの指が止まり、僕の顔を見つめる視線が強くなった。「ありがとうございます」 心からの感謝を込めて告げると、レオニードの手が僕の頬に移動した。大きな手のひらが頬を包み込み、冷たい感触が火照った肌に心地よく伝わってくる。 医師に妊娠を告げられてから、嬉しくてずっと身体が熱く火照っている。レオニードの冷たい手が心地よかった。「そうか」 短く返事をしたレオニードの表情は、いつもと変わらず無表情に見える。喜んでいるのか、そうでないのかわからずに、戸惑った。「これでもう僕を抱く必要はありません」 僕の言葉にレオニードの表情が僅かに変化した。眉間に皺が寄り、唇が一文字に結ばれる。頬に当てられていた手に力が入り、僕の顔が僅かに押されるような感覚があった。「苦痛を強いて申し訳ありませんでした」 謝罪の言葉を告げた瞬間、視界が暗くなった。大きな影が覆い被さり、レオニードの顔が目の前に迫る。 唇が重ねられ、強く吸われた。息が詰まり、思わず口を開くと舌が侵入してくる。絡みつくように動く舌に、自分の舌も応えてしまう。くちゅりと水音が響き、頭の中が真っ白になっていった。 唇が離れ、銀色の糸が伸びていく。名残惜しそうに糸が揺れ、やがて切れて僕の唇に落ちた。息が荒くなり、胸が激しく上下する。レオニードの瞳が熱を帯びていて、いつもの冷たい紺色ではなく、深く濃い青色に見えた。「エミール」 熱を帯びた声で名前を呼ばれ、首筋に唇が押し当てられた。強く吸われ、歯が軽く肌を噛む。「ああっ」 甘い声が喉から漏れ、自分でも驚くほど色っぽい声が出てしまった。レオニードが寝台に上がってきて、僕の上に跨る。重みで身体が沈み込み、寝台が軋む音が
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-26
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第十六話「夜の訪問者」

 妊娠を告げた後、レオニードが僕を抱く理由はもうなくなったはずだった。なのに昨日、寝室にいろと言われて、僕は抱かれた。 今夜は、僕は自分の自室で横になった。 窓から差し込む夜の光が、カーテン越しに柔らかく部屋を照らしている。もうさすがにないはずだと思いながら、天蓋を見上げる。 憎んでいる家のオメガを引き取り、伯爵になる引き換えに結婚してやっただけ。(僕が子どもがほしいとお願いした) レオニードにとっても後継者ができたのなら、もう抱く必要もない。生まれた子が女の子だったら、『もう一人』となるかもしないが。年齢的に間に合うかどうかはわからない。 夕食を終え、入浴を済ませて自室に戻った。侍女が寝衣を着せてくれて、髪を乾かしてくれる。寝台に横になり、本を読もうとしたが文字が頭に入ってこなくて、諦めて本を閉じた。 暖炉の火が揺れ、パチパチと木の爆ぜる音が静かな部屋に響く。早々にベッドに潜り、目を閉じて、眠りにつこうとした。 ウトウトとしかけたところで、部屋の扉が勢いよく開いた。 足音が一直線に寝台へと向かってきて、毛布が捲られる。冷たい空気が身体に触れ、思わず身体を縮めた。 誰かが寝台に滑り込んできて、後ろから強く抱きしめられた。硬い胸板が背中に押し当てられ、腕が腰に回される。耳朶が甘噛みされ、痛いくらいに歯が食い込んだ。「エミール、起きろ」 耳元で命令が響く。「レオニード……?」 名前を呼ぶと、腕に力が込められて身体が強く抱きしめられた。「なぜ、夫婦の寝室にいない」 不機嫌な声で問われ、振り返ろうとすると腕が緩められた。身体を反転させて、レオニードの顔を見上げる。 月明かりが窓から差し込み、レオニードの顔を照らしていた。表情が硬く、眉間に深い皺が刻まれている。いつもより不機嫌そうで、紺色の瞳が僕を見つめていた。「もう僕を抱く必要はないと言ったはずです」 言葉を告げると、レオニードの眉間の皺がさらに深くなった。「憎き家のオメガを抱く必要はもうないんです。僕は身籠りました。あとはもう……僕はこの子と静かに暮らしますので」 お腹に手を当てて告げると、レオニードの手が伸びてきて僕の肩を掴んだ。横向きだった身体を仰向けにされ、レオニードが覆い被さってくる。 唇が重ねられ、激しく吸われた。舌が侵入してきて、口内を蹂躙するように動く。貪るよう
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-27
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第十七話「妊娠中の日々と出産」

