بيت / 恋愛 / 氷龍の檻姫 / Chapter 11 -الفصل 12

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12 فصول

11

神崎芸能の本社ビルは、都心の一等地にそびえるガラス張りの高層ビルだった。  あやめは、週に数回このビルを訪れていた。  表に出ることはないが、何となく手持無沙汰を解消するように仕事をしていて、冬弥の日程調整や文書確認、広報部と連携して戦略の立案など、あやめの仕事は多岐に渡っていた。 「神崎様、次の会議は十時から。その後、広報部長との面談が十一時半。午後は新規プロジェクトの契約締結式がございます」そう告げるのは、冬弥の秘書の一人である水原玲奈。冬弥の指示で、あやめが来るときはあやめの秘書のような立場になっている。  二十七歳、二十五歳のあやめと二歳違いだが、スレンダーな体型に黒のスーツを纏い、知的な眼差しを持つ女性のため水原玲奈はあやめの目にも大人っぽく見えた。水原玲奈の所作には一切の無駄がなく、声のトーンも落ち着いている。  秘書としては申し分ない、あやめはそうは思っている。「水原さん、いつもありがとうございます」あやめが声をかけると、水原は一礼して微笑んだ。「いえ、神崎様のご指示が的確なおかげです」(”神崎様”……ね)水原玲奈は、あやめのことを「神崎様」と呼ぶ。決して「奥様」とは呼ばない。奥様という名称は誰かに付随するものだから、「神崎様」という名称は個を尊重しているとも言える。しかし、”そう”ではないことは、あやめも感じ取っている。---ふと視線を感じてそちらをみると、あやめの目に、会議室のガラス越しに、冬弥と水原玲奈が並んで座っているのが見えた。あやめと目が合うと、水原玲奈は満足気に笑って会釈をする。その行動が冬弥の気を引いたのか、それとも冬弥に気になることがあったのか、冬弥が水原玲奈に話しかける。  何も、不思議な光景ではない。
last updateآخر تحديث : 2026-01-27
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12

その日、神崎邸にさくらが訪ねてきた。早苗から「お姉様がいらしています」と告げられたとき、あやめは一瞬、耳を疑った。あやめと姉さくらの関係は、悪くないが、良くもない。互いに干渉し合わない距離感にいる、ようにしている。「姉が? 何か、用事で?」「いいえ、“妹の顔を見に来た”と仰っられて、柊家のご令嬢でしたし、応接間にお通しいたしました」「……ありがとう」父である柊謙一の用事で来たのだとあやめは期待したが、早苗の回答にため息を吐いた。姉さくらは、時折こうしてあやめとの距離を詰めようとする。ただ、あやめの過去の経験から、姉さくらのこの行動は好意的な理由ではない。いままでは、自分の引き立て役とすることが多かった。でも、ここは観客などいない。なんのために来たのか。理由が読めないのが、あやめには怖かった。---応接間に入ると、さくらはいつもの様に上質なワンピースに身を包み、優雅に紅茶を口にしていた。 その姿は、まるで舞台の主役のように完璧だった。「あら、あやめ。元気そうで安心したわ」「お久しぶりです、お姉様……その、どうして急に?」「妹が極道の妻になったって聞いたら、普通は心配になるじゃない」姉さくらの言う”極道の妻”になったのは、もう数カ月前の話。入籍直後ならまだしも、どう聞いても口実にしか聞こえなかった。(そして、それはここで言っていい言葉ではない)姉さくらが”極道の妻”と言った瞬間、後ろに控えている鷹見と早苗の雰囲気がピリッとした。さくらとしては、いつも通りあやめを貶めたかったのだろうが、この場合はそう聞こえない。特に”姉妹”だと先入観があれば、極道を馬鹿にされたと感じてしまう。 「お父様は、お元気ですか?」あやめは無難な話題を振り、ぴりついた雰囲気を宥めることにした。「そうそう、お父様も、あなたのことを“よくやってる”って褒めてたわよ」その言葉に、あやめはわずかに眉をひそめた。 父が自分を褒めるなど、あやめは珍しいと思ったし……。(どこでそんな話題になったのかしら)「神崎冬弥さん」姉さくらが冬弥の名を語る声に、あやめは嫌な予感がした。まるで蜜のような甘い声。この声はいつも……。「神崎冬弥さん。とても素敵な方ね」さくらは紅茶の入ったカップを置き、あやめの目をまっすぐに見た。「ねえ、あやめ」
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