 妊娠が分かってから、レオニードの態度が明らかに変わった。 毎朝、目覚めると隣で寝ているレオニードが僕の様子を確認するように見つめていて、身体の調子を尋ねてくる。 朝の吐き気が治まらない日は、背中をさすってくれて、水を持ってきてくれた。優しく労わられるたびに、胸が温かくなる。同時に疑問が大きくなっていく。(僕が嫌いなはずなのに――) お腹の中に、後継者がいるから優しいのだろうか。もしかしたら妊娠中だけの優しさなのかもしれない。「無理をするな」 庭を散歩しようとすると、レオニードが腕を掴んで止める。「医者にも少しの運動はするように言われています」「わかった。だが俺が付き添う」 レオニードの紺色の瞳には心配の色が浮かんでいた。 階段を使うときは必ず手すりを持つように言われ、少し重いものを持とうとするだけで取り上げられた。過保護なほどの気遣いに、戸惑いが止まらない。 つわりが酷い日は、一日中寝台で横になっていた。食事の匂いだけで吐き気が襲ってきて、何も食べられない。水さえも喉を通らず吐いてしまう。そんな日はレオニードが仕事を切り上げてずっと僕のそばに寄り添ってくれた。「大丈夫か」 額に手を当てて熱を確かめ、心配そうに眉をひそめる。「食べたいものがあるなら作らせるが」 優しく尋ねられたが、食欲はなかった。首を横に振ると、レオニードは僕の手を握った。大きな手が僕の手を包み込み、温かくて心地よい。「すまない。俺には何もしてやれない」 低い声で呟かれ、胸が締め付けられた。 きっと彼は根は優しい人なのだろうと思いながら、握られた手を見つめた。妻が僕でなければ、きっともっと幸せになれたはずだ。 愛する人と結婚して、望まれた子どもを授かって、笑顔で暮らせたはず。復讐のために僕と結婚させられて、憎い家のオメガで子どもを孕ませなければいけない。(この子が生まれたら、ひっそりと暮らそう) レオニードにたとえ愛人ができたとしても、僕は笑顔で受け入れるんだ。「いつも傍にいてくれます。すごく心強いです。ありがとうございます」 小さく告げると、レオニードは何も言わずに僕の髪を撫でた。優しい手つきに、目を閉じた。 月日が流れ、お腹の子どもは順調に大きくなっていった。 手のひらを当てると、中で動く小さな命を感じた。胎動があるたびに、涙が出そうになる。本
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-28
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第十八話「産後、再び抱かれる」

 産後一ヶ月が過ぎ、体調が戻ってきた。毎日母乳を与え、おむつを替え、泣き声に起こされる日々だったが、幸せだった。 小さな命を抱きしめるたびに、胸が温かくなる。名前はアデルと名付けられ、レオニードが決めた。気高い、高貴なという意味を持つ名前で、レオニードの願いが込められているように感じられた。 ある日の午後、自室で横になっていると、ノックの音が響いた。レオニードが入ってきて、揺り籠で眠るアデルを見つめる。近づいて、小さな頭を大きな手で優しく撫でた。愛おしそうな表情で、普段の無表情とは違う柔らかさがあった。「医師からの許可が出たと聞いた」 低い声が静かに響き、僕を見つめる紺色の瞳が熱を帯びているように見えた。「今夜は寝室に来い」 短く告げられ、頬が熱くなる。一ヶ月後の医師の検診で、夫婦の営みについての許可がおりたのだが、僕は誰にも話していない。話を聞いていた使用人がレオニードに報告したのだろう。「あの、僕で――いいのですか?」「妻はお前だろう?」 レオニードが不思議そうな声をあげる。「でも僕は」 目を伏せる僕の顎を掴んだレオニードが、唇を奪う。薄く開いた隙間から舌が入ってくると、ゆっくりと僕の口の中を蹂躙していく。「もう目がトロンとして、まるで誘っているみたいだ」「――誘っては……いません」「ここはこんなになっているのに?」「ちょっと!」 僕の半勃ちになった熱を優しく揉むと、レオニードが勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。「医師に止められてから、もう三ヶ月以上も抱いていない。今夜は必ず、寝室に来い」「はい」 僕の返事を聞くと、耳元で「待ってる」と囁いてレオニードが部屋を出て行った。(――え?) 僕は妊娠していたから、医者から止められてから三ヶ月、そういうことがないのは当たり前だが。 そこにレオニードも付き合う必要はないのでは? 仕事で外出した際に、発散はできたと思う。レオニードの容姿で、地位であれば抱かれたいと思う女性はたくさんいるはず。 でも思い返してみれば、レオニードはいつも夜には屋敷にいた。外出も必要最低限のみで、夜になれば、寝室にきて一緒に眠った。(僕は妻として、レオニードに大切に扱われている?) 正妻の妊娠中に浮気をする貴族たちは大勢いる。レオニードもそうすれば良かったのに。彼は僕が思っている以上に、不器用
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-31
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第十九話「二人目妊娠」

 アデルが生まれて半年が過ぎた頃、身体に異変を感じた。朝になると吐き気がして、食事の匂いだけで気分が悪くなる。最初は疲れが溜まっているだけだと思っていたが、症状は連日続いた。 レオニードは毎晩僕を求めてきて、激しく抱かれる。日中の育児と夜の営みで、休んでいるつもりでも疲労が蓄積していたのだろうと考えていた。 ある朝、いつものように吐き気で目が覚めた。急いで洗面台へ駆け込み、胃液を吐き出す。喉が焼けるように痛く、冷や汗が額に滲み、手が震えた。 寝室に戻ると、レオニードが起き上がっていた。心配そうに僕を見つめ、寝台の縁に座るように促される。隣に座ると、額に手を当てられて熱を確かめられた。「また吐いたのか」 低い声で尋ねられ、頷いた。レオニードの眉間に深い皺が刻まれ、いつもより不機嫌そうに見える。「もう何日も続いている」「疲れているだけです」 答えると、レオニードが僕の顔をじっと見つめた。何かを考えるように沈黙し、やがて口を開く。「アデルを妊娠したときの症状とよく似ている」 言葉に、息を呑んだ。「妊娠したんじゃないのか。医者を呼ぶから、診てもらえ」 レオニードが使用人を呼び、医師を呼ぶように命じる。まさか、と思いながらも胸が高鳴った。妊娠しているのだろうか。 年齢的に一人授かれただけで奇跡だったのに、二人目なんて。レオニードが僕を寝台に横たえた。毛布をかけてくれて、髪を撫でる。「休んでいろ」 優しく告げられ、目を閉じた。吐き気は収まっていたが、身体が重い。レオニードの手が髪を撫で続け、心地よさに意識が遠のいていった。 しばらくして、ノックの音で目が覚めた。医師が入ってきて、寝台の傍に座る。レオニードも隣に座っていて、僕の手を握ったまま離さない。医師が脈を取り、額に手を当てて熱を確かめる。「前回の出産から半年ほど経ちますね。母乳はまだ出ていますか」「はい、アデルに授乳しています」「最近、身体に変化は」「朝の吐き気が続いています。身体も重くて、すぐに疲れてしまいます」「胸の張りは」「いつもより張っている気がします」 医師が頷き、さらに診察を続ける。お腹を丁寧に触診され、胸の状態も確認される。レオニードが僕の手を強く握り、心配そうに見つめていた。医師が診察を終え、顔を上げる。「エミール様」 静かな声で名前を呼ばれ、緊張が走った
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-08
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第二十話「舞踏会への出席」

 国王主催の舞踏会の招待状が届いたとレオニードから、相談されたときは驚いた。『なぜ僕に相談を?』『夫婦だろ?』 不思議そうに答えるレオニードに、僕の胸はほっこりと温かくなった。 二人目を産んでまだ二ヶ月。体調はもうほぼ前の状態に戻っているが、昼夜関係ない育児に疲労しているのは、レオニードも知っている。 レオニードだけでも――それか他に連れがいれば……と言うと、エミールが同伴しないなら欠席するつもりだと言われてしまった。 二人目のルーカスは、夜泣きがひどく乳母だけでは泣き止まない。さらにはミルクの違いもわかるのか、僕の母乳じゃないと飲んでくれない。 医師から夜の営みの許可が出ても、ルーカスの性格上、そばを離れるわけにもいかず――ずっとレオニードに我慢を強いる結果になっている。 国王主催の舞踏会を育児で断るのも気が引けて、僕はレオニードに同伴すると答えた。 当日の夕方、侍女たちが部屋に入ってきて身支度を手伝ってくれた。深い青色の礼装を着て、髪を整えられる。鏡に映る自分の姿は、以前より痩せているように見えた。頬がこけて、目の下に薄い隈ができている。化粧で隠してもらったが、疲れは隠しきれなかった。 部屋を出ると、廊下でレオニードが待っていた。黒いスーツを着た姿は凛々しく、いつもより格好良く見える。僕を見つけると、近づいてきて顔を覗き込んだ。「体調は大丈夫か」 心配そうに尋ねられ、微笑んで答えた。「大丈夫です」「移動中、少し寝るといい」「ありがとうございます」 レオニードが僕の手を取り、腕に絡ませる。エスコートされながら、馬車へと向かった。     ◇◇◇  王宮は煌びやかに飾られていて、シャンデリアの光が眩しいほど輝いている。音楽が流れ、貴族たちが優雅に踊っていた。久しぶりの社交界に、緊張が走る。出産してから外出する機会がほとんどなく、こうして華やかな場所に来るのは何年ぶりだろうか。レオニードが僕の腰に手を回し、会場へと入っていく。 会場に入るなり、大勢の人間たちに話しかけられた。もともとレオニード自身、華やかな舞台に姿を現すような人ではないらしく、ここぞとばかりに繋がりを持ちたい貴族たちに話しかけられる。その度にレオニードは無表情で応対していたが、僕の腰を抱く手には力が込められていて、守られているような安心感があった。 しばらく
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-08
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